心理セラピストのひとりごと

『象徴的イメージ統合療法』という心理療法を行っています。日々の中で感じたことを書いていこうと思います。

左脳は「とりあえずの安定」を求める

2013年03月31日 | 思うこと
前回、脳についてのことを書きましたが、今回も少しだけ書きます。

前回の記事の中に、『「左脳は、断片的な情報から、自分が安心できる、またはもっともらしい結論を出したがる」ということです。結論を導くのに必要な情報が十分にある場合はよいのですが、不十分で断片的な情報しかない場合、左脳は、なんとかつじつまが合う結論を導き出そうとします。しかも、その際、なるべく少ない情報で結論を出そうとします。左脳は、不安定な状態を極力排除しようと働くもののようです』と書きました。

これに関したことで、テレビなどのアナウンサーは、読んだニュースの内容を後で聞かれると、暗いニュースのことはよく覚えていなくて、明るいニュースだけを覚えていることが多いといいます。

もう一つ。人間は、とりあえず身の危険がない状態で、自分がまったく想像もしないような出来事に出くわすと、その出来事を受け入れられなくて、見たことを覚えていないようにする性質があるようです。

これが、不安定な状態を出来るだけ排除しようとする脳の一つの特性ですが、その根底には、元々その人の心の中に「安心感の欠如」が隠されているのだと感じます。安心感がないから、過剰に不安要素を排除しようとするのです。

アナウンサーの例でいえば、不安や怖れがある安心感の少ないアナウンサーほど、忘れるという傾向が強くなるのだと思います。

もう一つの想像もしないような出来事に出くわした例でいえば、自分の中で受け入れたくないことがあり、それを認めずに受け入れないようにしてきた人ほど、見なかったことにしてしまう傾向が強くなるのだと思います。

これは、脳がとりあえず不安定にならないために防衛システムを働かせている状態です。

先日は、ある助産師の方にお会いしました。出産現場のお話をお聞きさせていただいて、とてもびっくりすると同時に、「あ~、やっぱりなあ」と感じました。

お話しでは、ここ2,3年ぐらいで妊娠七ヶ月での死産が多いそうです。また、生まれてもお乳を飲もうとしない赤ちゃんが多いそうです。それは、生きようとしない状態であるとおっしゃっていました。その方もいわれていましたが、私もおなかの中で母親が胎児に思いを送れなくて、意識をあまり向けないので、その状態になるのだと思います。

意識を向けない原因は、母親がスマートフォンなどに一生懸命になることだといわれていました。ここ2,3年というのは、スマートフォンの普及率が上がっている時期と重なります。

そして、なぜここまで普及して、没頭してしまう人が多いのかというと、トラウマやストレスなど現実から逃避をするためだと感じます。この先生もいわれていましたが、自分にもおなかの子供にも、向き合おうとしない母親がとても多くなったと嘆いておられました。

(私は危惧します。最近、人々が自分に向き合い楽になっていく人と、さらに逃避を続けてしんどくなっていく人の二つのタイプに分かれてきているのをすごく感じます。そして、その割合は逃避をする人の方が大変多いのです)

左脳の防衛システムで逃避をすると、逃避するための心地のいいものを強く求めるようになり、左脳はコントロールや洗脳を受けやすい状態になっていきます。

実は、この脳の特性を利用して、人の意識をコントロールしようとするものが世の中にはたくさん存在しています。ある意味、スマートフォンやゲームなども、人間がものを考えないようにするために、意図して作られているいるものの一つではないだろうかと感じます。

こういったものからの影響を少しでも受けないようにするためには、心は脳にあるという脳神経学者さんも多いですが、ほんとうはそうではなくて、心は胸の所、ハートにありますから、この「自分の心(ハート)がただただ純粋によろこんでいるかどうか」を感じるようにすることもいいと思います。

スマートフォンやゲームに没頭していて、ほんとうに純粋に心はよろこんでいるのか・・・。それを、客観的に感じるのです。

ただただ純粋によろこんでいる時には、心配や怖れがありません。日常でも、○○だからこうすると思っている時には、○○から逃げたり、○○を変えようとしている時です。そこには、心配や怖れが潜んでいるのです。

この心配や怖れの思いが、洗脳を受けやすい状態を作り出していきます。そして、それを作り出す元となっているものがトラウマです。人間(子供)は、過剰に不安を感じた時に、トラウマを負うのですから。

どうぞ、ご自分が何に、ただただ純粋によろこびを感じるのか、その感覚を感じられるようになって下さい。

自分の心を感じることが出来るようになると、ほんとうは自分がどうしたいのか、どうなりたいのかがわかるようになりますよ。

心から、赤ちゃんや子供たちが傷つかない社会が来ることを望みます。そのためには、お母さん、お父さん、大人たちが心から安心できるようになることが大切です。

左脳の逃避としての安定ではありません。とりあえず心や気持ちを安定させるものでもありません。まず、『 自分の心の中 』を根本的に安定させて、安心させること。それが安定した子供たちをつくる、よりよい社会をつくる出発点なのです。

すべての命が、平安でありますように・・・。


ホリスティック・セラピー研究所 http://holistic-ti.com
心理や人間存在についての専門的な内容は、HPの「こころのこと」に載せていきます。



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