ショッピングモールの中の駄菓子屋は親切な郷愁でおなじみ
ドン・キホーテが開店すれば湧いてくるドン・キホーテにいそうなお客
派遣社員で構成されしショッカーの独身寮は夏でも寒い
戦争を知らぬ世代といわれても大丈夫いつか知ることになる
リサイクルショップに行けばこんなもの最初に買った人がいるんだ
宇宙のそとにフェッセンデンを見つけたる宇宙学者がひたすら隠す
火葬の風習ありて化石に残らざる恐竜もいた 絶対にいた
いまごろは福島第一原発にいるやも知れず公田耕一
汚れたる眼鏡拭かんと開脚の如くにひらくポケットティッシュ
つまみ食いしようと思い五秒ほど考えてからまた戻したり
メジロマックイーンの直系絶えたれどオルフェーブルにその血を残す
百万石と言えば聞こえはいいのだが十五万トンと言えば少なし
飛行機を折らなくなった少年は空の苦しみを知ったのである
誰も言わないがカダフィの死顔は間寛平にすこし似ていた
ノンアルコールビールというのは要するにビール味したサイダーである
ソウルオリンピックの聖火で焼けた鳩をたまには思い出してあげよう
葬式のスパイスとしてご焼香形式としてかなしむための
こんな所にも格差あり流星群持ちし星座と持たざる星座
タイソンのパンチから亀田のパンチへと減衰したりコンビニのひかり
来週は雪らしい 冬やってきて私は白いこなぐすり飲む
孤独死をテレビはうつす 孤独死の部屋に地球儀置かれてありぬ
「お墓にひなん」したる九十三歳の遺書の旧かな「やうに」かなしき
内戦のシリアの首都はダマスカスダマスカスって詐欺師みたいだ
「覚醒剤」と書くと「覚せい剤」よりは犯罪からは遠い気がする
北海道にはありそうなサベツ川、ショウモナイ川、シカタナイ川
保守的な「子」がやわらかくぶちこわす栗木京子のシンメトリーよ
「ファシズムの再来に気をつけよう」とヒトラーが今いたら言うはず
死者行方不明一万九千 日本の一年の自殺者よりも少なし
外見で差別するなということは内面で差別してもいいのか
君が代を歌っているか監視する教頭は君が代を歌わず
飛行機と飛行機雲を産み出して二十世紀のはじめごろ美し
大津波によって完全犯罪が成功したる例もあるやも
韓国というと理性をなくす人おんな韓流おとこ嫌韓
人生に待つ〈天国と地獄〉とを運動会で子も親も聴いた
枯野には枯野の役目ありにけり草を抱きしめ雪を抱きしめ
「日本人が慢心だとかありえない」その言葉自体すでに慢心
ごみ収集日にあらざればカラスさえ大人しく空をよぎりたるのみ
あわれさの入門編としておこうカラスが食べるスズメの死骸
戦争を知らぬ世代といわれても大丈夫いつか知ることになる
自民党になぜか都合のいい時期に北朝鮮は衛星(ミサイル)を撃つ
自民党になぜか都合のいい時期に領空侵犯する中国は
ニッポンヲトリモドシマス親切な郷愁がほら大手をふるう
「モキチキ」とするとコンビニで売っている物のような気のする茂吉の忌
飛行機と飛行機雲を産み出して二十世紀のはじめごろ美(は)し
安全と言えば即座に負けになる原発しりとり 危険でも負け
ニッポンヲトリモドシマス親切な郷愁がほら大手をふるう
わたくしが短歌を詠みし十五年単なる空白の十五年