Runrun日記

最近読んだ本ー日本奥地紀行

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ここ数日、スポーツクラブへ出かける以外は、本ばかり読んでいました。

散歩道で見かけた紫の実! ムラサキシキブと云うらしい。
源氏物語とは関係なさそうです。



イザベラ・バード著 金坂清則訳 『新訳日本奥地紀行』 東洋文庫

英国人の女性旅行家イザベラ・バードさんの旅行記です。
イザベラさんは明治11年5月、横浜にやって来ました。外人の観光客のまわらない僻地をまわりたいという事で経路は、東京から日光、新潟から日本海側を青森まで。函館から室蘭、苫小牧の先のアイヌのコタンを訪れています。時期は6月10日から9月中頃までの3か月程。

交通手段は、人力車、駄馬、それも使えない所は徒歩で。旅先の宿では、内地パスポートを持つ英国人だった為か、かなり優遇され、かって大名が使った本陣なども使えたようです。しかし、山間部での宿は、ノミやダニで悲惨。食料も口に合わず、大変困ったようです。この本には、英国人から見た明治初期の日本の風物、村や町、人々の暮らしが、驚きをもって描かれていました。

当時の日本人の服装やら頭髪など、興味深く描かれていました。
夏の旅行だったので、山間部の貧農の服装は、家の中では、褌、腰巻だけ、男も女も上半身は裸だったそうです。仕事で屋外に出る時は、丈の短い上着を羽織り、女性はモンペを履いていたそうです。
家は中門造りで、入口に厩があり人と馬が同居、ハエ、ノミ、ダニが多く、囲炉裏で火を焚くので家の中は黒く煤けて、イザベラさんは辟易としたようです。
半面、盆地や平坦地で暮らす農民や商人達の生活は、かなり清潔で良かったように描かれていました。
新潟や秋田の県庁所在地となる街は、文明開化で新しい病院や学校がたち繁栄していたが、旧城下町でも新庄などの街は裏びれていたとか。明治維新の廃藩置県で繁栄した町、没落した町がうかがえます。
この年の東北は長雨による災害が多かったようで、秋田から青森へ向かう途中、山中で崖崩れを目撃したりしています。

日本の宿屋は、大きな部屋を障子で仕切るだけでプライバシーが全くないと嘆いています。珍しい外国人が来ているという事で、障子に穴をあけて覗く物見高い野次馬たちの被害に有ったようです。この野次馬の被害には旅行中ずっと苦しめられたようです。

北海道では、アイヌのコタンを訪ね、アイヌの生活を聞き取り調査。その資料は重要な文献となったようです。日本の山や海、仏閣などの美しさを堪能しています。

この時期に、日本を旅した外国人の旅行記で、面白かった。

この本のお気に入り度:★★★★★

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