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ボキャ本(7)ー『ことばはちからダ!』

2010年04月17日 | 受験
河合塾講師『ことばはちからダ!現代文キーワード 河合塾SERIES 』(河合出版)

牧野剛ら河合塾人気講師が協働で執筆したのが『ことばはちからダ!』である。2001年出版ということでやや古くなっているが、現在最も定評のあるボキャ本だといって良いだろう。だが、他のボキャ本とは一線を画しているので、注意して活用したい。とういのは、難しい単語の語義の説明がある本というよりは、より本格的な読み物的であり、ぱらぱらとめくりながら使えるような本ではないからである。

最初に「まえがき」「本書の使用法」がある。良い印象だ。そして、著者によると、石原千明『教養としての大学受験国語』などを引きながら、入試現代文においては「近代批判」を重視すべきだとしているようだ。私には非常に好ましく思える。だが、2010年以降の現代文(英語)の入試傾向に、近代批判という視点がいまだに相応しいのかどうなのか、慎重に再検討する時期にあることも付け加えておきたい。

本書は四章仕立てになっている。まず1章と2章をしっかりと繰り返し読み、ついで3-4章にいくようになっている。3,4章はふつうのボキャ本と似ているので、1,2章だけを読んでも良いだろう。

第一章 20語90頁

「非日常/日常」「普遍/特殊」といった言葉のやや丁寧な説明
 ↓
センター試験などの少し長い文章を、キーワードごとに読ませる


というパターンで進む。本書の最大の特徴は、語句の説明をするだけでなく、そのすぐ後に毎回ちょっと長い文章を読ませて考えさせてしまうという点である。私はこの提示の仕方は面白いと思う。キーワードについて簡略化された解説を読んで分かった気になっても、実際に評論文を読んで理解できるとは思えないからである。現代文のキーワードは、知らない単語を電子辞書で調べるような作業ではあり得ない。だから、難しい文章との格闘がどうしても必要となってくるはずなのだ。

第二章 5テーマ 50頁
 ここでは読み物として面白い解説文となっている。


評価

巷の評価だと、本書よりもZ会の『現代文キーワード読解』(2005年)のほうが難しいらしい。たぶんそうなのでしょう。しかし、本書にでてくるセンター試験の文章も、実はかなり難解なのである。しかも部分的に切り取ってきたために、どう読んでも理解できないような文章までもがあるのだ。また、不適切な解説部分もいくつか発見した。たとえば「絶対王政」が中世であるかのように描いている。ふつう、絶対王政は近世ではないか。

国語だとかゲンダイ思想に弱い高校生にとっては、一人では活用しきれないのではないのかと思うのだ。そういう意味では、弱点がある。だが、それを上まあ悪魅力のある本でもある。実を言うと、ウチの塾生には強制的に読ませることにした。もちろん私が解説するという前提で読ませるのである。もし解説つきという前提がないのであれば、長野研一のものだとか、高橋あたりを読ませただろう。また出口の本なども一部ぜひとも読ませたいと思っている。

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