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2013年度作品。アメリカ=イギリス映画。
セックス依存症の男とその妹の姿を描き、話題を呼んだ『SHAME シェイム』のスティーブ・マックイーン監督による、実話を基にしたヒューマンドラマ。奴隷制度廃止前の19世紀半ばのアメリカ南部を舞台に、“奴隷”と身分を偽られすべてを失った黒人音楽家が、再び妻子と会うために希望を捨てずに生きた壮絶な12年の月日を描く。
監督はスティーヴ・マックイーン。
出演はキウェテル・イジョフォー、マイケル・ファスベンダーら。
世の中にはいくつも理不尽があるが、差別はその典型だ。
この映画はそんな差別をじっくりと描いている。
黒人が奴隷として酷使されていた時代のむごさを伝える良作だ。
19世紀アメリカ、北部に暮らしていた自由黒人のソロモンは誘拐され、黒人奴隷として売られてしまう。それから12年間の苛酷な奴隷生活を送ることとなる。そういう内容だ。
正直奴隷制はくわしくないので、自由黒人というものがあったことに素直に驚く。
北部ということもあるかもしれないが、彼らは白人と同様に、自由を保障されていて、差別も少ないようだ。そんな事実を知れて勉強になる。
しかしそこから黒人差別の激しい南部に売られたことで状況は一変する。
仕事ができないと鞭で打たれるのは当たり前、黒人という理由だけで低く見られることも往々にして起きる。女性であれば、性の相手をさせられることもある。
ひどい話だな、と思うが、こういうことはあったのだろうし、それが常態化してたのだろう。
そういう状況だと黒人の側もマヒするらしい。
一番印象に残っているのは、主人公が白人から首を吊られるところである。
周りの黒人たちは、主人公が命の危険にさらされているというのに、大半は(例外はある)何もしない。
子供たちなどは平気で遊びまわったりもしているくらいだ。
その情景はシュールだが、理不尽さに誰もが慣らされてしまった証拠でもあるのだろう。
その事実に幾分慄然とせざるをえない。
そういう周囲の状況だから、人も容易には頼れない。
自分を救い出すための手紙を書くだけでも、一大事で、下手をしたら自分の身を危険にさらすことにもなりかねない。
それはずいぶんひどいことである。
幸いにも主人公はその後、救われることになる。
だがそれはたまたまでしかない。
そして多くの仲間はそこから救われることなく、農園に残ることとなる。
そういう意味、本作は救いがありながら、救いのない作品でもあるのだ。
しかしこの重たさこそがまさに現実なのかもしれない。
そんな過去に起きたむごい事実を丁寧に描いており、心に残る作品であった。
評価:★★★★(満点は★★★★★)
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