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2012年度作品。日本映画。
鬼才・園子温監督が15年以上も前に執筆していたという脚本に加筆し、映画化したコミカルなアクション。服役していた妻の出所祝いにと、彼女の夢だった、娘を主演にした映画の製作に挑む男と、その言動に巻き込まれていく人々の姿を描く。
監督は園子温。
出演は國村隼、堤真一ら。
世間的な評価は知らないが、「地獄でなぜ悪い」は、クセの強いコメディ映画と感じた。
設定もキャラクターも物語のノリもつっこみどころに満ちていて、良くも悪くもバカバカしい。
しかしそういったバカバカしさをくそまじめにつっこむのは野暮なのだろう。
ただ何も考えず、そのノリにつきあう。
そのスタンスで見ていれば、おおむね楽しめる作品であるようだ。
物語はヤクザの抗争と、学生映画のノリで映画作りを続ける四人組のエピソードが並列して語られる。
基本的にどちらのエピソードもアホくさい。
ヤクザの抗争なのに、ヤクザらしからぬとぼけた味があるし、学生映画のノリで映画作りを続ける男たちも、むちゃくちゃウザくて、それが見ていて笑えてしまう。
俳優たちもそんなバカバカしい演技を楽しんで演じているのがわかる。
堤真一は顔芸を駆使して遊び心満点だし、長谷川博己は見ていてイラってするようなウザい男を、ノリノリで演じている。
そんな俳優陣の演技に引っ張られて、強引に納得させられるあたりは良かった。
ラストは、園子温らしくスプラッタなチャンバラ&銃撃戦へと突き進む。
血は過剰に流れるのだが、グロテスクさはあまりなく、つっこみどころが多すぎるせいか、ヤクザ映画をカリカチュアライズした雰囲気がある。
そのアホらしい雰囲気に、ちょっと笑ってしまった。
もちろんチャンバラ自体も見ていて楽しい。
方向性はともあれ、これが園子温なりの渾身のエンタテイメントなのだろう。
アクが強いので、嫌いな人は嫌いな作品かもしれない。
しかしこのくだらない雰囲気は、僕は結構好きである。
ともあれ園子温らしさが存分に出た作品であった。
評価:★★★★(満点は★★★★★)
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