心理セラピストのひとりごと

『象徴的イメージ統合療法』という心理療法を行っています。日々の中で感じたことを書いていこうと思います。

「正しい育児法」について考える

2014年09月18日 | 子育て
最近、物理学を専門とするある日本人の大学教授が書かれた本を読んでいて、その人の人となりに好意を抱いていました。この方は、生まれてすぐに母親と別れたようで、まったく母親というものがわからない家庭環境で育ったそうです。学校に行きはじめてからは、友達とその母親との仲のいい関係性などを見て、自分にはそれを感じたことがないことに「普通の子ではない」と、深い劣等感を感じて大人になっていったそうです。


そして、海外に留学した時に、各国から来ている外人の友達に、ずっと持っている母親との触れ合いがなかったことからの劣等感のことを話したようです。そうすると、全員が「そんなの当たり前のことだから、劣等感など持つ必要はないよ。日本人って変だなあ」と原文は忘れましたが、そのようなことをいわれたそうです。


私も外国では、「小さな頃から子供は一人で寝かせるようにして、泣いても見に行ってあやしてはいけない」という育児をされていることは知っていましたが、これぐらい当たり前のように、小さい時から自立することが大切と扱われていることに驚きました。


そこで、世界の育児法について調べてみました。何冊も読んでみて、そのあたりのことを書いている本をやっと見つけました。


『「世界一ぜいたくな子育て~欲張り世代の各国「母親」事情~」長坂通子著、光文社新書』です。


著者は、ファッション誌編集者として二十代を過ごし、渡仏して現地で結婚し、家族とともに欧米諸国を移り住む過程で、様々な国籍の同世代の女性達の「出産」「子育て」を取材する機会を得、この本を執筆したようです。


少し、この本からこのあたりの育児法に関わる部分を抜粋して転載します。


(転載始め)------------------------------------------------------------------------------------------

キャロライン(アメリカ人、40代)は「我々西洋人は、東洋の子供観、育児観から学ぶべきものがたくさんあるのです」と言ったが、彼女の言うところの「東洋の子供観、育児観」がもっとも際立った形で象徴されているのが、おんぶと添い寝である、と私は思う。


「正しい育児法」には、激しい流行の「ゆれ」があることは、何度も指摘してきた。五十年刻み、いや二十年、十年刻みで流行は変わる。極端な話「上の子のときには奨励されていたことが、下の子のときには、否定的に扱われるようになっていた」というようなことも、実際、育児の現場では珍しくないのである。


そうした小刻みな「ゆれ」を含みつつ、だが、ここしばらくの間、先進国の育児観は共通してある一定の方向へシフトしつつあることがみてとれる。具体的には、医療介入を少なくした出産とか、母乳育児の奨励、母子絆を育む必要性、子供の欲求に寛容な育児法・・・・・・といったことだが、それらを包み込む器として「子供の心」の側面の重視、という傾向がある。発達心理学とか児童心理学といった分野での知見の積み重ねは、幼少期に信頼の基盤を築くことの大切さを一般大衆の意識にかなりしっかりと植え付けつつある。


「抱き癖」というボキャブラリーは死語と化して、代わって「アダルトチルドレン」とか、「トラウマ」といったボキャブラリーが浸透した。母子の密な触れ合いによって、母親側にはようやく母性なるものが後天的に育ってくると同時に、子供側にも「自分は愛されている」という安心感が築かれ、それが後の人生の人格形成の土台となる――といった「知識」が、一般の人々の間にも、少しずつ、だが確実に知れ渡ってきている。


こうした変化に伴い、各国の育児観にかつてみられた「大きな違い」は、少しずつその距離を狭めつつある。母乳育児率の低いフランスですら、最近の育児書には、その利点が記されていないことはないし、「夜泣きは放っておきましょう」「子供の欲求にいちいち付き合っていると、子供はつけあがるばかりです」といった、西洋版育児の拠りどころともいえるような考えも、少しずつ緩和され、今ではかなり「寛容主義」である。


だが、そんな中、相変わらず容認されていないことの一つが、実は「添い寝」なのである。


子供との触れ合いを重視しよう、という動きにつれて、「おんぶ」のほうは、かなりの市民権を得るいたった。おんぶでなく、抱っこ紐のケースが多いとはいえ、かつては「野蛮」で「遅れている」イメージだったのが、最近では、これもまた現代的で進んだ子育ての方法として、あちこちで奨励されている。


昔は、子供をおぶうことで両手が空き、それで畑仕事や商売を続けることができた・・・・・・という、まあいってみれば「実用一点張り」の(つまり、他に選択肢のない)事情で日本の女たちはおんぶをしていたわけだが、最近は日本でも欧米でも、子をおぶう(=抱っこ紐で抱っこする)ことは、実用性よりも、圧倒的に心理的な効果を期待した上での行為となっている。つまり親と子の絆形成のための有効な手段として熱い視線を浴びているのである。


同じ理由で「添い寝」も浸透するか、と思いきや、だが事情はおんぶとは正反対。


ある意味、もっとも進んでいると思われる北欧やオランダなどでも、添い寝をしている家庭は非常に少ない。子供は赤ん坊のうちから、別室のベッドに寝かせ、電気をパチンと消しておしまい。子供の就寝時間は概して早いし、「一人じゃ寝られないので・・・・・・」というような話も、まず聞かない。


赤ん坊の時代からの「条件づけ」が徹底しているために、子供はそれを「当然」思い、それ以外の選択肢があるなどとは考えてもみない。でも、試しに「今日はママと寝る?」と尋ねたならば、子供は目を丸くして驚き、そして、たぶん大喜びでママのベッドにもぐり込むことだろう。いくら条件づけられていたとしても、「ママと寝たくない」子供なんて本当はいないのである。これは西洋風にゼロから別室で子供を寝かしてきた私が、実際に何度も実験をして確信していることでもある。


第一章で見たように、日本は「母乳育児をあきらめたくない」という点では、世界で突出した国で、世界的に母乳育児が大きく衰退した時代ですら、「そこだけは譲れない」という根強い抵抗が見られた。それと同じように、欧米にとっては「添い寝」は、そこだけは譲れない最後の砦のようである。日本の育児書の大半が「添い寝のプラス面」をうたい、これに批判的なものは非常に少数派であるのに対し、欧米の育児書の「ほとんどすべて」が、「添い寝は好ましくない」と、この点だけはかなりはっきり宣言する。


そういう環境の中で、潮流にさからって、三人の子供たちに添い寝をしてきたキャロラインが、いかに「異端」であるか、そして「異端」に注がれる世間の目が(いくら個人主義が発達した社会であるとはいえ)いかに難しいものであるか。


それを思えば、キャロラインの頑なさも無理からぬこと。おそらくはこの先も、西洋に「添い寝」が入り込む余地はまずあり得ないだろう、と予想しつつ、あらためて、日本で「異端」をすることのしんどさにも思いを馳せてみるのである。


(転載終わり)-----------------------------------------------------------------------------------------

訴訟の多い国ほど、トラウマを抱えた人が多い国ではないかと感じています。そこには、人種的、歴史的な要因がかなりありますが、それ自体もトラウマに違いありませんし、その奥には、育児法の影響によるトラウマもかなりの部分を占めているだろうと感じています。


そして、日本人においては、東日本大震災での人々の対応や落とし物をしてもほとんどの場合がそのまま返ってくることなどの、世界からも賞賛されているその美徳や特性は、(文化的、遺伝子的性質を除外して)育児法というところに焦点を当てると、この「添い寝」の習慣があったことやそれによる「子供の頃からの過剰な自立化を要求されなかった」ことのよい影響もあるのではないかと感じます。


私も日本人は、本質的に世界でもまれなる性質を備えている民族だと感じます。そして、トラウマを癒していくことで、その部分が自然に、さらに発現していくことと感じています。


私が長い年月、セラピーの現場を体験させて頂いて来たことは、「トラウマを負った子供が大人になると、どのような影響が出てくるのか」という人間の心やトラウマのパターンを教えて頂いたことと同じだと感じています。その経験からも、子供に必要なことは、「安心と安全をしっかりと感じられるように接してあげる」ことが最重要なことだと確信しています。


そうすると、トラウマを負う人が少なくなり、次第に、日本はもとより、世界がよりよいものへと変容していくのですから・・・。


世界中のすべての子供たちが、安心と安全をしっかりと感じながら生きられますように。


育児関連記事:★超おすすめの本!『ちゃん泣ける子に育てよう』

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幸運な人、引き寄せが次々と起こる人の特徴

2014年09月09日 | 思うこと
ネットに出ていた記事ですが、実体験として「なんか、そうだな~」と感じたので、ご紹介します。

私は、割りと引き寄せが起きることが多いです。すべてではないですが、この中の多くの項目が当てはまりますので、この特徴は、なかなか真理を突いているのではないかと思いました。


★幸運な人、引き寄せが次々と起こる人

1.自分が欲しいものを明確に知っている
2.体調が良い
3.常にニュートラルな状態でいる
4.感情、捉え方を自分でコントロールできる
5.瞑想を習慣的に行っている(一人で自分と向き合う時間を持っている)
6.悪口、ネガティブなことを口にしない
7.自分を守るために、相手にNOと言える
8.「ありがとう」と感謝をこまめに表す


そして、これは、インナーチャイルドが癒された時に自然になっていく状態と同じものだと感じます。


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