振り出しに戻る「落陽日記」

旅や日々の生活の一コマ。60代半ば、落陽期を迎えながら気持ちは再び振り出しに戻りたいと焦る日々です。

[どこかにマイル」を使って山形へ(3)巨杉に囲まれた羽黒山五重塔

2019-12-04 13:59:21 | 旅行
肘折温泉を出発して山を下り、最上川沿いに出た。下流に向かって走っていると右手に白糸の滝が見えた。最上川には舟下りの場所が3ヶ所くらいあるようだが、下っている舟の姿は見当たらない。





冬季になっても雪景色を見ながら下る舟もあるそうだが、そんな気にはならない。

最上川をそれて出羽三山のひとつ、羽黒山方面に向かうと柿の木が増えて来た。



昨日、山形空港をレンタカーで出発して暫くはリンゴを植えた果樹園が続いていたが、その後からは柿を見ることが多くなった。看板などに「庄内柿」と書かれているので、この地方の名産のようだ。

気になったので後で調べると、明治の中頃から栽培が始まったこの庄内柿は形が平たくで四角い、種無しの渋柿とのこと。アルコールや炭酸ガスを使って渋抜きをしてから出荷するらしい。近年の柿の生産高は、和歌山、青森に次いで山形県は全国で3番目とある。

自分が生まれた田舎では自宅に富有柿の木が2本あり、もちろんそのまま食べていた。しかし、隣家の渋柿を頂いた時(黙って)は、田んぼに積み上げられた稲わらの中に押し込み、何日間か経て蒸らされると渋が抜けて甘くなっていた。今は干し柿をたまに食べることはあるが、生柿をほとんど食べない。昔は柿も大事なおやつだったのに。


出羽三山神社に着き、随神門を抜けるとしばらくは石段を下って行くが、周囲は樹齢数百年を経た杉に囲まれている。







祓川に出て赤い神橋を渡ると右手に須賀の滝が見える。





更に進むと左奥に、ひと際大きな古杉が現れた。案内板には樹齢千年以上で、なまえは爺杉とある。10月には若狭一の宮で、やはり杉の古木を多く見たが、ここ羽黒山は杉の密度が断然高い。



間もなく、その杉木立の中に五重塔が見えた。





五重塔は仏塔として建てられたはずで、全国にも多くあるが大概は寺の中に建てられている。ここは羽黒山神社の一角で、恐らく明治初年までは神仏習合の寺もあったのだろう。寺と一緒に破却されなくて良かった。

大阪四天王寺の五重塔を見たのは11月初めだったが、あそこは確かコンクリートを使っていて、その後方にはマンションが立ち並んでいる。京都の当時にある五重塔はたびたび目にするが、西の方から新幹線で京都に近づくと五重塔と京都タワーが一緒に見える。

それはそれで良いのだけど、鬱蒼と茂る杉木立に埋もれているような羽黒山五重塔は、荘厳な雰囲気を強く感じた。自分の郷里、山口瑠璃光寺の五重塔も山裾にあり、池に映る塔が綺麗に見える時もあって、そこも素晴らしいと思う。


今年は4月末から11月末まで五重塔の特別拝観が行われていて、500円を払って内部を見学した。内部は撮影NGだったが、建物内部の構造がわかって良かった。2階からは5本の心柱を中心に建物の梁が釘などは使わずに組み合わされ、葡萄の蔓で括られていた。



特別拝観の最終4日前に来れたのはラッキーだった。

ここから羽黒山頂上の出羽三山神社まで石段が2446段あると言う。行きたい気持ちは満々なのだが、今日は鶴岡と酒田へ行きたいので時間が足らない。残念ながら割愛!