GO! GO! 嵐山 2

埼玉県比企郡嵐山町の記録アーカイブ

心の歌 根岸・小沢スミ

2010年01月02日 | 文芸

   心の歌
 錦(ニシキ)を重ね綾(アヤ)を敷き
 玉の臺(ウテナ)に住むとても
 心の花の薫(カオ)らずば
 いかでか永久(トワ)に榮ゆべき

 ももちの言葉つらぬとも
 たえなる文を飾(カザ)るとも
 心の誠(マコト)こもらずば
 など世の人の迎(アオ)ぐべき

 野辺に耕(タガヤ)す幼な子よ
 巷(チマタ)につむぐ女め(オトメ)子よ
 たゆまず心つちかいて
 尊(トフト)き人になれよかし

 幾年経(ヘ)にし今もなほ
 夕(ユウベ)となれば我が胸を
 行きかふものは故郷の
 幼き頃の思いなり

 桜の花を髪にさし
 夕焼け雲の焇ゆる頃
 手に手を取りて草笛を
 吹きて遊びし野の道も

 水澄む秋の大河の
 流れの岸に立ち出でし
 小魚をすくい衣(キヌ)ぬらし
 いたくも母に叱られぬ

 その事ごともなつかしく
 悲しき時も嬉(ウ)き時も
 思いならせば己(オノズ)から
 心静まる我が身なり

 あゝ故郷は永久(トコシエ)に
 世の争(アラソイ)もにくしみも
 知らぬ安けき永久(トワ)の国
 我が魂(タマシイ)の住む所

   婦人従軍歌
     作詞 加藤義清
     作曲 奥好義
一 火筒(ほづつ)の響き遠ざかる
  跡には虫も声たてず
  吹きたつ風はなまぐさく
  くれない染めし草の色
二 わきて凄きは敵味方
  帽子飛び去り袖ちぎれ
  斃(たお)れし人のかお色は
  野辺の草葉にさもにたり
三 やがて十字の旗を立て
  天幕(テント)をさして荷(にな)いゆく
  天幕に待つは日の本(ひのもと)の
  仁と愛とに富む婦人
四 真白に細き手をのべて
  流るる血しお洗い去り
  まくや繃帯白妙(ほうたいしろたえ)の
  衣の袖はあけにそみ
五 味方の兵の上のみか
  言(こと)も通わぬあた迄も
  いとねんごろに看護する
  心のいろは赤十字
六 あないさましや文明の
  母という名を負い持ちて
  いとねんごろに看護する
  こころの色は赤十字
           1894年(明治27)10月発表

※近衛師団軍楽隊の楽手・加藤義清が戦地に赴く従軍看護婦を駅頭で見て感動し、一夜で書き上げたという。これに宮内省の楽師兼華族女学校の教官であった奥好義が曲をつけた。小学校の唱歌で教えられていた。



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