3行日記

猫とか漫画とか車とか色々…

終える準備

2015-07-07 20:52:19 | Weblog

最近長時間の外出から帰った時、もうすぐ16歳になる猫が元気でいるのを見るとホッとする。
独りで置いて出るし、帰って知らずにゲーを踏むこともあるから。

友人から聞いた、20歳で大往生した猫さんの話。
ある時期から食べなくなり、鼻先へ持っていっても拒絶するようになった。
動物病院で検査しても病の兆候は無く、ただ自ら好んで冷たい床にうずくまるようになったという。
食べることを止め、飲むことを止め、体温を下げ、そうして彼は静かに活動を停止した。

それが死ぬということだね、と私達は話している。

猫は汗腺がないので体温を下げる時は耳や尻尾で放熱すると共に、冷たい所に寝転ぶ。
亡くなる前のその猫さんは、体が冷えちゃいけないと温かい所へ連れてきても、自分から冷たい床へ戻って行ったそうだ。
食べず飲まず体温を下げるーーー生き物が生きるためにすることと逆のことを自分で選択しての自死だった。

少し話が逸れるが、人間もかつてはその様に死ぬことが多かった。
「おばあちゃんがずっと寝てるよ」といって起きてくるのを待ってれば4〜5日で脱水して絶命する。
それを老衰と呼んだ。
今なら、家族が知識を持っていて「このままじゃ脱水するよ」と言って救急車を呼ぶ。
放置したらむしろ保護責任者遺棄致死を問われる。
自宅で家族が死亡した時に救急車を呼んだら、警察に廻されて事情聴取されるから気をつけた方がいい。
そういう時はかかりつけの往診医に連絡するのがいい。
もっと言えば往診してくれる付き合いのある医師を確保しておくべし。
現状、人間の生死を判定できるのは医者だけなのだ。

話を元に戻す。タイトルの終える準備について―――

ところで、父が亡くなる前の一週間ほどの間に不思議なことがあった。
戻すと言いながら猫の話が父の話になっとるがまあいい(笑)

肺炎で入院していた。
看護師さんが歯磨きやオムツ替え、着替えをしてくれるのだが、行くと脱がせたパジャマが畳んでおいてあった。
家族はそれを洗濯するのだが、掴んでびっくり。
洗濯機から出したばかりのように湿っているのだ。

「???看護師さんが洗濯して畳んで置いた?んなアホな」
「おしっこ洩らした?オムツしてるのに、パジャマの上まで濡れんやろ」

なんやようわからんが病院の洗濯機で洗濯してベッドサイドに干して、
ダンナがロードスターを買ったことや、オープンカー初体験の話などする。
「オープンカー乗ったことある?」と聞くと父は僅かに首を振った。
この頃はもうほとんど何も話さなくなっていた。
その日は病院を後にしてから玉木宏のイベントに向かった(笑)

2日後また病院へ。いつも母と1日交代だった。
ところが、またパジャマが畳んで置いてあった。
何もなければ2日で着替えさせることなどないのだが、パジャマは案の定ぐっしょりだった。
「なんでやねん???」
頭をひねった。看護師さんに聞きたかったがケアが終わって誰も来ないし、着替えさせた本人でなければ聞いても分からないだろう。
また洗濯して干して帰った。

2日後、父は亡くなった。


今ならわかる。人間は体温を下げるために汗をかく。
恐らくそういうことだったのだと思う。
病院はモニターしていた心拍が夜中に突然下がって…とか何かのショックかもしれない、とか言ってた。
でも突然なんかじゃなかった、生命を終える準備を少しずつしていた気がする。
生命がそう決めた時はどんな医療的な措置も受け付けず、自ら幕引きを決めるのかもしれない。
それは意志と連動するものなのか、もっと大きな何かがあるのか。

どうだった?って聞きたい相手がいないことが唯一の真実だと気づかされて問うのをやめる。


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