龍の声

龍の声は、天の声

十牛図~禅の悟りにいたる十のプロセス⑧~

2011-03-22 07:53:16 | 日本
十牛図~禅の悟りにいたる十のプロセス⑧~

第八、人牛倶忘(じんぎゅうぐぼう)

真っ赤に燃えた炉の上にはなんぼ雪を入れても溶けてしまう。
何もかも溶けてしまって、あとには何も残らない。
「よい」という雪が落ちても溶けてしまう。
「悪い」という雪が落ちても溶けてしまう。
迷いも悟りも、悪魔も仏も、何もかも溶けてしまう。
そういう境地が「人牛倶忘」というところである。
男でもなければ女でもない、若くもなければ年寄りでもない、金持ちでもなければ貧乏でもない、学者でもなければ無学者でもない、善人でもなければ悪人でもない。こういう世界がお互いの悟りの真っただ中にある。本来無一物だ。一円相だ。仏にあっても余ることなく、凡夫にあっても欠くることなし。「円かなること太虚に同じ」だ。
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