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さきち・のひとり旅

旅行記、旅のフォト、つれづれなるままのらくがきなどを掲載します。 古今東西どこへでも、さきち・の気ままなぶらり旅。

あっちの世界と昨日の世界

2013年07月28日 | らくがき

ネットをだらだらと見ていたら、こんな面白い画像がありました。

       

       

たしかに、ツボを得ている雰囲気ですね。つまらん掲示板などで威勢よく罵倒していたり、いかにも論理的な文章を装いながら、底の浅い稚拙さを丸出しにしているところを見かけると、ついついその人の「現実の姿」を想像してしまいます。

でもそれだけに、そういう人たちにとって匿名が保障されている居場所を提供してあげるのは意味があるのかもしれません。何せいまの世の中、いわゆるステレオタイプな「勝ち組」のスペック表が全国共通のスタンダードとして蔓延しているので、そこで「オール1」になってしまう人たちの劣等感やくやしさはどこかで解消してやらないと。できれば第三者を不当に傷つけるようなことのない範囲で。

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私は最近背中を痛め、しばらく寝たきり生活になってしまいました。立っても座っても、寝てもどっちを向いてもどんな格好をしてもズキズキ痛い。悲しいことに本を読んだり音楽を聴いたりすることにも集中できない状態。こうなると生活がガラリと変わってしまいます。普段「健康」を空気のように意識せずに(また人生に終わりが来ることなどないような前提で)生活を組み立てているので、それなくしては成り立たないプランすべてを考え直さなくてはならなくなる。

オーストリアの作家ステファン・ツヴァイクは、幅広い文芸研究・著作活動を行った人ですが、ユダヤ系だったためにファシズムが台頭したときに自由な活動が突然制限され、故郷を追い出され、命さえ奪われる危険を経験し、それを『昨日の世界』という本に書いています。

ある日、人間にとってもっとも大切な肉体的・精神的自由が突然「昨日」のことになり、それが失われてしまった悪夢のような「今日」は、現実に未来にまでずっと続いている。それは誰にでも起こることであり、放射能によって日常が破壊された福島の人々、ごく短い余命を宣告された病人や、大切な人を失った人々なども同様の体験をしていると言えるでしょう。

病気や怪我をして得られる良いことのひとつは、このように忘れていたことを思い出させてくれるところにありますね。