湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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ストラヴィンスキー:詩篇交響曲

2018年05月12日 | Weblog
チェリビダッケ指揮ORTF他(ina配信)1973/12/23live放送

ストラヴィンスキー新古典主義時代の、しかも比較的聴衆受けを考えない抽象的な作品である。新古典主義の作品というと一般に割と情緒的というか、気分を煽るような作品が多く、それはしばしばオスティナートリズムに導かれた原初的な高揚感を伴う。むかしクラシック聴きの人にダンスミュージック(もうEDMに近いもの)を聴かせたところ同じ音形の繰り返しでちっとも面白くないと言われたものだが、同じ音形を執拗に繰り返すからこそ陶酔的な呪術的な影響を与えられるのだ。響きの抑制的なミニマルになると逆ベクトルの影響を与えるが、これは交響曲なので素直に前者。ただ、三楽章の交響曲などのあざとさは無い。音形の繰り返しもオルフのような単純な繰り返しではなく、手法としてしっかり考えて使われている。ただ、チェリのこの演奏はつまらない。一楽章など同じような響きが続き変化がなく、それが単調さに拍車をかけ、歌詞をもってのみ曲が成立しているようだ。楽曲のせいだろうが、それを聴かせるように仕立てるうえで、ただ明晰に骨ばった音を響かせるのではなく、柔らかなアナログ的な部分を残さないと、聴いていていたたまれなくなる。チェリに特徴的な男らしいフレージング、強靭で「正しい」響きは二楽章で威力を発揮する。これはチェリ好きには楽しめるかもしれない。三楽章は演奏的には一楽章のようなものに戻って余り印象がない。拍手は多い方。
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