日本社会の閉鎖性と差別性〜読書会『日本移民日記』報告
2月12日(土)午後2時から第34回〈レイバーブッククラブ〉読書会(オンライン)が開かれました。参加者は13人で、取りあげた本は『日本移民日記』(MOMENT JOON、岩波書店)。
冒頭、著者のプロフィールが紹介された。ソウル育ちの30歳で、大阪大学大学院に在籍しラッパーとして活躍中。2年間の軍隊生活時にその抑圧に耐えられず自殺未遂に追い込まれたが大学に戻る。日本は移民を認めていないが、彼は自身を「移民」だとして日本で生活している「いろいろなことを考えさせられた」ことが読後感として共通に語られた。日本社会の閉鎖性、差別性が著者の日常生活を通して浮き彫りになっていく。そして彼のラップを聴いた人は「ヒリヒリしていて」聞き通せないようなインパクトを感じたという。他方『金曜日』(2/11)に書評を執筆した秋原京さんは、「自分は34歳の在日4世」だが、この本の与えてくれる発見と同時に著者との間の距離感も感じたと語った。エリートでありニューカマーであるMOMENTさんと依然として差別にさらされて生きる「在日」の仲間たちとの距離を考えさせられた。他面、福島からの移住者を映像で追い続ける堀切さとみさんは、本書の「移民」生活の感覚に移住を余儀なくされた人たちとの共通性を感じたという。また入管政策などの反動性をみると憲法は無くなってしまったかのようで、政治はますます悪くなっているとの意見も聞かれた。
同時に、日本社会の変化をもたらしてきた先人の闘いへの感謝を忘れないというMOMENTさんの言葉に、感動を覚えるとの感想もあり、討論は時間を延長して続いた。「差別語」を意図的にラップで使うことの意味など取り上げられなかった論点も多くあった。(志真秀弘)
▷次回は4月2日(土)午後2時開会でオンライン使用とします。取り上げる本は後日連絡します。
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