Learning Tomato (旧「eラーニングかもしれないBlog」)

大学教育を中心に不定期に書いています。

vol.428:2011年10月 日経MJ 教育マーケティング情報

2011年11月20日 | 教育関連マーケティング情報
**本記事は2011年10月2日に配信したメールマガジンのバックナンバーです**

月末恒例の「日経MJ 教育マーケティング情報」のコーナーです。今回は、
「eラーニング復活か?」「英語教育eラーニング」「アミューズメント施設
と学習」の3つの括りでお届けいたします。

■■eラーニング復活か?■■

■企業向けeラーニング、タブレット対応広がる
■2011/10/07 日経MJ 7ページ


【概要】
eラーニングを使った人材育成支援各社が、提供コンテンツをタブレットや
スマートフォンに対応させる動きが広がっています。ライトワークス社では、
店員向けのコンプライアンスや接客マナーの基本、店長向けの労務管理など
小売業チェーン向けの人材育成プログラム16コースを、今月からスマホとタ
ブレットに対応します。「パソコンを置く余裕がない小型店舗でも、スマホ
からeラーニングを利用できるので利便性が高まった」と評価され、既に
ローソンなどが利用を開始しているととのことです。
また、eラーニング運営のシュビキも「iPad(アイパッド)」などに電
子教材や企業マニュアルなどを提供する新サービス「モバイルビスキュー」
を開始。こちらは「派遣や営業など社員の外出が多い企業でも簡単に使える
ようにして利用を促したい」としているそうです。

【コメント】
スマホやタブレットPCが普及してきたことにより、eラーニングのマーケッ
トが再度活性化してきたように思われます。「eラーニングは『いつでもど
こでも』って言うけれど、パソコンがない場所ではできないからどこでもで
はないよね」とよく言われてきましたが、携帯デバイスの普及はこうしたデ
メリットを解消するのに大いに役立ちそうです。
産能大でも7~8年前に携帯電話を利用したeラーニング(モバイルラーニン
グ)を試験的に始めたことがあったのですが、うまく事業として立ち上がり
ませんでした。原因は携帯用アプリとの価格差と画面の小ささだったと記憶
しております。スマホ+タブレットPCではぜひブレイクスルーして欲しいで
す。

■ホテルオークラ、従業員教育、ネット講座拡充、3倍の100科目に。
■2011/10/10 日経MJ 9ページ


【概要】
ホテルオークラはインターネットを使った従業員教育を強化します。現在は、
本社に籍を置く課長職以上の管理職に30科目のネット講座を提供しています
が、今期中に100科目をそろえ、本社の一般社員にも導入を始めそうです。
その背景には海外事業の強化という重点課題があります。そのために空いた
時間に自由に受講できるネット講座の導入し、グループ全体のグローバル人
材育成強化を図るそうです。

【コメント】
100科目のうちどれだけが自社開発なのかどうか分かりませんが、経営の重
点課題とリンクしたeラーニングの展開という枠組が素晴らしいですね。
eラーニングという手段ありきでなく、「目的」を明確にした上でeラーニン
グを導入することが基本中の基本です。2000年代にeラーニングが普及しな
かったことの最大の要因は、その基本ができていなかったためとコガは考え
ております。

■■英語教育eラーニング■■

■栄光HD、英語教育、Z会と連携、eラーニングでも。
■2011/10/14 日経MJ 9ページ


【概要】
栄光ホールディングス(HD)の子会社で教材開発のエデュケーショナルネ
ットワークとZ会が新会社ファカルタスを設立。大学生向けにネットで学べ
るeラーニングシステムを開発します。2社の中高生向け教材を活用し、大
学側の要望に応じて学生向けカリキュラムを作成します。英語や数学など高
校までの学習内容を復習できる教材を用意するほか、就職活動の準備にも対
応するとのことです。

【コメント】
最近「リメディアル教育」といって、基礎学力の劣る大学生に対し、高校ま
でに修得すべき基礎学力の補習を大学で行うケースが増えています。数学・
英語等の段階的・積み重ね教育の場合、学習者個々人によってつまづいた箇
所が異なるため、eラーニングによる個別学習方式が効果が高いとされてい
ます。本記事のようなサービスは、そうしたニーズに合致しているものと思
われます。しかし、大学生向きeラーニング=リメディアル教育と決めつける
のは早計です。例えば大学の語学教育は1~2年次に履修配当されていること
が多いため、高学年次に継続して学ぶ語学科目が充実していない大学が少なく
ありません。なので、特に語学教育の場合、やる気のある3~4年生の継続学
習の手段として、eラーニングの教材が開発されればなあと思ったりしています。

■ロゼッタストーン販売先倍増、1,000法人に、オンライン語学教材投入。
■2011/10/21 日経MJ 9ページ


【概要】
語学教材のロゼッタストーン・ジャパンは、オンライン上で英語などを学べ
る新製品を発売しました。パソコンだけでなく「iPad」等のタブレット
PCでも学習できるのが特徴です。CD-ROM版のセット価格は5万9800円でしたが、
オンライン版では、利用期間3ヵ月で19,800円という価格モデルに変更しま
した。またオンライン版は、法人市場をターゲットとしており、今後導入企
業が社員の学習の進ちょく状況を管理できるシステムも導入するとのことです。

【コメント】
10年以上も前になりますが、eラーニングの価格モデルを調査したことがあ
りました。CD-ROM等のパッケージメディアとeラーニングの最大の違いは、
「サービス期間」を区切る点にあると当時も考えられていました。しかしこ
の場合、本やCD-ROMなど「形」あるものが学習後手元に残らず、復習ができ
ないため、学習者の満足度が得られない傾向があるというのが10年前の状況
でした。当時とはネットの利用環境が変わった今日、果たしてロゼッタストー
ンのオンライン版はどのぐらい受け入れられるのか?気になるところです。


■■アミューズメント施設と学習■■

■「キッザニア東京」有料会員5,000人突破、リピート率向上に効果
■2011/10/24 日経MJ 11ページ


【概要】
子供向け就労体験施設「キッザニア東京」は有料会員制度「キッザニアクラ
ブ東京」を軸に安定した客足を確保しているそうです。2009年から始まった
この制度は3~15歳の子供を対象とし、入会金が5,000円、年会費が5,000円
となっています。ちなみに現在の会員数は5,500人です。

会員になると、特定の日に入場料が割引となる等のメリットがありますが、
それ以上に魅力的なのは、特別な体験内容が用意されている点です。例えば、
同じプログラムを3回以上経た子供は会員限定のプログラムに参加できます。
そして各パビリオンで子供たちを指導するスタッフの手伝いや、チームの
リーダーも任されるそうです。
会員となった子供のリピート率は通常の利用者に比べて高く、年平均5~6
回にも達し、付き添いの保護者も合わせれば、「年間入場者数の5%程度を
占める」とのことです。

【コメント】
この記事を読んでいて、以前本メルマガの書評で紹介した『モチベーション
3.0(http://goo.gl/46v0y)』の中に出てくる「ソーヤ効果」というのを思
い出しました。トムソーヤの冒険の中でペンキ塗りの仕事を面白い遊びに変
えて、友達にやらせてしまうという逸話がでてきますが、ソーヤー効果とは
そのように「やらなくてはいけない仕事」を「やりたい遊び」に変えてしま
う技のことを指します。
キッザニアの有料会員になると参加できる「特別プログラム」とは、単純に
言うと「キッザニアのスタッフ」仕事です。しかしそれは「嫌々やる仕事」
ではありあません。憧れのお兄さんお姉さんのようになって、他の子供達を
喜ばせることができる「楽しい体験」なのです。その思いが「キッザニアク
ラブ東京」の集客に結びついているのではないかと推察します。

■カップヌードルミュージアム(横浜市)──創造力注いで、得意満メン。
■2011/10/10 日経MJ 5ページ


【概要】
日清食品ホールディングスが9月、横浜市に開設した「カップヌードルミ
ュージアム」が話題を呼んでいます。総合プロデュースを手掛けたのはアー
トディレクターの佐藤可士和氏です。館内には10カ所のコーナーが展開さ
れ、内容は大きく展示コーナーとサービスコーナーに分かれているそうです。

2階の展示コーナーではインスタントラーメンの生みの親である安藤百福氏
の生涯を紹介する「安藤百福ヒストリー」や、発明に必要な「創造的思考」
をアートで表現した「クリエイティブシンキング ボックス」などがありま
す。3、4階はサービスコーナーとなっており、自分だけのカップヌードル
が作れる「マイカップヌードルファクトリー」やチキンラーメンを手作りで
きる「チキンラーメンファクトリー」(予約制)があるそうです。

【コメント】
「カップヌードルミュージアム」を知るには、おそらく下記のWebサイトを
見るのが一番だと思います。

カップヌードルミュージアムのWebサイト

いかにも佐藤可士和チックなサイトです。このミュージアムの基本コンセプ
トは「創造的思考」。「子供たちひとりひとりの中にある創造力や探求心の
芽を吹かせ、豊に育てるための体験型ミュージアム」と上記Webサイトには
あります。実は最近「将来食品の商品企画がやりたい」という大学生が非常
に多いのですが、そういう学生さんにとっては必見のミュージアムかも知れ
ませんね。

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