湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

ドビュッシー:管弦楽のための映像~Ⅱ.イベリア

2007年11月03日 | ドビュッシー
○チェリビダッケ指揮ロンドン交響楽団(NHK)1980/4/18NHKホールLIVE・DVD

そうそうたる面子を揃えたLSOとの来日ライヴ映像より。チェリは演奏時は70近いとは思えない迫力と動きで一切の妥協のない神経質な指示を手先と目で与え続け、最初こそ嬉しそうにこの「名器」をかなでているものの、次第に厳しい表情がふえ、最後はコンマスに睨みをきかせて終わる。木管ソロがちょっと外そうが余り重要な部分でなければ看過するようだが、オケの統率者たるコンマスと弦には確かに厳しい。繊細すぎるほどに細部まで思うがままの音を出させようとするチェリの美学は第二部の幻想に非常に巧く反映されていて、ドビュッシーがまるで冷え冷えした鋼鉄器械のラヴェルに聴こえるのは特筆すべきことだが、第三部がとくにどうも、ちょっと萎縮の感をおぼえた。しかしこの芸風でこの音がよく出ると言ったほうがいいのかもしれない、さすがLSOだ。日本人よ範とすべしと言い切ったチェリの言いたいこともわかる。ただ、オケはこれでいいのか、というと受け取る人によりけりだろう。今はありえないかもしれない。○。
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