湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

ルーセル:組曲へ調

2008年03月27日 | フランス
○コッポラ指揮大交響楽団(GRAMOPHONE)SP

ブカブカ吹かす感もあり雑味含め娯楽的だが、コッポラの録音はたいてい即物スタイルゆえ、色彩的で派手でわりとゆったりしたこういう演奏は珍しい。雑味といってもオケはけして下手ではなく表現に躊躇がないだけであるから、昔の録音好きにはおおいにアピールするだろう。この酒場やキャバレーのワイザツな情景をうつしたような音楽はこうやるのが本来の流儀かもしれない。
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ドビュッシー:管弦楽のための夜想曲~Ⅲ.シレーヌ

2008年03月27日 | ドビュッシー
○ピエルネ指揮コロンヌ芸術協会他(ODEON)SP

全曲録音しているのではないかと思うが、他に確認できているのは雲だけ。印象派音楽表現のセンス溢れる素晴らしい演奏で合唱とオケのバランスもモノラル録音としては理想的。美麗で典雅。ブレの無い克明な演奏からはアンゲルブレシュトあたりに通じるフランス派の曖昧さを排したオケコントロールぶりも伺える。SPゆえ速めのテンポをとっている可能性があるがそう感じさせないのは音色の繊細な妙だろう。○。
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オネゲル:パシフィック231

2008年03月27日 | フランス
コッポラ指揮グラモフォン交響楽団(GRAMOPHONE)SP

冒頭からブラスソロが危なっかしい。奇怪なリズムをかなり技巧的に表現しなければならないので、とくにこの時代の貧弱な録音方法では、オケ総体としての音量と整合させつつしっかりソロパセージを聞かせるのは難しいのかもしれない。ソロとオケ別録ならまだしも。弦がマスで加わるとテンポが安定して、流れで聞けるようになる。しかしやはりこの曲はこの時代の録音技術およびフランスオケではなかなか難しく、手だれのコッポラをしても聞かせどころである音量の巨大な起伏すら作れずちぐはぐで粗雑にならざるをえなかったようだ。
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ミヨー:人生の喜び(ワトーを讃えて)

2008年03月26日 | フランス
○作曲家指揮ロスアンゼルス室内アンサンブル(DECCA他)

小交響曲のような古雅で牧歌的な曲。ただ優しい音楽というだけではなく小規模アンサンブル的な面白さがあり、ゆったりした流れの上で新鮮に楽しめる。平易な曲ではあるが技術に穴のない奏者陣によってしっかり明瞭に進められていく。ミヨーには珍しく前衛の影がなく、かといって無邪気なだけでもなく、しっかり新古典を意識した作りになっているからわりと飽きない曲。○。
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ミヨー:漫遊者組曲

2008年03月26日 | フランス
○作曲家指揮ロスアンゼルス室内アンサンブル(DECCA他)

五人組時代・南米時代の作風によるもので終始曇り無い暖かでわかりやすい曲想や楽天的なリズムにつらぬかれている。録音もクリアで、アメリカの管楽器のいい意味でニュートラルな音がさらなる聞き易さとなっている。一昔前のアメリカのテレビドラマ音楽によくきかれた音色でもあり、溌剌として空は春陽に晴れ渡る曲とマッチして懐かしさすら醸される。○。
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カリンニコフ:交響曲第1番

2008年03月26日 | ロシア・ソヴィエト
○ラフリン指揮モスクワ放送交響楽団(SERENADE:CD-R他)

MELODIYA原盤、そちらは別項にあげた。セレナーデは単純板起こしのはずが強調処理やノイズリダクトの感じがして、いかにもロシアなアナログの巨大なぶよぶよした音響を、少し乾燥させ主観的にわかりやすく彫刻しなおしたような違和感をおぼえた。元が悪い録音とはいえスケールが落ち、デジタル圧縮音源の復号化した音みたいにも感じ、単純勉強用にデュナーミクやテンポの変化だけを拾うには向くがとくに弦楽器のニュアンスや厚みの変化を読み取るには不足をおぼえる。まあ、細部を無視し大局的な解釈だけ正確に聞き取れるゆえ、あー、ラフリンも大局的にはたいした解釈を提示してないんだな、ということを認識できたぶん価値があった。
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ラヴェル:バレエ「ダフニスとクロエ」第二組曲

2008年03月26日 | ラヴェル
◎アンゲルブレシュト指揮ORTF、合唱団(LANNE:CD-R他)1959/11/8LIVE

目の覚めるような、余りに鮮やかに音粒の総立った朝の壮麗な情景に言葉を失う。たっぷり呼吸するようなフレージングで、細部まで明瞭な音楽がアンゲルブレシュトならではのリアリズムを巨大な幻想の上に構築する。ライヴですらこの鮮やかな表現、盤は板起こしであるもののモノラル末期最良の放送マスターからのものであるらしい。表層の雑音があるゆえ迷ったが、だからこそ痩せのないふくよかな原音が聞けるというメリットをとって◎。恍惚的なテンポもすべて巧緻に正確に発音される各楽器の組み合わされた総体によって揺るぎない構築性に裏付けされている。融合的ではないので風の隙間を通るような非緊密性はあるが、いわゆるこれがフランス的なアンサンブルなのだ。イタリアふうに赤い固まった火の玉になる必要はない。硝子でできた蒼い炎のような組物となる全員の踊りは、アンゲルブレシュト特有のデジタルに鋭角な演奏ぶりが遅く重量感あるテンポから陳腐さやロマンを抜き取り、人によっては乾燥をかんじるかもしれないが、たぶん、これはラヴェルの一つの正しい表現様式である。
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ミヨー:ルネ王の暖炉組曲

2008年03月26日 | フランス
○PAYS-BAS五重奏団(MMS)LP

自演室内交響曲集の裏に収録。生命力があり、新古典の範疇にある整った曲に世俗的な感興を持ち込んだような動きある演奏になっている。技術的瑕疵はない。
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ミヨー:小交響曲第1、2、3、5番

2008年03月26日 | フランス
○作曲家指揮ミュージカル・マスターピース室内楽団(MMS他)

ひさびさなのでまたエントリしてみた。頒布盤で出ていたモノラル録音でCDになったことがあったような気がする。楽団名は臨時のもの。わりとクリアな音で迫真味がある録音。楽団は緊密でみな力がある。いかにもフランスのアンサンブルの音を、牧歌的な曲想の発露のなかで愉快に楽しめる。曇った響きの曲も愉快。後年のステレオ録音全集よりミヨー自身の指揮もアグレッシブで前のめりなテンポだ。抜粋だが価値はある。○。
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マーラー:交響曲第7番「夜の歌」

2008年03月25日 | ドイツ・オーストリア
○テンシュテット指揮LPO(WME:CD-R)1980/8プロムスLIVE

ブラヴォ大喝采のライヴだけど、この人にはイギリスやアメリカのオケよりドイツのオケでしっかり正規録音を残してもらいたかった。主情的な演奏ではないし、テンポ感だけをとってみれば落ち着いてさえいる。音の強さ、表現の磐石の堅さにマーラーの真理の一片が確かにあらわれている、だから下手に有機的であったり音響的に高音に偏ったようなカンタービレなオケでは軋みを生じる。げんにミスの多い演奏である、終盤まとまってくるとはいえお世辞にも緊密とは言えない。テンシュテットの少なくともライヴはこのようなものであるかぎりどれも同じような問題をかかえている。正規があれば十分だし晩年か壮年かでもそれほど目立った解釈の差は無い。放送エアチェックゆえ僅かな欠落や雑音など多く、マニアのみに有用であると言うべきか。それほど熱は感じられない。○。
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ヒンデミット:クラリネット協奏曲

2008年03月25日 | ドイツ・オーストリア
○ズーコフスキー(CL)コンドラシン指揮ロス・フィル(HARVEST CLASSICS:CD-R)1981/2/22LIVE

呆れるほどに腕のたつソリストと丁丁発止にわたりあうロス・フィル、コンドラシンというコンチェルト伴奏には定評ある、なおかつ乾いた即物スタイルでヒンデミットに適した職人指揮者がその間でしっかりとりもっていたのがこの演奏の成功につながっている。ヒンデミットにしては鮮やかな耳を惹くパセージが多い、楽器のせいもあるのだが、コンドラシンの作り出す音もまた色彩的で透明感がある。個性は薄まったかもしれないがより万人を寄せ付ける芸風にいたっていた、この指揮者にはしかしもう寿命がなかった。○。
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ボロディン:弦楽四重奏曲第2番

2008年03月25日 | ボロディン
○ハリウッド四重奏団(TESTAMENT他)CD

これは室内楽全般に言えるデジタル復刻の問題なのだが音が丸みを帯びた硬質のものに削られていて、エッジが無くめりはりが無いわりに、冷たくはっきりした表現に聞こえる。テスタメントの復刻もけっこうその気があり、この旋律音楽においても横の流れが無味乾燥に追われるのみで、けっこう危ないところのあるハリウッド四重奏団のアンサンブルやスラトキンの音がハスキーな音のみ耳をつんざくように残っていて、そのハスキーな部分にいたる有機的な起伏や、ハスキーな音の下にしっかり発音されている低い部分が聞こえないから、ただ聞きにくいスカスカした雑な演奏に聞こえる。まあ、楽団に曲があっていないようにも思うので、録音復刻のせいだけではないとは思うが。室内楽における即物主義は難しい。テンションが高いわけでもないので(音はテンションを感じさせるけどテンポは大してかっこよくない)どうなんでしょう。
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チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番

2008年03月25日 | チャイコフスキー
○ハリウッド四重奏団(TESTAMENT他)CD

ギチギチした音には好悪あろう。でろでろのロシア民謡音楽にこういう即物的な音は似合わないとは思う。終始テンションが高く弓圧をかけすぎるので却って機能性が失われ、らしくない雑味を呼び込んでいるようにも思う。テンポにもダイナミクスにも音色にももっと緩急ある表現が欲しい。もう少しは揺れてもいいと思う。ファースト偏重にならざるを得ない曲であるとはいえ、四本のアンサンブルらしさを感じさせて欲しい場面もある。うーん。
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プロコフィエフ:バレエ「ロメオとジュリエット」第二組曲

2008年03月24日 | プロコフィエフ
○ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィル(LANNE:CD-R他)1982/6/3ウィーン・ムジークフェラインlive

落ち着いた演奏で微細な響きの美観を楽しめる演奏。活き活きとした前進的な表現もあるが、かつての録音にくらべ即物的表現に固執していない様子だ。暗い響きの曲でもあくまで明るく綺麗に丁寧に響かせようとするところは非常に現代的で、だからこそプロコの難しい響きも透明な曇りの無い美しさに昇華されているが、そこに生身の音の温度感が加わっていてけして冷たく面白くない演奏にはなっていない。エアチェック録音ゆえ一部録音がかなり悪くなるがおおむね80年代のステレオ録音のため、西欧的な機能性と音色を誇ったレニフィルの技も堪能できる。○。
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ヴォーン・ウィリアムズ:タリスの主題による幻想曲

2008年03月24日 | ヴォーン・ウィリアムズ
○ストコフスキ指揮NYP(DA:CD-R)1948LIVE

既出と同じか。録音は悪いがストコらしい耽溺とオケの力感があいまって説得力が生まれ、この哀切きわまる曲を十分堪能できる。
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