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犯罪級の勘違い? 醸造酒は悪いもの?

2021-08-27 11:51:29 | 附属酒類経済研究所
                          

                           【公式HPはこちら↑】



話題にしてきたハードセルツァーは「炭酸水+醸造アルコール+味付け」なのですが、その醸造アルコールについて、ネットで見ていて、とんでもないサイトを発見してしまいました。


忘れないうちに(or 削除されないうちに)記録しておきましょう。
(魚拓はこちら








BS12という、BSの放送局みたいなサイト。

その中の、「醸造アルコールの気になる正体とは?アルコール添加は邪道なの?」というページです。


この手のもの、よくあるものですね。
その多くは、

「日本酒には醸造アルコールを添加したものがある(アル添酒)」

「醸造アルコールの多くはサトウキビの搾りかすから蒸留した高濃度のエチルアルコール

「昔はコスト面で、普通のお酒に醸造アルコールと水と味付け用糖類を加えて増量した、「清酒もどき」の『三増酒(三倍増醸清酒)』があって、ひどいもんだった」

という三題噺で、そのお後は、価値観の違いで「だから純米酒が良い」という論調と、「今では香りを引き出すために上手に使っている」等のパターンがありますね。


で、この記事はどちらなんでしょうか。

最初は、醸造アルコールの製法などについてで、教科書的。

ところが、途中から話がおかしくなってきます。





「醸造酒の歴史」と題されていますが、実際に読むと

「醸造酒の歴史は古く、江戸時代初期の1600年代に書かれた酒造技術書には、『日本酒に焼酎を足すと味わいがしまり~』(略)」

と、いわゆるアル添についてのお話。

つまり、著者は「アルコール添加したお酒」=「醸造酒」と勘違いしているんですね。

良い子の皆さんはご存じのように、「醸造酒」は穀物や果物などが発酵してできるワインや日本酒などの総称で、「蒸留酒」に対する言葉。




その勘違いのまま、「なぜ悪いイメージがあるのか」という部分に突入するのですが、勘違い故、冒頭から

「醸造酒と聞くと、純米酒に比べてあまり良いイメージを抱かない人がいます。」

と、醸造酒が悪いイメージ?と書いちゃってます(「アル添酒」は悪いイメージ、ということのようです)。


さらに続く文章では、今度は勘違いではなく誤字?がさく裂しています。



それは、戦後に造られた「三倍醸造酒」のせいである可能性が高いです。
(中略)結果的に元の日本酒よりも3倍に水増しされて造られることが当時の酒税法で認められており、こうして造られたのがいわゆる「三倍醸造酒」です。



いわゆる「三増酒(三倍増醸清酒/三倍増醸酒)」を意味しているのだと思うですが、それが「三倍醸造酒」という表記になっています。
「増醸」と「醸造」、語呂は似ていますが、「東京」と「京都」を間違えるようなもの。

著者はよほど醸造酒にうらみでもあるのでしょうか。


で、混乱のまま、最終章へ。







「こだわりの醸造酒も多くある!」と題していますが、ここでも混乱。

醸造アルコールを使用した日本酒は、「アル添系」と呼ばれます。

これはその通り、よくできました。
でも、次がいただけません。

アル添系のなかでも、3等以上の原料米を使用し、麹を15%以上使用した日本酒を「大吟醸・吟醸・特別本醸造・本醸造」の4つに区分します。さらに、添加するアルコール量を使用した原料米の10%以下にするという基準を守った日本酒を「特定名称酒」と呼ぶのです。

うーん。何が何だか分からなくなってしまいました。包含関係が混乱しています。そもそも

「大吟醸・吟醸・特別本醸造・本醸造」が「特定名称」であって、純米系も含めた特定名称酒(この定義の中に「麹15%以上」などがある)の中で、アル添(ただしアルコール量は上記のような10%以下)されているのが「大吟醸・吟醸・特別本醸造・本醸造」ということです。


清酒⊃特定名称酒 ⊃ アル添系(大吟醸・吟醸・特別本醸造・本醸造) ∧ 純米系(純米、特別純米、純米吟醸、純米大吟醸)

ですね。


ちょっとひどすぎますね。どこに文句言ったらいいんだろう。


#このサイトを見ると、「早川光の最高に旨い寿司」というグルメ番組のサイトなんですね。「早川光」さん、お寿司グルメだとしても、この勘違い、ヤバくないですか?





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