コンコード四重奏団(nonesuch)CD
この曲はスコアを見ていくと3楽章それぞれに奇妙な短い副題がついていてそれに沿った内容を緻密に反映していくさまが見て取れ、3楽章で議論につかれた四名が山に登るとご来光とともに「ビッグベン」の鐘が響き渡るといった趣向で、崇高にのぼりつめ白くなるスコアが期待させる。だが。一本一本はたしかにそれを期待させるのだが、四本で弾くと意図通りにならないのである。音が多すぎる。3楽章の鐘の音は本来は弦楽器に向かない。超越的な超高音で輝く陽光を描く・・・演奏にあたったことがない。弦楽器に向かないという意味ではアイヴズはほかにもありそうなところだが、ところでこの曲でもっとも面白いのはパロディだらけの2楽章「議論」だが、書法はともかくバルトーク的にひびくであろうこのエッジのきいた音楽が、パロディに邪魔されて諧謔的でしかない・・・アイヴズは3楽章を聴かせるための前提として卑俗な人間の議論がいかに意味がないかを描くべくあえてそうしているのだがそれだけではもったいない楽章だ・・・ゆえに他の「これはパロディです」という題名のピアノ三重奏曲中間楽章をはじめとする作品共通の「軽さ」で2番全体を支配する「コンコード・ソナタ」的な深刻さを損なっている。演奏は部分部分は美しかったり尖鋭だったり、曲通りのものになってはいるが、3楽章はやはり登り詰めなかった。
この曲はスコアを見ていくと3楽章それぞれに奇妙な短い副題がついていてそれに沿った内容を緻密に反映していくさまが見て取れ、3楽章で議論につかれた四名が山に登るとご来光とともに「ビッグベン」の鐘が響き渡るといった趣向で、崇高にのぼりつめ白くなるスコアが期待させる。だが。一本一本はたしかにそれを期待させるのだが、四本で弾くと意図通りにならないのである。音が多すぎる。3楽章の鐘の音は本来は弦楽器に向かない。超越的な超高音で輝く陽光を描く・・・演奏にあたったことがない。弦楽器に向かないという意味ではアイヴズはほかにもありそうなところだが、ところでこの曲でもっとも面白いのはパロディだらけの2楽章「議論」だが、書法はともかくバルトーク的にひびくであろうこのエッジのきいた音楽が、パロディに邪魔されて諧謔的でしかない・・・アイヴズは3楽章を聴かせるための前提として卑俗な人間の議論がいかに意味がないかを描くべくあえてそうしているのだがそれだけではもったいない楽章だ・・・ゆえに他の「これはパロディです」という題名のピアノ三重奏曲中間楽章をはじめとする作品共通の「軽さ」で2番全体を支配する「コンコード・ソナタ」的な深刻さを損なっている。演奏は部分部分は美しかったり尖鋭だったり、曲通りのものになってはいるが、3楽章はやはり登り詰めなかった。