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映画「パーフェクトディズ」

2024-01-28 15:17:13 | 日記
パーフェクトデイは私のルーチン生活と共通する哲学が映画の題材になっている。毎日、決まった時間に起きて植物に水をやり清掃の仕事をして晩酌をして本を読み就寝する。同じように繰り返されるルーチンを映す単調な生活のドラマである。
私は生活の幸せとは何かを問いかけていると観た。
この作品はドキュメンタリーのような映画である。
主人公は公園のトイレの清掃人である。
主人公の下層階級の仕事と賃金の低さについての社会的問題については一切触れていない。メタファーとしてさえも描いていないと思ったのだが、実は描かれていたのだ。
テーマとして日本が抱えている問題を直裁的に抉らないことについての批判を言う人物がいるであろう。
私この作品はあえて触れていないと感じた。清掃という仕事をまるで清掃員募集のPR映画のようにきれいに映す。手際よく処理する役所公司が演じる作業員の仕事振りは見事で、その仕事に従事している者の中には誇りを持てる人もいるかもしれない。汚物処理の情景などは出てこない。あえて外したのであろう。
一方で朝夕トイレ掃除で必死に稼いでいる人にとってはこんなきれいごとではないよと、吐き捨てるかもしれない。いろいろな見方があるだろう。
トイレ掃除は汚い仕事である。その仕事をすることが楽でないことは誰もが知っている。そこを映さない敢えて外すからこそメタファーの重さと、苦渋がより強く伝わってくる。
私は同じような肉体労働をしている。そしてこの映画の主人公にシンクロしている。淡々とこなしていく主人公のルーチン、規則正しく本人が1日1日に感謝して微笑む。同じことをしている。しかし、私のような人物は類がない。そんじょそこらには存在しない。
いい作品だ。観たものが幸せとは?についてじっくりと余韻を楽しみながら思索できる作品だと思う。
主人公は下層階級である、多分、年収300万円以下である。
その人々は多い。これからさらに下層階級に呑み込まれる人々は増える。庶民のマジョリティの多くはこの下層なのだ。
作家の川上未映子が主人公を没落貴族と規定した。
高給取りの生活を捨てて、あえて下層の仕事をする。晴耕雨読に近い幸せ。私も同じで幸せだが類を見ない。
多くの人々が目指す幸せは国策どうりに向かっている。国が率先して投資をあおる。投資コンサルタントのPR動画が氾濫しとぃる。麻生が2000万円くらいの老後資金もねーのかと舌禍したが、今の気流は金が舞い上がり落下してその中で手を広げて掴もうとする人々で溢れている。どうしたら儲かるか、そんな情報が氾濫しており目を通りすぎるだけで国民の一喜一憂が膨大なストレスとして黒い雨雲のように膨れ上がって実にいやな空気になっている。
この作品のメタファーはその点を観賞後の余韻として少しずつ迫ってくる。
この映画を観て、この投資社会を冷静に見つめ、少し熱い血を緩やかに温厚にしてみたらどうだろうか。良い眠り、良い目覚め、木漏れ日に穏やかな笑顔、うまい酒。平穏の幸せ。

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