「春日真木子作『蝉と蟬』連作三十一首」より十首抜粋
○ 投稿歌の「蝉」は自由に泣かすべし「蝉」より「蟬」へ直しつづけつ
○ 地の底の焔のことば伝ふべく腹を震はせ鳴き立つ七日
○ 身を折りて拾ふ空蟬透きとおりわが現し身は影ふかきかな
○ ふたたびは蟬の帰らぬ小さき穴 しづかに夜気が埋めゆきたり
○ 検閲を受けにし有無を探るべく戦中戦後のわが小誌繰る
○ 自主規制 編集の上になしゐしやわれの小耳に父の嘆息
○ きはまりは編集後記含みある言葉かこれは深く汲むべし
○ 検閲を憚り書きし悔しみを師が詠み得しは三十年の後
○ 平和とふ時の埃をかぶりたる小誌に光る反骨のうた
○ 卸し金の棘を宥めむ八月の大根はまるくなでて摩るなり
○ 投稿歌の「蝉」は自由に泣かすべし「蝉」より「蟬」へ直しつづけつ
○ 地の底の焔のことば伝ふべく腹を震はせ鳴き立つ七日
○ 身を折りて拾ふ空蟬透きとおりわが現し身は影ふかきかな
○ ふたたびは蟬の帰らぬ小さき穴 しづかに夜気が埋めゆきたり
○ 検閲を受けにし有無を探るべく戦中戦後のわが小誌繰る
○ 自主規制 編集の上になしゐしやわれの小耳に父の嘆息
○ きはまりは編集後記含みある言葉かこれは深く汲むべし
○ 検閲を憚り書きし悔しみを師が詠み得しは三十年の後
○ 平和とふ時の埃をかぶりたる小誌に光る反骨のうた
○ 卸し金の棘を宥めむ八月の大根はまるくなでて摩るなり