世界中で最も観光客が訪れる国イタリア。この魅力あふれる国への旅行記を綴るにあたり、まずはモスクワの話から始めよう。
初めての訪問は1989年、わたしがフリーターという身分で、貯金残高が近場の温泉旅行にも耐えないほどであった頃である。妹がオードリー・ヘップバーンの「ローマの休日」に入れあげていた。彼女は結婚が決まっており、寿退職していた。身軽なうちに是非イタリアに行きたいという。そこでヒマな(!?)わたしが「通訳&ガイド&ボディ・ガード(これはどうかと思うが)」という身分で雇われた。わたしがすべての段取りをして連れて行ったわけであるが、財政的な見地からは連れて行ってもらったのである。観光ブランを立て、飛行機を乗り換え、列車に乗って、長距離バスに乗って、宿と交渉し、レストランではメニューを説明し、美術品の解説をし、何でもやったんですよw(゜曲゜)w
払ってもらったんだけど…w(゜゜)w
女性の読者さん、こんなお兄ちゃんがいたらいいな、と思いますか?男性諸君、こんな妹がいたらいいですか?
さて、安い航空会社を使うのは当然。他の会社より10万円も安い、ダントツに安いのがロシアの航空機、アエロフロートであった。選択の余地なく決定。しかし日本を昼に出ると、モスクワで乗り換えてローマに到着するのがほとんど深夜であったのが問題だった。宿は日本で予約すると高いので、あちらで毎日安宿を探すつもりだったのだ。(初めてのヨーロッパ2週間だというのに飛び込み!)深夜に宿探しはしたくない。だからモスクワに夕方着いたらトランジット用のエアポート・ホテルに一泊し、翌日午前中の便でイタリア入りすることに決めたのだ。それがあんな興味深い経験をすることになろうとは、思いもよらなかったw(゜゜)w
モスクワの国際空港に降り立つと、そこはガランと大きく、薄暗かった。免税店の照明だけが煌々と明るい。ホテルへのバスをどこで待てばいいのかわからない。しかたなく薄ら寂しい待合室の椅子に座る。大変すわり心地が悪い。しばらく待てど、フロアには職員もいないではないか。横に座っていた日本人の中年女性が話し出した。
かなり覚悟しなきゃいけないわよ。何時間も待たされるから。先月ここに来た人は、 結局この椅子で一晩過ごしたそうだから。まあ最低5~6時間だわね。
嫌なことを言う…。通路を歩くと、ダンボールの中で暮らしている(?)人たちがいた。赤子までいる。ほとんどが黒人であるが、彼らはいったい何日間ここにいるのだろう?トイレに入ると、中で散髪をしている人、体を洗っている人たちがいる。中東の人間だ。彼らも長期滞在している様子だ。3月下旬とはいえ、ここは北国。はやくも日は暮れ、そとはすっかり暗くなった。気分も真っ暗になる。