湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

ヴォーン・ウィリアムズ:映画音楽「潜水艦轟沈す」

2019年02月13日 | ヴォーン・ウィリアムズ
ミューア・マシソン指揮LSO(broadway他)DVD

(映画そのものです)カナダの全面協力で作られた戦時映画でヴォーン・ウィリアムズは内容とは異なる、あくまで自分の視座から立派な音楽を提供したにすぎない。映画音楽指揮で知られるマシソンの指揮は性急でやや軽く、力感の制御がデジタル。滑らかで柔らかい(しかし明確な)ヴォーン・ウィリアムズっぽい音ではなく、あくまでヴォーン・ウィリアムズの素材を映画的に即物処理したように思える。音楽主体の映画ではないし、あきらかな反ナチプロバガンダ映画なので、これはこれで良いのだ。タイトルのカナディアンロッキーかどこかの空撮にのったヴォーン・ウィリアムズの前奏曲は、序章に美しいハーモニーを加えている。農村、都会、島々、海と音楽は寄り添うように素材を加え、未だ「南極」のカラフルな音楽に至ってはいないが、即物的に職人技を発揮しており、しばしばヴォーン・ウィリアムズらしくない俊敏さもみせている。本編に入ると音楽はあまりなくなる。ナチ登場で弦楽四重奏曲第2番3楽章へ流用されたフレーズが入る。2時間あまりのあと、話がオチた途端に再び前奏曲で終わる。
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ヴォーン・ウィリアムズ:映画音楽「潜水艦轟沈す」〜前奏曲

2019年02月13日 | ヴォーン・ウィリアムズ
ヒコックス指揮ノーザン・シンフォニア(EMI)CD

3分にも満たない前奏曲のみだが、映画(原題:北緯49度線)は1940年作品。戦時プロバガンダ映画として有名で、YouTubeではサワリを(RVWのこの曲(タイトルバック)も)楽しむことができる。音楽はまったく平和。狂しいほど懐かしいヴォーン・ウィリアムズ節。弦楽アンサンブル主体の長大なメロディが大きくたゆたうヴォーン・ウィリアムズとしても懐かしい作風だ。最後はブラスが入り輝かしく終わる。この遠い目をした美しい感傷と、Uボート沈没、敵国カナダより中立国アメリカへ脱出するナチスドイツ兵、という筋が合うのかどうかとも思うが、そもそも映画音楽が映画に必要以上に寄り添う時代でも無かったのだろう。ヒコックスのRVW小品集に収録され、厚い響きでRVWのスペシャリストぶりを堪能できる。
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