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看護師不足「青森県を先進事例にしたい」

2007年07月29日 | スクラップ
2006/12/17 社説・時事随想





 先ごろ青森県の医師不足が報道されたが、今度はまた看護師不足も深刻な問題となりそうである。4月に「医療安全の確保、看護の質の確保、看護師の労働条件の改善」を目的に診療報酬が改定され、一定の看護師数を確保すれば従来の額に上乗せした診療報酬が得られることになった。この改定に対応するため、すでに東京の国立大学病院など首都圏の大病院では数百人規模で全国的な募集を行っている。

 日本は欧米に比べて看護師の配置が手薄なので、この改定は患者のためには本来歓迎すべきことなのだろうが、地方や小病院では看護師不足に拍車が掛かることが予想される。現在、国内の病院で働く看護師は127万人で約4万人が不足しているという。看護師争奪戦が始まるのは避けがたく、新たな地域格差が広がるのを防ぐ対策が必要とされる。

 こうした看護師不足を想定してか、このたび海外からの看護師の受け入れも開始されたが、安易に海外の労働力に頼る以前に解決すべき課題があるのではないか。看護師不足は女性を安価な労働力としてきた日本の労働環境に根本的な原因があると思われる。

 看護、保育、介護などは必要不可欠で重要な使命を負っている職業であるにもかかわらず、女性が多くを担っていることによって労働価値が適正に評価されていないのが現状である。その結果は私たち自身に跳ね返ってきている。その労働環境を改善する努力をせず、安価な代替労働力として海外の途上国の女性をということでは本質的な問題解決にはならないだろう。

 今では男性看護師もいるが従来は女性の専門職であったため看護師の労働環境は良いとはいえず、退職する人も多い。現在、退職した潜在看護師が約55万人いる。これは社会的な損失である。なぜ、退職することになったのか。この方たちに職場復帰をしてもらうためにはどうすればいいのか。よく考えてみる必要があると思う。

 退職理由の多くは結婚・育児である。休暇取得、夜勤、超過勤務などの厳しい労働条件では家事・育児の両立は難しい。潜在看護師の職場復帰、育児休業・介護休業からの復職には再教育や研修制度の充実、子育て支援が必須であるが、ワークシェアリングなどライフステージに合わせた柔軟な雇用形態も考慮すべきではないだろうか。

 さらに、新卒の看護師が重視する採用条件は研修機会とキャリア支援だというデータがあるが、これからは優秀な人材の確保・定着のためには仕事と家事・育児の両立支援はもとより、給与・休暇・夜勤回数、超過勤務時間などの労働条件の改善とともに研修機会の充実、キャリア形成支援を図ることが必要となるだろう。

 いずれ対応策が必要になるならば、思い切った労働環境改善や制度整備などを提供すれば、青森県も「看護師不足ではない県」になれるかもしれない。他県に先進事例を勉強しに行くばかりではなく、たまには先進事例になってみるのもいいと思うのだが。

(NPO法人 青森県男女共同参画研究所専務理事 工藤 緑)




看護師不足で養成推進求める/県医師会  地域格差を懸念



 県医師会(佐々木義樓会長)は24日、青森市で開かれた県健康福祉部との定例会で、県内の看護師不足について「医師確保と同等の重要な問題。県内の医療は医師不足だけでなく、看護職員不足で崩壊の危機にある」として、県に看護師の養成推進を強く求めた。県内では看護師採用増の動きが相次いでいるが、会議の席上では特に弘大病院が来年4月、看護師百人を大量採用することに関し「看護師にも地域バランスがある」などとして、県に調整を求める声が相次いだ。

 県が今年3月に発表した2006年から5年間の「県看護職員需給見通し(第四次)」では06年は約1200人、その後も700人から千人の不足が見込まれている。

 医師会はこれまでも看護師の供給不足を主張しており、この状況を踏まえ「看護師不足の解決には養成数の増加が緊急の方策。県には養成数を増やそうという姿勢が見えない」と厳しく指摘。県側は養成所入学者の確保、卒業生の県内定着の促進対策について説明し、看護師の養成推進については「要望として承りたい」と述べた。

 また、弘大病院の看護師大量採用には、佐々木会長や村上秀一副会長が「大学だけが県内医療のすべてを担うのではない」と批判。「駄目とは言わないが、金のあるところに一気にやられたら、われわれはどうしようもない」「開業医のところを辞めて、そっちに行く動きもある。ルールはある程度必要」と危機感をにじませ、県に段階的な採用を促すなどの調整を求めた。

 弘大病院の大量採用は特定機能病院としてのより手厚い看護と、看護師の労働条件の緩和を図ることが狙い。診療報酬の改定を背景に、これまでの患者十人に看護師一人の「十対一」から、患者七人に看護師一人の「七対一」体制を目指す。

 定例会には、保嶋実弘前大学医師会長も出席しており「大学病院の機能を高めるためであり、県内の医療機関に迷惑を掛けてやるということではない」として、理解を求めた。

 医師会はこのほか乳幼児医療費助成制度について、六歳までの助成と現物給付を求めた。これに対し、県は「県と市町村の厳しい財政状況では難しい。国に乳幼児期の医療費無料化制度の創設を働き掛けていきたい」と回答。県健康福祉部側は今年度から二カ年で行うがん克服総合対策事業、現在実施中の糖尿病調査について医師会の協力を求めた。

2006/08/25 Today's NEWS


陸奥新報

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