Learning Tomato (旧「eラーニングかもしれないBlog」)

大学教育を中心に不定期に書いています。

vol.404:2011年3月~4月の日経MJ教育業界関連マーケティング情報

2011年05月07日 | 教育関連マーケティング情報
先月は震災の影響でお休みしてしまったので、今回は2ヵ月分まとめてお伝
えいたします。とはいうものの、震災以降約1ヵ月、日経MJ誌は8ページとい
う薄い誌面が続き、なおかつ記事の内容も震災関連の情報が多かったため、
2ヵ月まとめてちょうどよい分量でした。

■「進研ゼミ高校講座」スマートフォン活用,ベネッセ,英単語の問題など
2011/03/04, 日経MJ(流通新聞),9ページ

【概要】
ベネッセコーポレーションは、高校生向けの通信教育に従来の紙の教材に加
え、スマートフォン(高機能携帯電話)などを活用し、講座内容を進化させ
るそうです。受講生に英単語の暗記問題集や古語辞典などを盛り込んだソフ
トを配信し、通学時間などに紙の教材で不正解だった問題の復習などができ
るようにするそうです。

【コメント】
あくまでも紙テキストを「主」教材にとし、その学習の補完としてスマート
フォンを活用している点に、同じ通信教育事業者としてとても共感を持ちま
す。システム屋さんの発想だと、なんでもインターネット、なんでもデジタ
ルデバイスを使うことを前提に考えてしまうため、学習者にとって学びやす
い教育システムにならないケースが少なくないのです。

■不動産賃貸コミュエ、就活生に部屋無料提供、首都圏で2日間、地方学生向け。
2011/03/16, 日経MJ(流通新聞), 4ページ

【概要】
不動産賃貸業のコミュエ(東京・豊島区)は地方から首都圏に就職活動に訪
れる大学生のために、宿泊する部屋を2日間無料で提供するキャンペーンを
開始しました。提供する部屋は「東京就活ハウス」という名称で、東京都中
野区にあります。男性は賃貸マンションの一室、女性は同社が所有する一戸
建て住宅で、どちらも1室につき8人まで宿泊可能とのことです。

【コメント】
イメージアップとはいえ、2日間無料のサービスというのは大判振る舞いで
すね。不思議に思い同社のウェブサイトをチェックしてみると、

> 住居の質は落とさないが、極力安くにはこだわりました。
> しかも企業の新卒採用のコンサルティングを行っている専門家から、
> 基本的に無料で、企業分析やES書き方指導も受けられる。
> 内定獲得後も財産になるコミュニティも提供します。
とありました。
就活ハウス(http://tokyo-shukatsu.org/)より

学校でもなく、企業でもない。就活ハウスという「サードプレイス」を通じ
て、学生の成長を応援する姿勢。素晴らしい取組であると思いました。

■きちりHCM部竹内陵氏─学生アルバイトの就活支援(フーズWho)
2011/04/06, 日経MJ(流通新聞), 3ページ

【概要】
和風ダイニングのきちりは3月から、学生アルバイトの就職活動の支援を始
めました。外食産業では慢性的なアルバイト不足に悩んでおり、時給アップ
以外のアルバイトの応募動機向上を考えた結果、開始したそうです。関西と
首都圏の店舗で営業時間前に始めた就職支援講座には毎回20人程度の学生
アルバイトが参加しているそうです。学生アルバイトからの反響は大きく、
今後は通年で講座を開催していく予定とのことです。
また今後は外食業界以外の就職支援を充実させるため、取引先企業を対象に
したアルバイトのインターンシップや合同会社説明会の準備も進めるとのこ
とです。

【コメント】
こちらも、バイト先という「サードプレイス」での学生の育成を支援する動
きです。アルバイトの付加価値向上だけでなく、就職支援講座により接客力
向上も期待できそうです。それらに加え、コガはこの活動がきちりの社員の
方への働きがい向上に貢献しているのではと考えています。震災以降、「仕
事を通じていかに社会に貢献できるか」を皆が真剣に考える世の中に変わり
つつあります。自分達が社会に対して貢献できることを、従来の事業活動の
枠組に囚われることなく考え行動できるのが、これからの企業に求められる
姿勢なのかもしれません。

■三菱鉛筆、恒例「鉛筆けずり入社式」。
2011/04/04, 日経MJ(流通新聞), 7ページ,

【概要】
三菱鉛筆では1日、新入社員の歓迎行事「鉛筆けずり入社式」を開きました。
「鉛筆けずり入社式」は同社の高級鉛筆「uni(ユニ)」が発売50周年
を迎えた2008年から毎年開催しているそうです。創業以来製造を続けて
いる鉛筆に親しんでもらい、企業理念に触れてもらうのが狙いとのことです。
同社の数原徹郎専務は「社会人となった不安や期待、そんな気持ちを込めて
削ってほしい」と新入社員17人に語りかけたそうです。

【コメント】
ナイフで鉛筆を削るのは初めてという新入社員に対し、先輩社員が手ほどき
をしながら実施する「鉛筆けずり入社式」。とても良い取組だと思いました。

昨年コガの授業で、ブレイン・ストーミングの演習として「カッターナイフ
の使いにくい点を挙げよ」という課題を出した際、「カッターなんて使わな
いから分からない」という学生が多く驚いたことがあります。
小中学校等の授業で「危ないからカッターは使わない」という指導要領に変
わったためなのか、あるいは生活が便利になってカッターを使う機会が減っ
たためなのか、原因はよく分かりません。しかし、刃物を使うということは、
石器時代以降、人類にとって最も根源的なスキルの一つの筈です。それらを
使う場、教える場を設けていくのは、我々オトナの義務ではないかと思って
おります。三菱鉛筆さんのような企業が沢山出現して欲しいですね。

■代ゼミ系SAPIX、自宅学習用に動画配信、停電で休講、
>通えない受講生に。2011/03/21, 日経MJ(流通新聞), 3ページ

【概要】
大手予備校「代々木ゼミナール」系の進学塾「SAPIX」や「Y・SAP
IX」では、東日本大震災後に休講した授業を動画で収録し、受講生向けに
インターネットで配信を始めています。なおSAPIXの授業は少人数制が
特徴で、授業中に演習問題を解かせながら進めるため、授業の映像と演習問
題をセットにして配信しているそうです。

【コメント】
アメリカの同時多発テロの後、米国の大手企業では航空機の利用を制限する
動きがあり、その影響から遠隔会議システムが爆発的に普及したという話を
聞いたことがあります。今回の震災の影響から本ケースのようにICTを活
用した学習を進める動きが出始めているようです。

文部科学省からも、今期の大学の授業に関して、
「補講授業やインターネットの活用、課題研究などの大学設置基準第21条等
で設定している学修時間を確保するための方針を講じていることを前提に、
10週から15週の期間を弾力的に取り扱ってよい」
とする留意事項を示しています。でも計画停電が始まると「インターネット
の活用」もできなくなってしまいますしねえ。難しいところです。

■震災被災地の教育支援 栄光、無料教室や進学相談
2011/04/22, 日経MJ(流通新聞), 9ページ

【概要】
学習塾大手の栄光は、社長直轄の専従チーム(10人)を編成し、宮城県を中
心に小学生を対象とした教育支援活動を実施します。避難所や仮設住宅では
帰宅後の勉強場所が確保できないので、栄光が臨時の会場を設け、理科の実
験教室や工作教室を無料で開講するそうです。今後は塾に通えない受験生を
対象にした進学相談なども行っていく予定とのことです。

【コメント】
専従チームは1年程度の長期にわたり活動を続けていく方針とのことです。
栄光では宮城県内に24教室を展開しているそうですが、震災によって授業再
開の目処がたたない教室もあるそうです。そうした教室に勤務していた社員
の方の雇用を確保し、社会に貢献できる働きがいのある仕事を続けてもらう
ためにも、素晴らしい取組だと思いました。

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