Diary Of 酒田の人

田舎住まいの60代サラリーマンの趣味の日々

回想の古伊万里 97(古平戸沢潟に鷺文六寸皿)

2020-12-11 23:11:52 | 古伊万里
鳥文様シリーズの6回目です。
今回は厳密にいえば伊万里ではなく、平戸(三川内)と思われる品で、一般的には幕末の古平戸として売られていることの多いお皿です。
「古平戸沢潟に鷺文六寸皿」

平戸らしい薄濃みの美しい六寸皿(実際には五寸半強の17cmほど)で、絵画的にうまく配置された沢潟とややマンガチックな鷺が描かれています。
最初に書いたように幕末の古平戸として売られた品ですが、実際のところは明治あたりの品ではないだろうかと思っています。
均一に塗られた薄濃みとグラデーションの技術は同時代の伊万里よりも技術的には上で、鍋島の陶工たちの技術が入っている可能性が高いのかも知れません。(この薄濃みに惚れて購入した品です)
この時代の平戸には良く見られますが、わりと雑な櫛高台と、これも鍋島の裏文様を雑にしたような唐草文が描かれています。


この品を見て感じるのは、表は同時代の鍋島以上なのに、裏は鍋島より数段落ちるという、裏表の絵付けのレベルが随分違うという点です。以前にこの絵付けのギャップ故に「不自然な品」という指摘をされたこともありましたが、好意的に考えれば、「表と裏を違う職人が絵付けした」というのが正しい意見のようにも感じられます。以前に同じお皿に金彩を加飾した品を見たことがありますが、やはり加飾のない品のほうが古手なんでありましょうか。
購入してから15年くらいになりますが、近年は見かけなくなったように思います。