湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

ドヴォルザーク:交響曲第9番

2006年05月29日 | 北欧・東欧
マリス・ヤンソンス指揮RCO(RCO)2003/6/6live・CD

かなり編集が入っており、音場が遠く広めに聞こえる。拍手も消されている。

1楽章、録音が柔らかいせいか薄味。案外冷静で美にてっしている。音のキレはいいし部分的に独特のテヌート表現など入れてくるが、基本的に「現代の新世界」というかんじだ。マリスのイメージにある意味沿っている。オケが案外弱いことにも気づかされる。個性が薄い。

2楽章になるととたんに感情的になる。といっても沈潜するほうの感情だ。1楽章に比べいきなりヴァイオリンのパートソロが大きく聞こえたりするところなど、録音の音量操作を疑わざるをえない。いずれヴァイオリンが薄い感じは否めない。

3楽章はテンポ的に落ち着いてはいるがアゴーギグがやや強め。もとより分析的な棒だが、ここでは分裂症的なドヴォルザークを抉ったごとくマーラーっぽさがある。相対的にはロマンティックか。

4楽章は良く言えば威厳がある。悪く言えば落ち着き過ぎ。整えた演奏、という感じ。スケールが大きく感じるのはレンジが広いだけで解釈のためではないかも。遅い方にルバートしがちなのは、この人の癖なのだろう。そこらへん遅速弱音への拘りは晩年のスヴェトラぽい。それにしても音色がニュートラル過ぎだなあ・・・

フィナーレ前のテンポ設定はかっこいい。マエストーソって言いたくなる。マーラー並の雄大さだ。ただ、最後はもっとアッチェルしてもいいと思うのだが。譜面に忠実に音を伸ばしておしまい。無印。
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マーラー:交響曲第8番

2006年05月29日 | マーラー
○カイルベルト指揮ウィーン交響楽団、ヴンダーリッヒ、レッスル・マイダン、プライ、エデルマン、ムツリ、シェイレル、リップ、ボーズ(KARNA:CD-R)1960/6/19ムジークフェラインlive

久しぶりに千人を聞いたが、粗末な録音でライヴの精度とはいえ、なんて美しい曲なのかと聞き惚れた。演奏のよさもさることながら、和声の心地よさ、各声部の絶妙な絡み合い、何より「歌」の素晴らしさ。長ったらしいと思っていた曲だが、この82分を要する演奏ですら短く感じた。むろん演奏にもよるのでしょう。

これはエアチェックものでモノラルでかなり雑音が耳障りだし音は小さい。冒頭など撚れている。しかしリズミカルで生気に満ち、特にソリストの歌唱は全て力強く美しい。ひたすら颯爽と流麗な「歌」の歌い継ぎで飽きずにえんえんと聞き続けることができる。ただ、マーラーの旋律性の美しさは堪能できるが、マーラーの暗さは無い。「大地の歌」へつながらない。これはたぶん録音的にも大きくいれすぎた歌唱による感想ではある。オケの細部まで音符の明瞭な発音はカイルベルトの持ち味か。とにかく、よくこんな名演が残っていた。○。
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