『ちゃんと泣ける子に育てよう 親には子どもの感情を育てる義務がある』大河原美以著 河出書房新社
この本はとってもよい本です!!一家に一冊置いておいた方がよい本だとも感じています。
私は今まで仕事上、心理関係の本はかなりの数読んできていますが、この本はそれらの中でも実践から導き出された論理としてNO.1の本だと感じています。
驚いたことに、この本で子育てとして説いていることと、私がセラピー現場で気づいていったことが同じでした。
ここからは、「ちゃんと泣ける」ということがどうして重要なのか、長年の経験から気づいてきた私独自の言葉として少し説明させて頂きますね。
親が子供の感情をありのまま受けとめてあげられると、その子の心は安定します。逆にいいますと、親が子供の感情をありのまま受けとめてあげられないと、その子は不安や恐れを感じます。それが続くと、子供は心にトラウマを負ってしまいます。
このように、簡単にいいますと「トラウマとは安心感の欠如」なのです。
子供が親から愛情をもらうと、心に安心感が生まれます。
私は子供にとっては、「愛情=安心感」と感じているのだと思っています。
しかし、親が自分の子供にいくら愛情をたくさん与えていると思っていても、子供自身が愛情をもらえたと感じなければ、それは愛情を与えたことにはなりません。
どの親にも必ず子供に対する愛情がありますが、残念ながら、それがうまく伝わっていない場合がほんとうに多いのです。
ちょっと例をあげてみます。親が『勉強が出来て、いい学校に入れるとしあわせになれる』という思考(思い込み、観念)を強く持っていると、その親は子供にその子への愛情として、「勉強しなさい!」といいます。
勉強が出来ることはとてもよいことですが、いつもいい点が取れるとは限りません。
でも、『勉強が出来ることがしあわせにつながる』という思考を持った親にとっては、いい点を取ることしかしあわせにつながることにはならないので、いい点を取った時には(とりあえず)ほめてあげられますが、あまりよくない(親がそう思う)点数を取った時には、「自分のかわいい子供がしあわせになれない」、場合によっては親自身が「出来ない子を育てた親として自分がほめられない」とか「自分が出来ない人と見られる」、「ダメな親と思われる」などと感じ子供を受け入れることが出来ません。
そうすると、子供は「いい点を取らなければ、親から愛されない」という思考(思い込み、観念)を持つようになります。
この子は、とりあえず愛情をもらい、安心するためには、いい点を取るしかなくなってしまいます。そして次第に、この子の人生は、「いい点を取るための人生」になっていきます。
でも、子供がほんとうに欲しいのは、いい点を取れた時も、取れなかった時も、ただただ自分のありのままの存在を受け入れて、愛して欲しいだけなのです。
「ちゃんと、泣ける子に育てよう」とは、子供のありのままの思い、感情をただただ受けとめることです。
子供が自然に感じてしまう、「うれしい」、「楽しい」、「好き」、「わくわくする」などのポジティブな感情とまったく同じように、自然に感じてしまう「悲しい」、「さみしい」、「嫌い」、「腹が立つ」、「恐い」などのネガティブな感情も、ただありのまま受けとめてあげると、子供は心からの安心感を感じます。
幼少期にその回数が多ければ多いほど、その子の心には安心感が定着して、もうそれは一生消えないものとなります。
これをもらえなかった子供は、ありのままでいれずに安心できていないため、周りの物事や人にしか意識がいかなくなり、「自分としてどうしたいのか」、「どう感じているのか」などという自然な自分の思いを感じることが出来なくなります。
そうして、生存本能としての脳の防衛システムが働き「不安を感じないように、心が不安定にならないようにするために生きる」ようになるのです。
ちゃんとありのまま感じたままの感情を受けとめてもらった子供は、心が安心安定し、トラウマを負いません。
例に出した、『勉強が出来ることがしあわせにつながる』という親の思考は、現代社会においては一番代表的なものですが、そこには、「人から好かれることがしあわせにつながる」とか、「いい子でいることが~」とか、「世間から評価されることが~」とか、「特別な存在と思われることが~」などなど、ほんとうに様々な思い込みや観念が存在します。
そして実は、その思い込み、観念は親自身が自分の親から言われてきたものとまったく同じなのです。
この親が子供の頃に、自分の親から色々言われて、親から受け入れてもらうために、役割をつくり演じることで自分の身を守っていきますが、親自身が「受け入れてもらい、心から安心するということがどういうことか」を体験させてもらっていないために、それがどんな感じか、どのようにすればいいのかがわかりません。
だから、自分の子供には自分がやってきた同じ方法を親からの愛情と思い伝えるしかなくなります。(「あなたのためだから」という言葉もよく聞きますが、それも親としての愛情表現のつもりではあるのですが・・・)
図らずも、こうやってトラウマは世代間を伝わっていくことがとても多いのです。
もう一度いいます。
子供のありのままの感情を親が受けとめてあげられると、子供の心には安心感が定着していきます。
そういうやり方を子供にしっかりと与えてあげられると、その子の心にはその安心感が一生ず~っと定着します。
トラウマのない(少ない)子供たちが大人となった社会は、すべてにおいて安定した世の中となることは、どなたにおかれても想像に難くないことだと思います。
私は日々、トラウマを根源から癒すための心理療法(トラウマ統合療法[現:ほんとうの自分に還るためのセラピー])で、大人であるクライアントさんの心に安心感を定着させていくお手伝いをさせて頂いています。
そこでわかった同じことが、この本には子供の心に安心感を定着させていく方法として書かれています。
親になられている方も、これから親になる方も、学校の先生も、子供たちに接する仕事をされている方も、また、癒しや治療に関わる仕事をされている方にも、その他多くの方々におすすめできるとてもよい本です。
ぜひ、お読み下さいませ!!
それから、大河原さんは『怒りをコントロールできない子の理解と援助 教師と親のかかわり』という本も出されています。
また、子供向けの本もあります。『心が元気になる本〈1〉イライラ、クヨクヨどうすればいいの?―悩む・いらつく・心のしくみ』、『心が元気になる本〈2〉自分はダメだと思うとき―1日の心の動きと悩み』、『心が元気になる本〈3〉学校に行くのがつらいとき―いじめ・不登校・性の悩み』(いずれも監修)です。
ご興味がある方は、これらの本も読んでみて下さいませ。
人々の心に深い安心感が満たされ、私たちの国日本が、安定したよりよい国になって行くことを心より願い、祈ります。

ホリスティック・セラピー研究所 http://holistic-ti.com
心理や人間存在についての専門的な内容は、HPの「こころのこと」に載せていきます。
この本はとってもよい本です!!一家に一冊置いておいた方がよい本だとも感じています。
私は今まで仕事上、心理関係の本はかなりの数読んできていますが、この本はそれらの中でも実践から導き出された論理としてNO.1の本だと感じています。
驚いたことに、この本で子育てとして説いていることと、私がセラピー現場で気づいていったことが同じでした。
ここからは、「ちゃんと泣ける」ということがどうして重要なのか、長年の経験から気づいてきた私独自の言葉として少し説明させて頂きますね。
親が子供の感情をありのまま受けとめてあげられると、その子の心は安定します。逆にいいますと、親が子供の感情をありのまま受けとめてあげられないと、その子は不安や恐れを感じます。それが続くと、子供は心にトラウマを負ってしまいます。
このように、簡単にいいますと「トラウマとは安心感の欠如」なのです。
子供が親から愛情をもらうと、心に安心感が生まれます。
私は子供にとっては、「愛情=安心感」と感じているのだと思っています。
しかし、親が自分の子供にいくら愛情をたくさん与えていると思っていても、子供自身が愛情をもらえたと感じなければ、それは愛情を与えたことにはなりません。
どの親にも必ず子供に対する愛情がありますが、残念ながら、それがうまく伝わっていない場合がほんとうに多いのです。
ちょっと例をあげてみます。親が『勉強が出来て、いい学校に入れるとしあわせになれる』という思考(思い込み、観念)を強く持っていると、その親は子供にその子への愛情として、「勉強しなさい!」といいます。
勉強が出来ることはとてもよいことですが、いつもいい点が取れるとは限りません。
でも、『勉強が出来ることがしあわせにつながる』という思考を持った親にとっては、いい点を取ることしかしあわせにつながることにはならないので、いい点を取った時には(とりあえず)ほめてあげられますが、あまりよくない(親がそう思う)点数を取った時には、「自分のかわいい子供がしあわせになれない」、場合によっては親自身が「出来ない子を育てた親として自分がほめられない」とか「自分が出来ない人と見られる」、「ダメな親と思われる」などと感じ子供を受け入れることが出来ません。
そうすると、子供は「いい点を取らなければ、親から愛されない」という思考(思い込み、観念)を持つようになります。
この子は、とりあえず愛情をもらい、安心するためには、いい点を取るしかなくなってしまいます。そして次第に、この子の人生は、「いい点を取るための人生」になっていきます。
でも、子供がほんとうに欲しいのは、いい点を取れた時も、取れなかった時も、ただただ自分のありのままの存在を受け入れて、愛して欲しいだけなのです。
「ちゃんと、泣ける子に育てよう」とは、子供のありのままの思い、感情をただただ受けとめることです。
子供が自然に感じてしまう、「うれしい」、「楽しい」、「好き」、「わくわくする」などのポジティブな感情とまったく同じように、自然に感じてしまう「悲しい」、「さみしい」、「嫌い」、「腹が立つ」、「恐い」などのネガティブな感情も、ただありのまま受けとめてあげると、子供は心からの安心感を感じます。
幼少期にその回数が多ければ多いほど、その子の心には安心感が定着して、もうそれは一生消えないものとなります。
これをもらえなかった子供は、ありのままでいれずに安心できていないため、周りの物事や人にしか意識がいかなくなり、「自分としてどうしたいのか」、「どう感じているのか」などという自然な自分の思いを感じることが出来なくなります。
そうして、生存本能としての脳の防衛システムが働き「不安を感じないように、心が不安定にならないようにするために生きる」ようになるのです。
ちゃんとありのまま感じたままの感情を受けとめてもらった子供は、心が安心安定し、トラウマを負いません。
例に出した、『勉強が出来ることがしあわせにつながる』という親の思考は、現代社会においては一番代表的なものですが、そこには、「人から好かれることがしあわせにつながる」とか、「いい子でいることが~」とか、「世間から評価されることが~」とか、「特別な存在と思われることが~」などなど、ほんとうに様々な思い込みや観念が存在します。
そして実は、その思い込み、観念は親自身が自分の親から言われてきたものとまったく同じなのです。
この親が子供の頃に、自分の親から色々言われて、親から受け入れてもらうために、役割をつくり演じることで自分の身を守っていきますが、親自身が「受け入れてもらい、心から安心するということがどういうことか」を体験させてもらっていないために、それがどんな感じか、どのようにすればいいのかがわかりません。
だから、自分の子供には自分がやってきた同じ方法を親からの愛情と思い伝えるしかなくなります。(「あなたのためだから」という言葉もよく聞きますが、それも親としての愛情表現のつもりではあるのですが・・・)
図らずも、こうやってトラウマは世代間を伝わっていくことがとても多いのです。
もう一度いいます。
子供のありのままの感情を親が受けとめてあげられると、子供の心には安心感が定着していきます。
そういうやり方を子供にしっかりと与えてあげられると、その子の心にはその安心感が一生ず~っと定着します。
トラウマのない(少ない)子供たちが大人となった社会は、すべてにおいて安定した世の中となることは、どなたにおかれても想像に難くないことだと思います。
私は日々、トラウマを根源から癒すための心理療法(トラウマ統合療法[現:ほんとうの自分に還るためのセラピー])で、大人であるクライアントさんの心に安心感を定着させていくお手伝いをさせて頂いています。
そこでわかった同じことが、この本には子供の心に安心感を定着させていく方法として書かれています。
親になられている方も、これから親になる方も、学校の先生も、子供たちに接する仕事をされている方も、また、癒しや治療に関わる仕事をされている方にも、その他多くの方々におすすめできるとてもよい本です。
ぜひ、お読み下さいませ!!
それから、大河原さんは『怒りをコントロールできない子の理解と援助 教師と親のかかわり』という本も出されています。
また、子供向けの本もあります。『心が元気になる本〈1〉イライラ、クヨクヨどうすればいいの?―悩む・いらつく・心のしくみ』、『心が元気になる本〈2〉自分はダメだと思うとき―1日の心の動きと悩み』、『心が元気になる本〈3〉学校に行くのがつらいとき―いじめ・不登校・性の悩み』(いずれも監修)です。
ご興味がある方は、これらの本も読んでみて下さいませ。
人々の心に深い安心感が満たされ、私たちの国日本が、安定したよりよい国になって行くことを心より願い、祈ります。

ホリスティック・セラピー研究所 http://holistic-ti.com
心理や人間存在についての専門的な内容は、HPの「こころのこと」に載せていきます。