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007 JSET参加から-反転学習やらMOOCSやら

2014年10月25日 | セミナー学会研究会見聞録


「最後に参加したのは何年前?」

JSET(教育工学会)の全国大会は毎年9月の中旬に開催されます。コガはここ数年その時期に、
後学期の履修ガイダンスやら授業の準備やら遅めの夏合宿やらが入ってしまうため参加できないでおります。
そこで、全国大会参加皆勤賞を続けるシバタ先生に参加報告記をお願いした次第です。

シバタ先生寄稿いただきありがとうございました。

>>>>>>>>>>>ここからシバタ先生の記事>>>>>>>>>>>

去る9月19日から21日、岐阜大学で開かれた日本教育工学会(JSET)全国大会。さまざまな発表がされましたが、
ここでは最近なにかと喧しいMOOCについて触れたいと思います。

MOOC(Massive open online course)とは、インターネットを用いた大規模公開オンライン講座のこと。
スタンフォードの授業が無料でどこでも受講できる的な、一連のアレでして、世界で何百万人が受講しているそうです。
日本でも東京大学をはじめ、ひとかどの教育機関がコンテンツ提供に参加し、
またさまざまなひとかどのベンダーがプラットフォームなどの下支えをしています。

ここまで来ると、日本のeラーニングビジネス史に触れてこられたひとかどの方は、ピンとくることでしょう。

「すぐに誰も受けなくなるってば」

ハイ。eラーニングの草創期、海外から「100コース500万円。全社員全コース受け放題」みたいなeラーニングに飛びついた先進企業が、
ふたを開けてみたら「年間受講者3人」みたいな話はよく聞いたものです。それを思うとMOOCも二の舞ではないかという発想です。
しかもMOOCは対個人でして、日本ではB2Cのeラーニングの成功例を(なんとか受験ドリル以外では)聞いたことがないゆえ、なおさらです。

さて、前置きが長くなりましたが、JSET。MOOCからみのいくつかのセッションの中でも
東大 荒優先生の「MOOC受講者の多様性を考慮した教育効果分析観点の提案」は出色でした。
「MOOCは修了率が低い(5%とか)から役に立たない」という例の批判に対し、
「誰でも無料で登録できる(半分はアクセスすらしない)中で、
登録者を分母にした数字で評価するのは妥当ではない」という主張です。全く同感です。

先述の通り、MOOCの多くは「ひとかど」の人が、「ひとかど」の受講者向けに行っているものであって、
例えば新小岩(いえ、麻布十番でもいいのですが)の駅の横で、ノーベル賞受賞前でまだ市井の知るところでなかった
京大・山中教授がiPS細胞の辻説法をしても、1000人の通行人のうち5人しか最後まで聞かなかったからと言って、
ではiPS細胞はイケてないかというとそんなことはないわけです。

つまり、MOOC側が、「このコースは、再生医学が失禁するほど好きで、かつ、河合塾偏差値64以上とったことある人以外はムリだから、
無料だとはいえ申し込まない方がいいですよ」的な注意書きをしなかった、
あるいは書いてあっても受講者が「どうせタダだから」と読みもせずにポチッと申し込んだかであって、
そんな中で来た「受講者」を分母にして、その中身の評価文脈で受講率を論じても意味がないというわけです。

さて、ではその5%はどういう人で、MOOCでは何がもたらされているのか。

まず、そもそもエリート向けであることが見て取れます。そして、その学習意欲旺盛な秀才君達に、
BOOKOFFはもちろんのこと、図書館やネットでも入手できず、かつ垂涎の知的情報がもたらされます。
「修了したら図書券」みたいな動機づけなどは最初から不要です。
では、大学は何のために大きな予算を投じてそんなことをするのか、という疑問に行き着きます。
さる人からお聞きしたところでは、その奇特な「ひとかどの受講者の情報」を手に入れること。
そしてその国家としての金の卵たちに、さらにすげー世界を知らせ、山のてっぺんを上げる刺激を与えることなのだそうです。

MOOCがそもそもそういうフレームで行われているとしたら、市井のモノ共がそれを使って反転学習なんぞを安易に考えると、
一瞬先にはまたあの地獄が待っていることにすぐ気づきます。

続きはまた。
<文責 柴田>
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