臆病なビーズ刺繍

 臆病なビーズ刺繍にありにしも
 糸目ほつれて今朝の薔薇薔薇

古雑誌を読む(角川「短歌」1016年10月号・そのⅡ)

2016年10月30日 | ビーズのつぶやき
 「春日真木子作『蝉と蟬』連作三十一首」より十首抜粋

○  投稿歌の「蝉」は自由に泣かすべし「蝉」より「蟬」へ直しつづけつ
○  地の底の焔のことば伝ふべく腹を震はせ鳴き立つ七日
○  身を折りて拾ふ空蟬透きとおりわが現し身は影ふかきかな
○  ふたたびは蟬の帰らぬ小さき穴 しづかに夜気が埋めゆきたり
○  検閲を受けにし有無を探るべく戦中戦後のわが小誌繰る
○  自主規制 編集の上になしゐしやわれの小耳に父の嘆息
○  きはまりは編集後記含みある言葉かこれは深く汲むべし
○  検閲を憚り書きし悔しみを師が詠み得しは三十年の後
○  平和とふ時の埃をかぶりたる小誌に光る反骨のうた
○  卸し金の棘を宥めむ八月の大根はまるくなでて摩るなり