Runrun日記

最近読んだ本ー勝者の混迷(上)

塩野七生 著作 「ローマ人の物語 6 勝者の混迷(上)」 新潮文庫

第三次ポエニ戦役も終わり、ローマが地中海沿岸の諸国を制覇した後の、紀元前133年頃からの事が描かれていました。
大きく成りすぎたローマには、歪が出てきたのですね。永い戦争に働き手を駆り出されて疲弊した小農民は増々貧乏に。働き手が多くいて、戦争の影響が少なかった大農民は、戦争の成果も受けて増々裕福になって行った。また、ローマ市民と、ローマ市民権を持たないローマ連合の各都市との不平等が顕著化してきた。

グラックス兄弟が現れます。
農地が、貴族や大農民ばかりに集まるようになっていたので、仕組みを変えて、貧乏な農民でも農地を確保できるように農地改革をしようとします。しかし既得権を手放したくない元老院議員・貴族達に阻まれます。グラックス兄弟は惨殺されてしまいます。

マリウスが現れます。
ヌミディアとの戦いや、北のゲルマン民族との間に戦争が発生すると、徴兵の仕組みを改めます。志願兵を募るようにし、貧乏で仕事にあぶれた人達が、職業軍人として職を得ることが出来るようにしました。しかし、戦争が終わって平時に戻ると、軍人の退職金が捻出できなかったりして行き詰ります。

グラックス兄弟の信奉者だった、ドウルーススは、ローマ連合の各都市の市民にも、ローマの市民権を与えようとします。イタリア半島に於いて、ローマに住む人達だけが持っていた特権、不平等を改めようとしたのです。当然、既得権者は許しません。ドウルーススは殺されてしまいます。

ついに、紀元前90年「同盟者戦役」が勃発します。
イタリア半島で、ローマ連合に加盟している都市国家が、一斉に蜂起しました。どうにか収まりますが、ローマは「ユリウス市民権法」を作ります。
これにて、ローマ連合は解体し、イタリアに住むすべての人がローマの市民権を持つようになった。

イタリアの小都市国家にすぎなかったローマが、地中海沿岸を支配するようになると、これまでの仕組みでは上手くいかなくなる。しかしそれを改めるにはには、流血を伴う抗争が必要になるってことでしょうか?

この後、ローマ帝国に変わって行くはずですが・・・、まだまだ抗争は続きそうです。

この小説のお気に入り度:★★★☆☆

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