湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

フローラン・シュミット:詩篇第47番

2018年07月26日 | Weblog
アンゲルブレシュト指揮cho&ORTF、モイザン(msp)(SLS)1963シャンゼリゼ劇場live

1964/3/19放送のina音源と、貧弱な音質的に恐らく同じものだと思われるが、データが明記されており同じプログラムの別日かもしれないので一応手を出した。ちなみにドビュッシーとの組み合わせでそちらは初出と思われる。猥雑な音に、これはベートーヴェンを始めロシア物などロマン派も得意としたアンゲルブレシュトのこと、古臭いロマンティックなスタイルでいくのかと思いきやこれがフランス的なのである。響きが明快で、でもマルティノンのような透明感はなく、録音のせいでもあるかもしれないが一貫した姿勢は最後まで「まるでドビュッシー」「まるでスクリアビン」と思わせず、ああ、これはフランスの曲だ、と感じさせる。センシティブだが迫力は失わず、行進主題もキレを重視せずにまとめ、弾けやすそうなフレーズで弾けすぎないようにしてマルティノンの派手な演奏と違う正統派を主張するような感じだ。もちろんどちらも正統だと思う、このような複雑な曲なので。拍手は普通。繰り返すが録音はあまり良くないモノラルで、オケはミスこそ無いがキッチュである。
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フローラン・シュミット:バレエ音楽「サロメの悲劇」

2018年07月26日 | Weblog
マルティノン指揮ORTF、ジュイノー指揮ORTF女声cho.(EMI他)1972/10・CD

第一部、第二部の全曲はかつてはきわめて珍しかった。爛熟しきった西欧音楽にドビュッシーやラヴェルを加えた同時代音楽の集大成的大作で本人も一部録音している通り代表作には違いない。この人の折衷様式はしばしば複雑で大規模すぎるものになるが、筋書きに沿って緩急つけたオーケストレーションは併録の詩篇と違い聞きやすく整理されている。意欲的であるもののイリヤ・ムーロメッツのグリエールをモダン化したような劇的な重苦しさは否めず、響きの整理されたフランスの音楽ではあるのだが、異色である。聴衆に支持されるわかりやすさや煽情性はフローランの良い面といえ、マルティノンはいっそう輪郭をはっきりさせ半音階的なうねりはわりとごまかすようにはっきりさせず流し、けっか音だけで十分楽しめる、飽きないものにしている。フローランは多様式的でこれとかピアノ協奏曲のようなスクリアビンふうの大言壮語ばかりしていたわけではない。室内楽にはロカイユ風組曲など気軽なサロン的小品も残している。
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