2020@TOKYO

音楽、文学、映画、演劇、絵画、写真…、さまざまなアートシーンを駆けめぐるブログ。

現代のオペラは現代演劇の成果を越えられるか…?

2008-09-28 | ■芸術(音楽、美術、映画、演劇)
■(C)Taku

  このところ、まったく更新できずにいましたが、それでも毎日このブログをのぞいてくださる方々、ほんとうにありがとうございます。

  ひとつ前のブログは、大阪から帰ったときのものでしたが、あの時から今日まで、ずい分時間が経ってしまいました。大阪の後、今度は博多へ飛び、前回の台風の中を帰京したのもつかの間、先週は再び大阪に行ってました。

  ウィークデーがどんなに忙しくても、週末の休みにはブログの更新をしようと思っていたものの、あまりにハードなスケジュールのために心身ともに疲弊しきってしまい、ずっとPCに向かうことのできない週末が続いてしまいました。

  そのような日々の中、寸暇を惜しんで出かけた二期会の「エフゲニー・オネーギン」について、途中まで書いたのですが、公表するレベルに達しておらず、「下書き」ファイルに入れたままです。そう言えば、「オネーギン」の前の公演、「ナクソス島のアリアドネ」についての事々も、未だにまとめきれていません。

  8月26日(これも熊本出張から帰った日でした)、早稲田大学演劇博物館グローバルCOEプログラムの主催で「オペラ舞台におけるポストモダーン演劇美学-ワグナー演出を中心に」という講演会があり、雨の中、高田馬場へ走りました。

  講師はバイロイト大学のズザンネ・フィル教授、ポストモダン、脱構築などといったテーマを考える上で、ドイツ語から日本語への翻訳はかなり難儀なこと、そもそも難解なテーマがますます複雑になってしまいました。

  面白かったのは、今年のバイロイトの「パルジファル」の映像(もちろん一部)など、レアなビジュアル資料に接することができたことです。その中で、やはり異彩を放っていたのがペーター・コンヴィチュニー、モーツァルトの「皇帝ティトの慈悲」に続いて二期会の「オネーギン」を演出した人です。紹介されたのはシュトゥットガルトの「神々の黄昏」でした。

  ズザンネ・フィル教授は、バイロイトを実験工房と位置づけ、現代のバイロイトが抱えている多彩なテーマをいくつか提示していました。たとえば、以下のような事々です。

  1.リアリズム的二重化の美学(テキストと舞台情景の一致)
  2.反絵画的舞台(空っぽの舞台)
  3.メタファー的演出
  4.コンセプチュアル
  5.ポストコンセプチュアル=演出優位、ビジュアル優勢
  6.シュールリアリズムの影響…

  60年ー70年代の現代演劇を追究してきた私にとって、現代演劇の先鋭さに後れをとっていたオペラ演出が、このところ現代演劇の成果を取り込んで、徐々に面白くなってきていることを興味深く見ています。イギリスのブルック、ポーランドのグロトフスキ、フランスのムニュシュキン、アメリカのベック、日本の寺山…、彼らが広げていった演劇の地平を、オペラの舞台はさらに拡大することができるのだろうか?

  そのような事々を、体力と気力のあるときに徐々に書いていこうと思っています。

  今回から、何回かに分けて、映像作家を志している長男が撮った写真を掲載することにしました。私にはとても真似の出来ない、鋭い感性の写真ばかりです。私の長ったらしい文章よりも、彼の写真を目当てにこのブログを訪れてくれる人が増えてくれれば、それはとても嬉しいことです。

  

  

  
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