らぷんつぇる**

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『こちらあみ子』

2012年02月05日 10時45分26秒 | Books


*あらすじ*
一風変わった女の子、あみ子。
家族はお父さん、お母さん、そしてお兄ちゃん。
母が開いていた書道教室に通ってきていた「のり君」が大好き。
無邪気なあみ子の行動や発言は、家族も、のり君も巻き込んで、大きな変化のきっかけをつくってしまう。。。


2010年太宰治賞受賞作。

あみ子は痛々しいほどに無邪気で、裏表がなく、まわりとはちょっと違う自分の世界を持っている。
周囲の人が傷ついたり、悩んだりしている中で、相手の気持ちを汲み取ることができずにまったくの善意からつっぱしり、結局相手をよけいに傷つけてしまう。
最初の方は「ちびまる子ちゃん」がイメージとして浮かんできたけど、読み進めるにつれてあみ子の激しさに「ひ~~!それをやっちゃいかんやろ~~」とびびってしまいました。
冒頭に登場するのはおとなになったあみ子で、前歯がない。
近所の女の子にその理由をきかれ、熱愛していた男の子にパンチされてどっかとんでった、と答える。
ストーリーとしてはそれがプロローグで、あみ子が大好きなのり君に殴られて歯を失うまでのいきさつが主軸になっている感じ。
のり君は品のいい好少年(?)として描かれているのに、歯を折るほどなぐるの??この子が??あみ子何した??と気になって、仕方なくなります。
そして、のり君がついにあみ子を殴るシーンまでいきついて、納得
そりゃ殴っても仕方ない!!と思えるほどのショックがのり君を襲うわけです。
あみ子の破壊力半端ないです。

普通に考えたら、あみ子は善意と熱意しか持っていないような子で、それが周りの人を不幸にするなんて話、まったくもって暗いのに、話があみ子の一人称で「ど~してかな~、なんかおこってる~~??」みたいな流れで進むので、ショックは受けつつもあんまり悲しくならない。
最後の方で出てくる、名前すら語られない坊主頭もちょっとした希望を与えてくれるし。

でも自分のまわりにあみ子いたら、、、大変だなぁ。。。

*データ*
著者:今村夏子
出版社:筑摩書房
定価:1400円(税別、ハードカバー)
ISBN: 978-4-480-80430-3