Learning Tomato (旧「eラーニングかもしれないBlog」)

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004:シバタの初年次教育学会参加記

2014年09月07日 | セミナー学会研究会見聞録


新生メルマガへの小職の初寄稿は、9/4-5、奈良の帝塚山大学で行われた初年次教育学会参加記です。
最近、学生本人の主目的ではない内容(医学部学生にIDを教えるとか、看護学科の学生に実習時のお作法を教えるとか)をもう少しイケてるものにしたいなと、思っていたところ、古賀センセイからの情報でこの大会を知り、会員でもないのに馳せ参じました。大会テーマは「初年次教育における自己表現:表現から実現へ」です。

■「学生を能動的にするハイブリッド型授業」ワークショップ
さて、まず参加したのは、関西大学教育開発支援センター 三浦真琴先生の「学生を能動的にするハイブリッド型授業」ワークショップ(以下、W/S)。30人ほどの参加者です。前段は先生のミニ講義、後半はグループ作りと2つほどのグループワーク体験でした。言わば、W/Sの作り方のW/Sという体に違いないのですが、出色は三浦先生からの、このW/S流行りにおける「前提」への警鐘でした。
「この中で、学生時代、ワークショップ型授業を受けたことのある方」
冒頭の三浦先生の問いかけに、「ある」と答えたのはお1人で、それもデザイン系のご出身。いわゆるフツーの学部出身ではゼロでした。この問いかけから
「私たちは、学習者中心と言いながらも、自分が経験したことのないことを教員目線で組み立てている、と言うところに立つのです」という新鮮かつ強烈なメッセージが届きました。
また後半のW/S体験(詳細はネタバレになるので割愛)では、「グループワークがうまくいかないのは、グループ分けと自己紹介ゲームさえやればワークの準備ができたと思う教員の誤解から」という金言が飛びます。
うむ。我が授業を振り返り、「自己紹介をしたから知り合えた『はず』、力を合わせる『べき』」といった教員の妄想で段取りを進めてはいなかったか、ヒヤッとする時間でした。
Active learnerを作るための2時間でしたが、三浦先生の「わざと教えない。教えるものと教えないものを緻密に取捨選択する」「問いすら与えない。問いを立てさせる。その経験を通じ、問いを与えられた時にその構造を考えられる力がつく」といった骨太のメッセージをたくさんいただきました。

■記念講演「シンプルプレゼンのすすめ」(ガー・レイノルズ)

午後からは記念講演、関西外大ガー・レイノルズ先生の「シンプルプレゼンのすすめ」です。
元アップル社でジョブズの下、ガンガンプレゼンを行ってきたガー先生、TED Tokyoなどでもお馴染みの氏のそれは圧巻の90分でした。

ものすごく突飛なことがあったわけではありません。比喩、良い実例、悪い実例、投げかけ、ピア討議、動画、、、。プレゼンの手法で言われていることを、実に確実かつ見事にやってのけた、と申しましょうか。例えば実例では、ビルゲイツのイケてなかった時代とイケてる時代のスライドを並べてみたり、ゴア元副大統領が政治家を辞した後いかにプレゼン上手になったかなど、リアルなShow meに心揺さぶられます。

2つの大きなメッセージは、「間」と「ストーリー」です。禅を参考にしたプレゼンの「間」はことさらに訴求点を浮かび上がらせてくれます。そして訴えたいことは物語に乗せることで、より分かりやすく相手に伝わります。

参考:『プレゼンテーションZen』 ガー・レイノルズ著(ピアソン・エデュケーション、2010年)

■自主学習力のパラドクス
さて、午前午後を通じ疑問に思ったことが1つありました。授業・プレゼンの事例はどれも「価値観」「社会問題」といった、情意系の学習目標を掲げるものでした。
しかし、現実には「法律の条文」とか「骨の名前」など、知識の細切れを覚えねばならない科目もたくさんあります。最後の質問タイムでガー先生に「知識系の授業の組み立てのヒントを!」とお聞きしたところ、やはり、「それ(知識系の学習項目)は授業外のグループ学習で修得し、教員はその中で解決できなかった部分に対応する」というお答えをいただきました。それは「本や友人のノートや、過去問見ればわかるような授業をやらない」という三浦先生のメッセージとも通底していました。言わずもがな、反転授業のソレにつながっていく主張です。

うーむ。その自主学習力ありきの授業なのか、自主学習を促すための授業なのか、あるいはそのサンドイッチか。どんな学生・受講者を前提にするかで、そのさじ加減も実効性も雲泥の差という「例のパラドクス」を胸に帰路につくのでした。
<文責シバタ>
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