心理セラピストのひとりごと

『象徴的イメージ統合療法』という心理療法を行っています。日々の中で感じたことを書いていこうと思います。

この人の言葉(4)木村秋則さんの言葉

2012年04月30日 | この人の言葉
知っている方も多いと思いますが、世界で初めてリンゴの無農薬、無肥料栽培に成功した“木村秋則さん”という方がおられます。木村さんが作るリンゴは奇跡のリンゴと呼ばれています。

先日、農協がこの方の作物を無農薬、無肥料で栽培する「自然栽培法」を推進していることをはじめて知りました。農協がこのような方法を広めようとしているとは、ほんとうに時代が変わりはじめているのだと感じました。今、本やDVDを見て勉強していますが、観察眼の鋭い人で他の人が気づかないところが見えてわかる人ですので、とても興味を持って勉強しています。

以下は、本からの一節です。

『木村さんは、虫の卵を観察していて、こんなことに気づいた。

「10センチか20センチ離れて、害虫の卵の近くに益虫の卵があるのな」
木村さんのアンテナはピピッと反応した。こいつらは孵化したらどんな行動をとるのだろうか。

「まず、害虫が半分かえる。孵化した幼虫は、当然、葉を食べて、大きくなってくる」
リンゴ農家としては、「やめろ!」と怒鳴りたくなる光景だろう。しかし、木村さんはじっと我慢して観察する。ここでこいつらをつぶしてしまうのは簡単だけど、このままにしておいてこいつらの生態を知ることができれば、もっと大切なことがわかると、木村さんの本能がささやく。

「そしたらさあ、次に、害虫の残り半分が孵化したのな。そして、すぐ後に、益虫の卵が孵化して、害虫の幼虫を食べてしまうのな」

こういう仕組みで自然界はバランスをとっているのだ。もし、害虫が一斉に孵化すれば、畑は害虫ばかりになってしまう。逆に益虫が先に孵化していれば、害虫は益虫に食べられてしまって全滅してしまう。あらゆる命が必要なだけ残るように、孵化の時期まできちんと決まっているのだ。

自然界は、すべての生き物が、過剰にならず、過少にならず、存在出来る仕組みになっているのだ。人間が農薬をまいたりすると、そのバランスが崩れてしまう。そのために、害虫がわがもの顔に畑を荒らしてしまうことになるのである。』
(「木村さんのリンゴの秘密」から)

木村さんの実体験で観察された事実でも、このように自然はすべての生き物が共存、共栄していることがわかりますね。

木村さんはリンゴが全く実らなくなって6年目に、自殺をしようと思って山に登り偶然、自生しているドングリの木から大きな気づきを得ました。
『それまで木の上のことしか見ていませんでした。雑草を刈り、葉の状態ばかりが気になって、根っこの部分は全くおろそかにしていました。雑草は敵だとずっと思いこんでいました。(中略)

一般参考書に書いてあることで頭がいっぱいで、他を見ることができないほど視野が狭くなっていたようです。ここには浅はかな人間の知恵が入る余地はありませんでした。頭を空にして初めて、自然の生態系を見ることができました。

ドングリの木の周辺に目をやると、そこには生命があふれ、すべてが循環しているのだと気づきました。ハマキムシのような害虫は見当たらないが、バッタやチョウなど無数の生物それぞれが命をつなぐために互いに密に活動している。何一つ無意味なもの、邪魔なものなどない。ドングリの木もそれだけで生きているのではない。周りの自然の中で生かされている生き物だと気づきました。

そう思ったとき、ああ、人間も本来そうじゃないのかと感じました。人間はそんなこととっくに忘れてしまっている。自分一人で生きていると勘違いしている。だから自分が栽培している作物も、農薬を撒くとどんなに自然の調和環境から逸脱して本来の姿から変質していくか、少しも理解しないで突き進んできたのではないかと思いました。』
(「リンゴが教えてくれたこと」から)

『日本中、病気だらけです。なぜこうなったんでしょう?色んな原因があると思いますが、毎日食べている食事が、何かの影響を与えていると思います。私は百姓ではないからという気持ちを捨て、家族の健康を守るためにも、家庭菜園をやっていきましょう。ベランダでもできますよ。

そして、家庭菜園でできた野菜を、スーパーで売っている野菜と比較して下さい。私は腐敗実験をよくやるのですが、みなさんも、味覚などを比較してみたら、家庭菜園が楽しくなると思います。

スーパーで売っている濃い緑をした野菜を『すごく元気だな』と思っている人がほとんどだと思いますが、これは大きな間違いです。山へ行って、草を見て下さい。決して濃い緑ではありません。山へ行くと、農家の方たちが、畑や田んぼとして利用している周辺だけに、虫が多いことに気づくはずです。「無農薬をやったら、虫が来て大変だよ」とよくいわれますが、これも大きな間違いです。土が虫を呼んでいるのです。人が食べちゃいけないものを、代わりに食べてくれているのが、虫なのです。

腐敗実験をするとよくわかります。害虫が来る野菜は、腐りやすい。しかし、農薬を散布していないのに、虫がつかない野菜は腐らないのです。』
(「あなたの人生に奇跡のリンゴをつくる本」から)

まるで、映画「風の谷のナウシカ」のようですね。汚染された腐海の森を浄化するために、蟲(虫)や植物が毒を食べたり吸収していく姿が重なります。これは映画での話しと思っていましたが、実際に自然界はそのようにして、大地を浄化しようとしているのですね。

また、おもしろいなあと思った他の言葉では、次のようなものもあります。

「大事な物は見えないところにある、目に見えるものがすべてではない」

「葉っぱの葉脈の形は、地中の中の根の形を表しているので、木の剪定は根(葉脈)の形と同じにすればよい」

「無農薬の野菜は、バランスが取れて左右対称になる(例えばミニトマトは一房の右と左の個数が必ず同じになる)」

「葉っぱからの栄養がなければ植物は育たないので、会社も国も、植物でいう末端の葉っぱである地方がきちんと成長をしないと、幹である本店、国も成長してゆかない」

それから、出演されたNHKプロフェッショナル仕事の流儀の中では、「自然農法にすると、作物が元々持っているものが強くなる。甘いものはより甘くなり、苦いものはより苦くなり、唐辛子は激辛になる」とおっしゃっています。

自然な流れに乗ると、その存在が本来持っている個性がより伸ばされ、表に表れてくることも教えていただけました。

それは、心の作業でもまったく同じで、ありのままの自分を受け入れると、ありのまま持っていたその人の個性がそのまんま表に出てくるのです。

自然は、個性の寄り集まりだといえるのでしょうね。

自分の個性を生かした人生は、自分が自分として生きている感覚をしっかりと味わしてくれます。

自然は、我々人間にほんとうの生き方を教えてくれているのだと思います。『そこに返る時期がもう来たのだ。ほら、早く返ろう』と・・・。

私は今まで農作業に関わった経験がないまったくのド素人ですが、ゆっくりと土、大地、自然に、教えを乞うてゆきたいと思っています。


ホリスティック・セラピー研究所 http://holistic-ti.com
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする