宮城谷昌光 著 「風は山河より 第四巻~第六巻」 新潮文庫
これは、3代にわたる野田菅沼新八郎の物語
はじめは家康の祖父・松平清康の話で、清康の死後、駿府の今川と尾張の織田に挟まれて苦悩する岡崎松平家の話ばかり出てくる。これはいったいなんだ?と思った(笑)
物語は、野田菅沼の創始、菅沼新八郎定則から始まる。そして定則が豊川で助けた童子・四郎が3代にわたる菅沼新八郎を助け戦国の世を生きていく。
桶狭間で今川義元が倒されると物語は大きく動き出す。今川は滅亡し、武田信玄がやってくる 大兵に攻められた城を守り切るって小説は、和田竜氏の「のぼうの城」が面白かったけどね・・。この小説の山場は、武田信玄に攻められた野田城を守り切る、三代目新八郎定盈主従の活躍。取り囲まれた城の中から、笛の音が流れてきたとか、城からの鉄砲で、信玄が打たれたとか、ほかの小説でも読んだ事がある。
長篠城での鳥居強右衛門の話は、有名で好きだけど、野田城でも同じように活躍した人がいたらしい。
宮城谷氏は、いかにも歴史小説家らしく、淡々と歴史の事実を求めて描いている。もう少し、事実から逸脱して、面白い娯楽時代小説に仕立て直してもいいのじゃないか。
野田四郎とか布佐は、実在の人物ではないだろう。この二人の存在が、この小説に深みを与えている。
三河武士の凄みを描いた小説
私のお気に入り度:★★★★☆
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