湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

ラッグルズ:太陽を踏む男

2006年10月14日 | アメリカ
○ストコフスキ指揮アメリカ交響楽団(DA:CD-R)1967カーネギーホールlive

録音は極めて明確なステレオで分離も激しすぎるほどでスケール感があり、エアチェック音源としては申し分ない音である。少々耳が痛くなるほどエッジの立った硬質な音響は寧ろこの稀有壮大で錯綜しがちな曲にあっている。イメージ的にはアメリカに遅れて入ってきた無調「的」作品の範疇にあり、しかし聴いた感じは分析的というより雑多で直感的。分厚い音響の素人聴きは十数年前のアイヴズの作風そのものである。アイヴズでもセットなどを作曲していたやや前期の頃の雰囲気があり洗練は余り無いが、アイヴズが「結果的に」無調的な作品を残したのに対してこのような曲にははなから調性はない、たとえば硬派だったころのヒンデミットなどの影響を考えてみるのもけして無理な論理ではないと思う。もっと重厚で深刻な雰囲気が欲しい気もするがこんな曲を作曲家の偏屈を省みずズバっと演奏しきってみせるストコフスキには驚かされる。手法はアイヴズ4番同様「ほんとに理解してやろうとしてるのかなー?」と疑問符を付けたくなるところもあるが新作への態度としてはこれだけやりきればリッパ。終始同じ厚さの音響が雑多に揺れ動くだけのゆえに飽きる向きもあろうが、アイヴズの世界がアイヴズだけのものではなかった、という点を再確認する意味でも、どんな演奏でもいいので聴く・・・それを躊躇する理由は無い。○。
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バーバー:弦楽のためのアダージォ

2006年10月14日 | アメリカ
○ストコフスキ指揮アメリカ交響楽団(DA:CD-R)1969/10/6live

これはちょっと緩やかさが無いハッキリした起伏のついた演奏になってしまっており、感情的でも客観的でもなく、ただヘンないわゆるストコフスキの悪い癖が出てしまった演奏に聴こえてしまった。特別な日の特別な曲だから演奏が悪くなるわけは決してないのだが、ちょっと違和感。○。
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リムスキー・コルサコフ:ドゥビーヌシュカ

2006年10月14日 | リムスキー・コルサコフ
◎ストコフスキ指揮アメリカ交響楽団(DA:CD-R)1969/10/6live

けっこうかっこいい。というかかなり楽しめる。攻撃的だが起伏がある。ニキシュみたいな直線的な攻撃というより歌心との折り合いを非常にうまくつけた楽しい行進曲にしたてている。起伏といってもロシアの演奏に聴かれるような変に弛緩した揺れかたをしない演奏。何度でも楽しめます。◎。
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アメリカ国歌

2006年10月14日 | アメリカ
◎ストコフスキ指揮アメリカ交響楽団(DA:CD-R)1969/10/6live

どんな国でもどんな人種でも、その国で最も愛されている曲を皆が喜んでうたい楽しんでいるさまというのはすがすがしくなぜかしら涙もさそうものである。フラブラがどうこうとか拍手のタイミングがどうこうとかいうのとは無縁の、どちらかというとロックバンドのライヴに近い感覚かもしれない。わーわーいうとります。◎。
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ラヴェル:スペイン狂詩曲

2006年10月14日 | ラヴェル
ストコフスキ指揮ニュー・フィル(DA:CD-R)1974/5/14LIVE

これはちょっと違和感を感じた。ラヴェルはストコが好んで扱った「素材」だが、古い録音のほうがより緊密で聴きやすかったように思う。これはちょっと重い。隈取がはっきりしすぎていて「そこまで響きを際立たせなくてもラヴェルは大丈夫じゃないんですか?」と。とくに打楽器を強調する傾向が強いが、リズム感がイマイチというかちょっと鈍重なので、軽い音響傾向とアンマッチを起こし却って聴きづらい。無印。
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クレンペラー:メリー・ワルツ

2006年10月14日 | ドイツ・オーストリア
○ストコフスキ指揮ニュー・フィル(DA:CD-R)1974/5/14LIVE

クレンペラーの曲ってけっこう出来がいいんですよね。というか、軽音楽に適した「深み」を知って織り込んでいる。楽しいのに目の詰まった作品。重い曲も明るく色彩的に描ける名シェフ・ストコフスキが(このオケで)やったというのも面白い。老齢の最後まで衰えを知らなかった指揮者である、これも生き生きしている。BBC正規音源からCDで出ていたものと同じかもしれないがデータ照合していないのでとりあえず別扱いしておく。ハデハデさへの指向もこの楽しい曲ならプラスに働く。国民楽派あたりまでの後期ロマン派ではスレスレかアウトかという演奏もするストコが、末期ロマン派以降の構造もしくは内容が複雑な作品に対して適切かつ最大限に魅力を引き出した演奏を行うことができたというのは何なんだろう、やる気の問題なんだろうか。録音状態はいわゆる古いテープ撚れしたステレオというこの放送エアチェックレーベルの典型的なものだが、聴けるレベルではある。○。
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