らぷんつぇる**

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ひとりごとを言ってみたり。など。

『告白』

2009年06月20日 08時14分52秒 | Books
図書館でものすごい人数が予約待ちをしていた本、珍しく自分で買って読みました。
2009年本屋大賞第1位に輝いた湊かなえの『告白』です。

*あらすじ*
とある中学校、春休み直前の教室で、女性教師は生徒に自身の退職を伝える。
「私のこどもは、このクラスの生徒に殺されました」-
彼女はその生徒にした復讐を告白する。
そこから制裁と復讐の連鎖が始まるのだった…。

クラスの委員長の女の子、犯人の男の子二人、犯人の母親、それぞれの立場を通して語られる、事件を取り巻く一連の出来事。

復讐につぐ復讐、そして最後にして最大の復讐がなされるのだった…。



予想に反して(もっとしんみりした内容かと思ってた)、すごいドロドロ。
出てくる人みんなアクが強いし、かなりやられます。
そういうわけで、読み進むのはとっても早い。

それぞれの章で特定の登場人物にスポットが当たって、独白みたいな感じで話が進むんだけど、読んでいくにつれていかにお互いがわかりあっていないかが浮かび上がってきてそれが結構怖かった。
人間不信になりそうなかんじ。
Aがこう考えて行動しているのに、Bはそれを違った意味に解釈し…っていうのが延々と続くのです。ぐはー。
出てくる人それぞれが、意識的にも無意識的にもお互いに足を引っ張り合って絡まり縺れてみんな自爆ってな展開。
復讐の方法自体はなんだかあんまり現実味がなくて(そうきたかーとは思う)作り話っぽいけど、人間のすれ違いの書き方が上手い…。
こうして人は一線を越えてしまうのね。
社会常識と自分をつなぎ止める糸って案外もろいかもって思わされる。

そういうわけで、この本はホラーです。
気落ちしている時には読まないように!
なかなかひねりがきいていて「えっ、そうきたか!」って思う場面が何度かあるので、読み始めたらさくさく読めると思います。

*データ*
著者:湊かなえ
出版社:双葉社
定価:1400円
ISBN:978-4-575-23628-6