2020@TOKYO

音楽、文学、映画、演劇、絵画、写真…、さまざまなアートシーンを駆けめぐるブログ。

■セントアンナの奇跡

2009-08-21 | ■映画
  スパイク・リーの最新作、「セントアンナの奇跡」を見ました。

  見終わってから7時間以上が経過しているというのに、心の底に重い課題を担ってしまったような感覚があります。

  とはいえ、それは、ある種の心地よい課題です。

  戦争をテーマにした映画にありがちなステレオ・タイプの人物が多数登場するのですが、善玉とか悪玉とかいう区別で済ませるのはなかなかむずかしい。

  まだ、この映画を見ていないひとのために、ラスト・シーンを書くことは遠慮しますが、人種差別、一神教信仰、戦争のバカらしさなどのテーマが重層的に絡み合って、ドラマが形作られます。

  そのような事々をまとめて言えば、天国と地獄。映像的なコントラストとしては、もっとも描きやすい情景だと思いますが、スパイク・リーは、それを単純な二元論として提示しているわけではありません。

  人間の実在の危うさと信仰の深さ、日本人である私にはなかなか厄介なテーマであります。冒頭に書いた心の底に担った重い課題、しかし、心地よい課題…。西洋音楽を考える上でいつもブチ当たるテーマに、久々に再会したような気がしています。

  

  
コメント
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