今週は月末恒例?の日経MJの教育業界マーケティング情報です。震災後、自
粛ムードの影響から、「不要不急」なサービス業はどこも大幅な売り上げダ
ウンに悩んでおります。果たして教育業界も「不要不急」なサービスなので
しょうか?いくつかの記事から考えていきましょう。
■学ぶことで被災者を支援しよう
2011/05/04, 日経MJ(流通新聞),4ページ
【記事の概要】
経営コンサルタント水元均氏らの呼びかけで、大阪、名古屋、福岡、東京の
計4カ所で「東日本大震災 被災者支援 チャリティーセミナー」が開催さ
れることになりました。講演するのは水元氏(全会場)のほか9人。講師は
全員が無報酬で参加するそうです。参加費は一人1万5000円で、会場費など
経費除いた収益の全額を日本赤十字社を通じて被災者に寄付するとのことで
す。詳細は「ひとつになろう日本!商人(あきんど)支援プロジェクト」
を参照願います。
【コメント】
震災後の支援のスタンスとして「自分たちが今できる事をやろう」というの
が最も市民権を得ている考え方のようです。さて、そうすると「教育を生業
とする我々は復興にどう貢献することができるのか」というのが次なる悩み
です。「復興の担い手となる若者を育成する」という考え方もできますが、
即効性がないので今ひとつ役立ち感に欠けます。「私は歌います」「私は漫
才やります」と同じように、「私は講義します」という手があったことに今
回の記事を読んで気がつきました。
生徒が塾で勉強した時間に応じてアフリカの貧困村に寄付するという早稲田
塾の“ミレニアム・ゴール・ポイント”や、英単
語クイズに正解した数だけお米を寄付する「freerice.com」等。教育屋がで
きる支援の方法も他にもたくさんありそうです。
■萌える漫画家、絵心いらず──PCソフト「コミPo!」で
2011/05/09, 日経MJ(流通新聞),16ページ
【記事の概要】
「コミPo!」とは、あらかじめ用意された美少女キャラクターを、マウス
を使って動かしながらマンガを描くことができるソフトです。このソフトを
活用してマンガ投稿サイトのコンテストに応募したり、コミPo!を使った
自作マンガを連載する作家も出現しているそうです。さらには、広島県三次
市では街おこしにコミPo!を活用中。同市役所の若手職員が市内19地区の
キャラクター作りに取り組んでいるそうです(http://goo.gl/xdAms)。
なお、コミPo!で制作した作品やキャラクターの著作権は、制作者自身に
帰属するとのことです。コミPo!の価格はダウンロード版が6700円、30日
限定の無料体験版が下記のサイトからダウンロード可能です。
http://www.comipo.com/index.html
【コメント】
コミPo!を一言説明するなら、マンガ版の「初音ミク」といったところで
しょうか。以前本メルマガで「教科書におけるイラストとマンガの利用効果
に関する研究」を取り上げましたが(http://goo.gl/5c6xx)、eラーニング
や紙テキストの教材開発においては、ちょっとしたイラストが欲しくなるこ
とがよくあります。そんな時、このソフトを使ってキャラクターを作画でき
れば、手早くコストもかからず重宝かもしれません。今後「美少女キャラ」
だけでなく、色々な種類のキャラクターが用意されることで、教育コンテン
ツでの利用機会が増えそうです。
■ベルリッツ、オンライン授業に本格参入、専任講師を80人採用。
2011/05/09, 日経MJ(流通新聞), 11ページ
【記事の概要】
ベルリッツコーポレーションが日本で英会話のオンライン授業に本格参入し
ます。欧米に在籍するオンライン専任の講師講師270人に加え、南米で新規
に80人採用し、帰宅が遅いなどの理由で教室に通えない会社員らの受講の機
会を増やすそうです。
オンライン英会話教室「ベルリッツ・バーチャル・クラスルーム(BVC)」
は予約した時間に世界中の専任講師とインターネットでつながり自宅で受講
します。受講料は教室での対面型よりも2割程度安いそうです。
【コメント】
同社は東日本大震災直後に外国人講師が一時帰国し、授業の振り替えに追わ
れたそうです。そんな苦い経験が今回のオンライン授業の拡充を後押しした
のかもしれません。余震や大規模停電など急な休講の際の備えにもオンライ
ン授業は役立ちそうですね。しかし、英会話なのにアルゼンチンとウルグア
イで講師を採用というところが、なんとも社会のグローバル化を感じさせま
す。関係ないけれど時差は大丈夫なのかなあ?
■学研HDと市進HDが提携、教材の共同開発も。
2011/05/13, 日経MJ(流通新聞), 9ページ
■教育関連企業、異業種と連携、授業でiPad活用──栄光、ベネッセ。
2011/05/16, 日経MJ(流通新聞), 9ページ
【記事の概要】
似た内容の記事のため、まとめてご報告します。
前者の記事では、学研と市進が授業の手法を相互に提供するほか、幼児~小
学校低学年を対象とした英語教育コンテンツなど教材の共同開発も目指すと
いった提携の内容が掲載されていました。
後者の記事では、栄光がリンクアンドモチベーションと高校生向けの新型塾
「モチベーションアカデミア(http://www.m-academia.co.jp/)」を開校す
る件と、ベネッセコーポレーションとソフトバンクグループによる東北被災
地の小・中学校向けの電子教育事業開始の件が掲載されていました。
【コメント】
少子化の影響等により、小中等教育の学習塾マーケットでは合従連衡の動き
が激しくなっており、このところ毎月のように同業種間の提携の記事が掲載
されています。さらに、後者の記事のように異業種とのコラボレーションに
より新たな教育マーケットを開拓する動向がでてきております。今回の異業
種連携の2つの事例では、iPadを利用している点が共通しており、eラーニ
ング的には興味深いポイントであります。
相互補完から新マーケットの創造へ、連携の中身も変化しつつあるようです。
■高校生に「マネジメント」、早稲田塾、米ドラッカー研と講座。
2011/05/23, 日経MJ(流通新聞), 11ページ
【記事の概要】
学習塾の「早稲田塾」を運営するサマデイは米クレアモント大学院大学ドラ
ッカー研究所(カリフォルニア州)と組み、高校生を対象に夏休み中にマネ
ジメントを教える短期講座を米国で開催するそうです。参加費は事前講座や
渡航・滞在費用を含めて59万8000円。高校1~3年生で20人程度を募集する予
定だそうです。詳細はhttp://goo.gl/YDXc0をご覧下さい。
【コメント】
いかに「もしドラ」ブームとはいえ、高校生向けのプログラムにするのはも
ったいないと思うのはコガだけでしょうか?しかし、1週間の講座で大学の
半期分より高額な受講料とは恐れ入りました。同様の内容を、企業の選抜教
育のプログラムとして活用するなどターゲットを変えたら売れるかなあ?
いずれよ、「もしドラ」ブームから即新商品を開発しリリースする早稲田塾
さんのフットーワークの軽さには脱帽です。
粛ムードの影響から、「不要不急」なサービス業はどこも大幅な売り上げダ
ウンに悩んでおります。果たして教育業界も「不要不急」なサービスなので
しょうか?いくつかの記事から考えていきましょう。
■学ぶことで被災者を支援しよう
2011/05/04, 日経MJ(流通新聞),4ページ
【記事の概要】
経営コンサルタント水元均氏らの呼びかけで、大阪、名古屋、福岡、東京の
計4カ所で「東日本大震災 被災者支援 チャリティーセミナー」が開催さ
れることになりました。講演するのは水元氏(全会場)のほか9人。講師は
全員が無報酬で参加するそうです。参加費は一人1万5000円で、会場費など
経費除いた収益の全額を日本赤十字社を通じて被災者に寄付するとのことで
す。詳細は「ひとつになろう日本!商人(あきんど)支援プロジェクト」
を参照願います。
【コメント】
震災後の支援のスタンスとして「自分たちが今できる事をやろう」というの
が最も市民権を得ている考え方のようです。さて、そうすると「教育を生業
とする我々は復興にどう貢献することができるのか」というのが次なる悩み
です。「復興の担い手となる若者を育成する」という考え方もできますが、
即効性がないので今ひとつ役立ち感に欠けます。「私は歌います」「私は漫
才やります」と同じように、「私は講義します」という手があったことに今
回の記事を読んで気がつきました。
生徒が塾で勉強した時間に応じてアフリカの貧困村に寄付するという早稲田
塾の“ミレニアム・ゴール・ポイント”や、英単
語クイズに正解した数だけお米を寄付する「freerice.com」等。教育屋がで
きる支援の方法も他にもたくさんありそうです。
■萌える漫画家、絵心いらず──PCソフト「コミPo!」で
2011/05/09, 日経MJ(流通新聞),16ページ
【記事の概要】
「コミPo!」とは、あらかじめ用意された美少女キャラクターを、マウス
を使って動かしながらマンガを描くことができるソフトです。このソフトを
活用してマンガ投稿サイトのコンテストに応募したり、コミPo!を使った
自作マンガを連載する作家も出現しているそうです。さらには、広島県三次
市では街おこしにコミPo!を活用中。同市役所の若手職員が市内19地区の
キャラクター作りに取り組んでいるそうです(http://goo.gl/xdAms)。
なお、コミPo!で制作した作品やキャラクターの著作権は、制作者自身に
帰属するとのことです。コミPo!の価格はダウンロード版が6700円、30日
限定の無料体験版が下記のサイトからダウンロード可能です。
http://www.comipo.com/index.html
【コメント】
コミPo!を一言説明するなら、マンガ版の「初音ミク」といったところで
しょうか。以前本メルマガで「教科書におけるイラストとマンガの利用効果
に関する研究」を取り上げましたが(http://goo.gl/5c6xx)、eラーニング
や紙テキストの教材開発においては、ちょっとしたイラストが欲しくなるこ
とがよくあります。そんな時、このソフトを使ってキャラクターを作画でき
れば、手早くコストもかからず重宝かもしれません。今後「美少女キャラ」
だけでなく、色々な種類のキャラクターが用意されることで、教育コンテン
ツでの利用機会が増えそうです。
■ベルリッツ、オンライン授業に本格参入、専任講師を80人採用。
2011/05/09, 日経MJ(流通新聞), 11ページ
【記事の概要】
ベルリッツコーポレーションが日本で英会話のオンライン授業に本格参入し
ます。欧米に在籍するオンライン専任の講師講師270人に加え、南米で新規
に80人採用し、帰宅が遅いなどの理由で教室に通えない会社員らの受講の機
会を増やすそうです。
オンライン英会話教室「ベルリッツ・バーチャル・クラスルーム(BVC)」
は予約した時間に世界中の専任講師とインターネットでつながり自宅で受講
します。受講料は教室での対面型よりも2割程度安いそうです。
【コメント】
同社は東日本大震災直後に外国人講師が一時帰国し、授業の振り替えに追わ
れたそうです。そんな苦い経験が今回のオンライン授業の拡充を後押しした
のかもしれません。余震や大規模停電など急な休講の際の備えにもオンライ
ン授業は役立ちそうですね。しかし、英会話なのにアルゼンチンとウルグア
イで講師を採用というところが、なんとも社会のグローバル化を感じさせま
す。関係ないけれど時差は大丈夫なのかなあ?
■学研HDと市進HDが提携、教材の共同開発も。
2011/05/13, 日経MJ(流通新聞), 9ページ
■教育関連企業、異業種と連携、授業でiPad活用──栄光、ベネッセ。
2011/05/16, 日経MJ(流通新聞), 9ページ
【記事の概要】
似た内容の記事のため、まとめてご報告します。
前者の記事では、学研と市進が授業の手法を相互に提供するほか、幼児~小
学校低学年を対象とした英語教育コンテンツなど教材の共同開発も目指すと
いった提携の内容が掲載されていました。
後者の記事では、栄光がリンクアンドモチベーションと高校生向けの新型塾
「モチベーションアカデミア(http://www.m-academia.co.jp/)」を開校す
る件と、ベネッセコーポレーションとソフトバンクグループによる東北被災
地の小・中学校向けの電子教育事業開始の件が掲載されていました。
【コメント】
少子化の影響等により、小中等教育の学習塾マーケットでは合従連衡の動き
が激しくなっており、このところ毎月のように同業種間の提携の記事が掲載
されています。さらに、後者の記事のように異業種とのコラボレーションに
より新たな教育マーケットを開拓する動向がでてきております。今回の異業
種連携の2つの事例では、iPadを利用している点が共通しており、eラーニ
ング的には興味深いポイントであります。
相互補完から新マーケットの創造へ、連携の中身も変化しつつあるようです。
■高校生に「マネジメント」、早稲田塾、米ドラッカー研と講座。
2011/05/23, 日経MJ(流通新聞), 11ページ
【記事の概要】
学習塾の「早稲田塾」を運営するサマデイは米クレアモント大学院大学ドラ
ッカー研究所(カリフォルニア州)と組み、高校生を対象に夏休み中にマネ
ジメントを教える短期講座を米国で開催するそうです。参加費は事前講座や
渡航・滞在費用を含めて59万8000円。高校1~3年生で20人程度を募集する予
定だそうです。詳細はhttp://goo.gl/YDXc0をご覧下さい。
【コメント】
いかに「もしドラ」ブームとはいえ、高校生向けのプログラムにするのはも
ったいないと思うのはコガだけでしょうか?しかし、1週間の講座で大学の
半期分より高額な受講料とは恐れ入りました。同様の内容を、企業の選抜教
育のプログラムとして活用するなどターゲットを変えたら売れるかなあ?
いずれよ、「もしドラ」ブームから即新商品を開発しリリースする早稲田塾
さんのフットーワークの軽さには脱帽です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます