2020@TOKYO

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■九月句会 その五

2009-09-21 | ■俳句
  さて、すでに書いたとおり、句会には毎回「席題」というものが師匠から提示されます。私が始めて出席したときの席題は「鉄」、次が「気」、「急」とつづき、今回は「半」という題でした。

  半という題さえ入ればよいわけで、半分、半端、半漁人など、使い方は自由です。ただし、その場で詠む即興芸が問われるわけで、まさに実力が試される機会でもあります。

  季語の設定がむずかしい場合は、当日の季題を使うことが推奨されていて、この作戦に出る人が結構多いようです。

  そこで、私は「鯊」を使用し、以下の句を詠みました。

  鯊の背に半透明のひれ踊り   白竜子

  仕事の過労が重なって、句会の会場に着いたときにはほとんど寝てしまいそうな状況の中で詠んだものなので、自信はまったく無かったのですが、師匠が佳作として採ってくれました。

  そんな中、少し遅れてきて私の隣に座ったある参加者は、大島の単衣を凛と着こなし、席題を聞くやしばらくの間をおいて、ささっと短冊に筆を走らせました。

  それがどんな句だったか、私はカンニングをしませんでしたが、やがてその句が特選になったことで、全貌が明らかになりました。

  半襟の色も冴えたる月の道   香を里

  席題の「半」を半襟と見立てたところで勝負はついていました。しかも、この句の空気感の清冽なこと!この人が歩く月の道の先には何が待ち受けているのか?決して、悲劇だけは待ち受けているはずがない…と思わせる不思議な気配。

  半襟、色、冴える、月、道といった文字が心の安寧を表すのは何故か?

  半襟の色も冴えたる月の道   香を里

  「月に憑かれたピエロ」同様、私はますます俳句の深淵に引き込まれて行くのでした。

  

  

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