らぷんつぇる**

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『下流の宴』

2011年07月30日 21時51分04秒 | Books
NHKでドラマ化されたこともあり、それなりに話題になった本です。
やっと図書館で借りられました

*あらすじ*
-まさか自分の息子が、中卒になろうとは考えてもみなかった-

手塩にかけて育てた息子の翔が高校を中退して引きこもった挙げ句、成人式を目前にして家出してしまった…。
48歳の主婦・由美子にはこの事実がとても受け入れがたい。
医師であった夫を早くに亡くし、女手ひとつで娘二人を育て上げ、家まで建てた偉大な母・満津枝。
その母から努力することを徹底的に仕込まれた彼女には、何事にもやる気を示さない翔が理解できないのだ。

-過度の期待をかけた憶えはない。…せめて並の上レベルの大学を出て、人が聞けばああ、あそこねと言われる程度の会社に行く。そのくらいのことを息子に期待して何の悪いことがあろうか-

さらに、息子はネットで知り合った女性・珠緒の家に同居しており、フリーターの身であるにもかかわらず彼女と結婚すると言う。
なんとか結婚を阻止したい由美子は珠緒と会うが…

一方で、翔の姉の可奈。
優秀で稼ぎのいい男性と結婚し、何不自由ない暮らしを送ることが彼女の目標。
堅実なメーカーの内定を蹴り、六本木のIT企業に派遣社員として入社する。
もちろん弟の結婚騒ぎは迷惑だが、自分は自分、と「幸せ」をつかみ取るべく日々努力するのだった。。。


なかなか生々しいストーリーでした。
由美子とか翔とか可奈みたいなひとは今時どこにでもいそうでかなりこわい。
満津枝や珠緒みたいな、この物語の中で際立ってるキャラが現実にはなかなかいなさそうなだけに、現実はもっと大変そうですが。

このご時世、「並の上くらいの大学に行って」「名前が知られている会社に就職し」「そこそこに幸せな結婚をして」「こどもをもつ」なんて、平凡な望みのようでいてかなり大変。
少子化社会なので大学にはいこうと思えば行ける世の中だけど、「人が聞けばああ、あそこねと言われる程度の会社に行く」ということが超大変だということは就職活動をしたことがある人なら容易にわかるはず。
ましてや、草食系が増えてコミュニケーションが希薄化している中で、生涯未婚率もどんどんあがり、晩婚化のおかげで欲しくてもこどもに恵まれない人も少なくない。
一方で、若い世代の就職難から、経済的事情で結婚・出産できない人も増えている。
こんな時代のふつうの幸せって何だ??と思ってしまう。

翔は主人公に近い位置づけでありながら、一貫して影が薄い。
逆に、女性陣のキャラクターが際立ってます。
大事な息子を教養のない下品な女にとられたとわめきまくるヒステリックな母親もすごいし、完全に玉の輿狙いの姉もギトギト加減も半端ない。
こんな強烈キャラに混ざって、唯一の救いは、翔の彼女の珠緒がよい味を醸していること。
沖縄の方言がなごみます。。。

途中の話の流れから、なんとなくラストはわかってしまうんだけど、それでも面白く読めました。
後半の、翔の父親・健治の言葉が、ぴりっと効いてきます。

ちなみに、物語の後半で可奈が通った白金台のチョコレートショップって、ショコラティエ・エリカのことですね


*データ*
著者:林真理子
出版社:毎日新聞社
定価:1600円(本体、ハードカバー)
ISBN: 978-4-620-10753-0

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2 コメント

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Unknown (おさる)
2011-07-31 00:09:49
これって、黒木瞳が主演しているドラマの原作だよね?
母からドラマは面白いって聞いてて、気になってた。

自分の幸せを息子の幸せにすり替えてるところが、母親のエゴだよねー。


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ドラマ~ (らぷ)
2011-08-01 20:18:13
おお、お母さん役は黒木瞳なんだっけ?!
美人だけに、なんかすさまじい雰囲気になりそうな。。。

息子にもそれなりの人生観・価値観・信念みたいなものがあるなら、ただの母親のエゴ、とも思うけど、この話の息子は本物のダメ息子だから…
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