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埼玉県比企郡嵐山町の記録アーカイブ

運動競技所感 栗原正敏 1929年11月

2009年10月05日 | 栗原正敏(日記、作文)

   運動競技所感  昭和4年(1929)11月20日
           第4学年乙組14番 栗原正敏
 近年各種の運動競技は非常な勢で発達した。我が国の体育上から見ても喜ぶべき現象ではあらう。然し運動競技の末は試合の結果に走りすぎはしないであらうか。体をねるべき運動競技に於て体をこはす様なことはないであらうか。こう考へるとなんとなくうたがひを起さずにはをられない。運動を過度にやったために体をこはすのならやらない方がよい。然し何も運動せずに勉強ばかりしてゐる者が果して丈夫であらうか。私はすぐに青い顔を予想する。
 して見るとやった方がよいらしい。もっともやった方がよいから運動競技が発達するのであらう。
 私は運動競技は大いにやった方がよいと思ふ。此の中学にして見ればまだまだ運動がたりないと思ふ。学校の授業が終れば皆急いで帰ってしまふ。そして勉強する。運動をしようと思ふ感心な人がゐても運動して居れば成績が下るからよす。だから自然に体の弱い人が多くなるのであらう。
 そして学校を休む。だから出席率が悪い。ほんたうに運動して体を丈夫にしようと思うなら学校では運動時間をもっと多くした方がよいと思ふ。そして選手にばかり運動させずに皆同じにやらしたがよいと思ふ。そうでないと選手ばかいる運動競技となり、運動の健全な発達は望まれないであらう。

※評点は「乙上」。「学校、特に我が校【松山中学校】の運動について論じてゐるが偏してゐると思ふ」との講評が朱書してある。



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