玄奘三蔵はインドに法をもとめて唐から旅に出ました。ちょうど皆さんがよく知っている西遊記のあのお坊様です。
夏目雅子さんが演じていたから美しい方のように思えますが確かに2メートルの身長があったとても高貴な雰囲気のある人を魅了する方だったみたいです。
ただガンダーラに滞在して多くの経典を書写して戻ってくるのに16年の歳月を要しています。ただ行って帰ってくるのには長い年月です。
まず国禁を犯して旅立ちました。ゆえに危険な目に何度もあっています。盗賊に命を奪われる寸前になったことも雪山で凍死しそうになったことも。実際に同行の人の何人かは命を落としています。
また立ち寄った国で法をひろめ、国王の懇願には耳をかたむけ納得いくまでそこにとどまります。そうすると他国にも名が広がり、旅の保護をうけることも多かったのです。玄奘三蔵はおのれの目的しか優先しないようなそんな小さな方ではありませんでした。
盗賊や国王が感化されて玄奘三蔵を慕うようになるのもその大きな精神性にふれたからです。
多くの経典をたずさえて川を渡っている途中で大風にあい、多くの経典を失ったりもしてます。また最初からやりなおし、書写しなくてはなりませんでした。
もし、スピリッチャル的な考えだともっとすんなりと神仏に護られて旅ができるのではないか、そう考えがちです。
しかしそうではありません。多くの苦難にあいながらもけっして諦めない精神力で乗り切っているのです。
唐に帰ってからは一貫して翻訳にはげみ19年の歳月をそれに費やします。
とてもありがたいお坊様なのに働きづくめです。
何がいいたいかというと、神仏を拝んでいれば安全で守ってくれる?
そんな都合のいい信仰とは大きく違うということです。
何か大きな何か。
不東、つまり法をもとめて旅立ったかぎりはけっして引きかえさない。東とは来た道を戻るという意味です。
その信念が多くのことを成す人には必ずあります。
普段の生活で盗賊に襲われることもなく、衣食住足りている自分はなんともその精神を見習わなくてはとあらためて思います。