12月12日(木)、この一週間は本当に多忙でした。多忙な中、9日(月)に搬入を済ませ、10日(火)から徳島での初個展が始まりました。
その名も「仙鳩書展」。徳島市役所のすぐ南の角にある千秋閣というホテルの1Fのパブリックギャラリーで、約1か月間、新年の1月7日(火)までやっています。時間は9:00~19:00。夕方7時まで入れますので、お仕事帰りに見てもらうことができます。
このギャラリーはまだできて1年ほどですが、とても良いギャラリーで、使用料金は無料のうえ、受付も置く必要がなく、私の様な人間にはまったく理想的なギャラリーです。もちろん入場無料です。駐車場は、ホテルの前に数台の無料空きスペースがありますが、もし一杯でしたら、近所の有料駐車場をお使いください。隣が市役所なので、用を足すついでがあれば市役所の駐車場をご利用いただければいいし、近くの道路には一時間300円で泊めるパーキングチケットがたくさんあります。
徳島に移住してから7年目ですが、この間に教員展や様々な折に作った色紙作品などが半分以上。後は、今月になってから超多忙な中で、練習はせずに構想を練ってから一気に書いたものです。
少し前から、様々な額を購入して、なるべく違った雰囲気の作品を多種、展示することを心がけました。
八寸先生が焼いてくださった陶額には、「あうん」という言葉を書いて入れました。陰陽や物事の最初と最後を表す言葉です。神社の両脇にいる狛犬が阿形と吽形をしていますし、「あうんの呼吸」なんて言葉もあります。また五十音は「あ」で始まり「ん」で終わります。額に助けられてできました。八寸先生に感謝です。
これは昨年の教員展で描いた眉山の水墨画と新居水竹の漢詩で、水墨画作品として初めて発表した記念作です。徳島に来てから毎日眉山を見て暮らしています。徳島の中心部にあるこの山は、本当に眉のような形に見えます。徳島市のどこからでも見ることができる母なる山です。長野県出身ですから、たくさんの美しい山を見て育ちましたが、今は最も愛している山かもしれません。新居水竹は幕末の徳島藩儒で、藩校長久館の学頭でした。多くの優秀な若者を育てましたが、明治3年の庚午事変で、切腹しました。漢詩の大家で、眉山を愛し、よく登っては漢詩を詠んでいます。この漢詩はその一つで、眉山から見える風景を詠みこんでいます。
昨年から研究を進めている井上春洋の『亜墨竹枝』の一節も作品化しました。150年前のメキシコでの朝食は香りの良い飲み物三杯を飲むだけですが、これは気持ちをさわやかにする効果があるという意味です。香りのよい飲み物とはコーヒーやココアの類で、メキシコの様な気候の暑い地域では、血液を腐敗させないための工夫だと、井上春洋は注釈を入れています。西洋人がコーヒーやココアを飲む由来というのはこのような医学的な効果を考えたところから発したのかもしれません。徳島市川内町のコーヒーショップ店主であるカフェケストナーの、佐藤さんを思い出しながら書きました。珈琲の素晴らしさを語らせたら彼の右に出る人はいません。
小品を工夫して書くのは、アイデアがたくさん必要ですが、楽しく書くことができました。
自分の作品はこれら20点。あと、妻の賛助作品が2点、学生の賛助作品が2点あります。
徳島の街に足を運ばれた際は、ぜひご覧ください。