大学入試現代文キーワード&ボキャブラリー320 (シグマベスト)長野 研一文英堂このアイテムの詳細を見る |
このボキャ本(定価¥800円+税金)は現代文講師の長野研一先生が2008年に出したごくごく新しい作品だ。(なお、長野先生にはブログもあるそうだ)。
さて本書はテーマ型の「キーワード編(9テーマで55語)」(約100頁)と、「ボキャブラリー編(265語)」(約120頁)から成っている。いずれも大変見やすい構成だ。また簡単なチェック問題があって、勉強しやすい。これを手に取ってしまうと、大前誠司のキーワード本は過去のモノになってしまったなあと思う。
キーワード編であるが、テーマとしては「近代」「合理化」「主客二元論」「日本近代」「異文化理解」「ことば」「コミュニケーション」「国際化」「情報の変化」である。それぞれのテーマの解説の後には、神、進歩主義、合理、多元、主体、自我、自文化中心主義、和魂洋才、啓蒙、文化相対主義、個人主義、共生、バーチャルといった個々の用語の説明が付け加えられる形になっている。さらに最後にはキーワードの相関図が描かれ、スピードチェックと確認問題も加わっている。
なかなか良いじゃないか!
敢えて難点をいってみよう。テーマ解説文だけを読んで、本当に国語が苦手な高校生が理解してそれを得点に結びつけられるか、ということがちょっと心配なのだ。読者は難しい言葉や概念ともう少し格闘していく必要があるのではないのか。評論文や問題文を読みながら、キーワードを朧気ながらも段々と理解していくプロセスなり作業なりが必要なのではないのか。この点において、前述の出口・横山のボキャ本だとか、河合塾講師による『ことばはちからダ!』のようなものと併用したらよいと私は考えるわけだ。