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ふむ道,小道,数多く

趣味いろいろ。2014/9に別ブログを合体したので、渾然一体となってしまいました(笑)

久しぶりにBBC版LOTR (12)

2007-02-22 23:34:20 | Tolkien・HoME
ディスク9も好きですが,13はまた格別です。
なにせ,BBC版LOTRを聴くのは,これを聴く為と言っても過言ではありません。(笑)

木の鬚は,新しい時代から取り残されているようで,寂しそうですね。HoMEの初期の下書きでは,黒門前の戦いにエントも参加する予定だったと思いますが,もし参加していたら,何らかの形で一緒にお祝いしていたでしょうから,ここでこんな寂しさを味わう事はなかったはず。‥なるほど,この,何ともな時代に取り残された寂しさ,を,表現したくて,エントを指輪戦争に参加させなかったのですね。

レゴラス,ギムリは,まるで1年か数年に1度の同窓会位のノリでさよならを言って去って行きますね。確かに,よくよく考えてみれば,彼らはその後中つ国ではサム,メリー,ピピン,アラゴルンに会えただろうし,大海を渡った後にはガンダルフやフロドと再会できたかもしれませんし,まあ,いっか。(笑)

アラゴルンが去るシーンはとてもカッコよく,感慨深くで大好きです。育ての親エルロンドとは今生の別れとわかっていて,お互いにクールに別れを交わす所がまたなんとも。。フロドとサムにはまた余計な冗談(笑)を言ってくれる所が暖かくてよいですねぇ。そしてあのバッチィ馳夫さん(笑)も,今や白いマントが似合う男に。風になびくマントが炎のよう‥‥,トールキンさんの想像力‥‥! 1度映像で観てみたいですね。

馳夫さんが王様になったと聞いた時のバタバーさんの反応,いつ聞いてもいいなあ。(笑)

不穏なシャイアに帰って,ひときわ勇ましい声を上げているのはメリーですね。今回は,最初から,メリーとピピンの声がかなりはっきり聞き分けられました。

ガラドリエル様のおみやげをシャイアに撒くシーンの音楽が美しく,うっとりしますね。

最後の旅にサムを連れ出そうとするフロドと,ローズのやり取りを聞いていて,ローズってホントによくできた女性だなあと思いました。男性から見て都合の良い女性(笑)ですが,女性が見ても,こんな人になれたらいいなあと思えるような,優しい人ですね。

‥ラストは特にいいなと思います。いつもここは惚れ惚れ。
ビルボの詩の朗読と,いつも短気な(笑)ガンダルフの,珍しく優しい声。
船が出港するとそこで歌が流れてきますが,"Guided by the lonely star, ..."♪という歌詞がとても素敵で,う~む,原作本文ではありませんね。おそらく,何となく記憶にあるので,ビルボの最後の詩の一節だと思います。(今その本が深い所に埋まってて確認できませんが(笑))

サムの最後のセリフ,"Well, I'm back."は,単に最後の旅から帰ってきたという意味というよりは,指輪の旅がここでようやく終って,全てが元に戻ったという事を意味しているんだなあと改めてわかりました。全てが元に,‥ただ,フロドは1人帰れなかった。。フロドが指を1本失ったのは,これを象徴していたんだ,と,今回初めて気付きました。始めてLOTRを読了してから5年近く。今頃気が付いたか(笑)

HoMEには描かれているエピローグを,正式版に載せなかったのは,このラストの静けさをぶち壊しにしたくない,フロドが戻れなかった事の意味をじっくり考えて欲しい,というメッセージを感じました。

最後にもう1回,最後のトラックを聴いて,また,今頃(笑)気付いたのですが,ローズはやっぱしすごい女性です。サムが1人で帰ってきた事に全く驚いておりません。

HoME9 I:The Story of Frodo and Sam in Mordor (4)

2007-02-20 00:22:30 | Tolkien・HoME
歩みがのんびりになっております(まだ始めて5ページ目)が,ここはとても興味深いので,じっくり読もうと思います。多分,この先の,もっとちゃんとした下書きより面白いですよ~~。

<Outline>
((II)続き)ガンダルフはもちろんフロドが成功し,指輪が葬られた事をわかっている。グワイヒアを送って様子を見させる。何羽かは炎で落ちる?《ひぇ~~》 しかしグワイヒアはさっと舞い降り,サムとフロドを拾って戻る。アラゴルンら再会で大喜び。特にメリーとピピン?
</Outline>

クリストファーさんは,いつの下書きがわからないけど,と,また別の下書きを付けてます。

<Outline>
Ganfdalfは指輪が炎の淵に到着したと知る。突然サウロンは指輪が危機に陥った事に気付く。彼はフロドを見る。最後の絶望的手段として,彼の軍をフロドの方へ向け,止めようとする。同時に魔王を山に送る。全ての筋書きは明らかだ。

ガンダルフは,グワイヒアにオロドルインに飛ぶよう命じる。
</Outline>

さて,次の下書きは,文章としては不完全な部分が多いですが,トールキン父さんが,1944年10月頃に書いたと思われる物だそうです。当時は,5巻(翻訳版8巻)の下書きを書いていて,HoME8巻の中で,まだファラミアがペレンノール以降も元気に活躍する事になっていた当時の物だそうです。

<Outline>
(III)
彼らは11日にイシリアンに入る。エオメルとファラミアはミナス・モルグルを調査する。残りは北へ向きを変え,モランノンへ向かう。エミン・ムイルからエントとエルフも参加。12日に古戦場でキャンプ,サウロンのメッセンジャーと交渉。ガンダルフ拒否。

サムは11/12日の夜にフロドを救出。モルドールへ下る。
(ゴラムは彼らの後を付ける。彼らはキリス・ゴルゴルに兵が集まるのを見て,しばらく隠れ,その後進む。ゴラム,後を付ける。→この部分は削除され,次の文に入れ替え)

フロドは高い塔から玻璃瓶を掲げる。まるでエルフの目のようにイシリアンの白の軍が見える。反対側にモルドールの秘密の巨大な部隊を見る。サウロンはゴンドールでの敗戦の為にフロドを捕まえるのが遅れている。

滅びの山はキリス・ゴルゴルの内輪にある。しかし暗闇が全ての地を覆っていて,彼らに見えるのは山の火とバラド=ドゥアの目だけだ。彼らは道を見つけられない? 12日にようやくキリス・ゴルゴルと同じ高さのスロープに着く。そこで大きな部隊を見る。これ以上行けない。13日まで隠れる。ゴラムが付けてくる。突然部隊がいなくなる。サウロン自身が戦いに出る。彼らは平原を渡り山へ登る。フロドは白の部隊が退却させられているのを見る。
</Outline>

サウロン御自ら戦いに,という所がすごいです~!

久しぶりにBBC版LOTR (10)

2007-02-17 02:08:46 | Tolkien・HoME
今日はディスク11を聴きました。
フロドは時が経つにつれ,イライラが増しているように見えてきます。それにしても,もうすっかりイライジャフロドに慣れてしまいましたが,この辺りの彼の苦しみを表現するには,やはり年齢を重ねた方がいいなあ,と,イアン・ホルムは思わせてくれます。

transcriptを見てびっくり。デネソール侯に第一環状区が燃えていると報告しているのは,ベレゴンドなんですね! ピピンに
And if the enemy comes at last to the Citadel, I hope to be here and stand beside you and earn perhaps the arms that you have given me.
なんて言われて,果報者,デネソール!(笑)

ミナス・ティリスの門の前には魔王。BBC版の魔王の声って軽いですね。でもこのシーン,原作通り,魔王が馬になってきて,そこをガンダルフが阻止する,というのを,映像で観てみたいもんだなあ。。実は,原作のここで魔王がカッコよくて,悪役で1番気に入ったんですよね。特に,
"This is my hour."
は好きだなあ。(笑)

ローハンの角笛を聞き,一層モチベーションの上がるガンダルフですが,そこへピピンが。。でも,ファラミアが生きたまま燃やされてしまう!に反応するガンダルフ。

一方,ナズグルの前に立ちはだかるデルンヘルムことエオウィン。ここのエオウィンのセリフもカッコいいですねぇ。BBC版はだいたい原作通り?,でも映画でも,この古臭い言葉で聞きたかったなあ。

火葬のシーン,デネソール候とガンダルフのセリフの掛け合いがじっくり聴けます。原作ではファラミアにはホントはセリフないんだけど,。。何か言ってますね。でもこの辺りデネソールが見事だわ~~。でも,ここで不思議な事が。パランティアが出てきますが,何故かガンダルフが
"The stone of Anor!"
と言っているんですよね。これは原作にはありません。え? アルノール? 海に沈んだはずでは?と思ってかなり焦りましたが,それはアルノール。アノール。。。ああ~~,ミナス・アノール(つまりミナス・ティリスじゃ!)の事ね! 紛らわしい。アノールと言ってわかる人って,かなり少ないのでは。。?(汗)

そのパランティアは,「その後それを見た人は‥(中略)‥しおれた腕を見るだけだった」とあるので,炎で失われる事はなかったんですね。

海賊船で現れる,アラゴルン,レゴラス,ギムリ。効果音がかなり安っぽいですが(笑),息がぴったりですね!

療病院で。アラゴルンは,ファラミアにも,エオウィンにも,何かとても冷たく接しているように聞こえるのですが。。。(汗)でも,エオメルには,エオウィンはもうずっと前から,何か悲しみに捉われていたでしょう,と言ってますね。
彼はすご~く難しい言い方をしているのですが,男にとって,こんなに美しく勇敢な女性の見返りを期待できない愛を見るのは,とても辛くで恥ずかしい事なんだ,。。。う~~んなるほど。

フロドとサムが,オークの部隊に紛れてこき使われている時,アラゴルンやエオメルやガンダルフは,フロドの仕事を成功させる為に,一肌脱ごうと決心してます。

HoME9 I:The Story of Frodo and Sam in Mordor (3)

2007-02-16 00:04:24 | Tolkien・HoME
次に「え?」な,展開が。。。

<Outline>
((I)続き)多分,ゴラムには,ある意味,悔い改め感を持たせた方がいいだろう。彼は,徹底的に悲惨,そして自殺を図る。「誰も持ってはいけない。わしが皆破壊してやるよ。《わしら,じゃなくて,わし,(I will destroy you all.)でした》」彼は割れ目に飛び込む。火が狂ったように燃え上がり,フロドは死んだようになる。

ナズグルがドアに。フロドは火の部屋に捕まってしまう。出られない!
これで終わりだ,と指輪の幽鬼。
お前が先だ,と,サムの声(つらぬき丸を持っている?)。後ろから黒の乗り手を刺す。
フロドとサムは脱出して,山の脇へ。しかし溶岩からは逃れられない。鷹がナズグルを追い払っているのを見る。彼らは鷹に助けられる。

炎が橋を破壊し,火の海が退路を塞ぐ。山は振え,崩れる。白い鷲に乗ったガンダルフ(ガンダルフ on white eagle)が彼らを救出する。
</Outline>

しかし,お父さんは,「自殺を図る」の記述に「No」。
ここでまた別の下書き登場です。

<Outline>
(II)
フロドは,フルに目の力を感じる。。。部屋に入って指輪を棄てたくない。彼を口説き落とそうとする声を聞く:命と平和を与えよう,褒美と富,君主の地位と権力,そして偉大な力を共有しよう,もし暗黒の塔に,指輪を無傷で持ってきてくれたら。彼はこれを拒絶して立ち尽くす。ある考え(アホみたいな)が浮かんでくる。彼が1人でそれを持ち,全てを支配する。偉大なヒーローになる。ホビットが人を治めるのだ。そして彼は,フロド王,フロド皇帝になる。偉大な詩と歌を作り,‥豪華な祝宴,彼の王座の前には,世界中の王がひれ伏し,地上は全て花で一杯になる。

(多分サウロンは,指輪が危険な状況にある事に気付いていて,彼のメッセンジャー達がそこに到着するまでの間,フロドを留まらせていたのだ)

フロドは指輪をはめてしまう! 大きな叫び声。大きな影がバラド=ドゥアから鳥のように飛んでくる。魔王が来る。《まだ生きているという設定なのですね》フロドは彼を感じる。風見が丘で彼を刺した奴。指輪をはずそうとするが,できない。ナズグルが近づいて来る。フロドは無意識に「Chamber of Fire」へ逃げ込む。あまりの熱さに倒れる。そこへゴラムが息を切らせてきて,指輪を掴む。フロドは気が付いて崖っぷちで争うが,ゴラムはフロドの指を折って指輪を奪う。フロドは倒れる。しかしその時サムが来て,ゴラムを指輪もろとも火の中へ押し出す。山は沸騰し,噴火する。バラド=ドゥアは崩壊する。大量の塵が南西からの風に流され,北東へ流れ去る。フロドは突然海の匂いと音を感じる。恐ろしい叫びは滅び去り,その間人々は立ち尽くす。

フロドが振り返ると,ドアは魔王によって遮られている。山は噴火し崩落する。ここで一緒に死のうと魔王。しかしフロドはつらぬき丸を抜く。もう何も怖くない。彼は黒の乗り手のマスターなのだ。《え?ホント?》彼は黒の乗り手に従うよう命令し,炎に飛び込ませる。《ひぇ~~。。》

フロドとサムは部屋から逃げ出す。山は崩れ始めて,道を塞ぐ。彼らは孤立する。(続く)
</Outline>

正式版には載らなくてよかったけど,へぇぇ~,実はそうだったんだ,な,楽しい展開が一杯です。(笑)

久しぶりにBBC版LOTR (9)

2007-02-15 01:45:28 | Tolkien・HoME
ディスク10。
ファラミアがピピンを見て驚く所シーン,BBC版は淡白です。ここは,イアン・マッケランの演技指導付き?映画の勝ち,かな。(珍しく(笑)) 

HoMEから,ファラミアというキャラクタは,フロドとサムを恐ろしい場所に送り出す事と,息子さんを戦争に出す事と,心配事が重なって生まれた父性愛キャラクタと思ってます,が,デネソールは,息子への愛情や心配を素直に表現できないお父さんですね。下書きの中でも,最初は厳しい事を言おうとして慌てて打ち消したりしていましたが,トールキンさんついに覚悟を決めて,きっぱりと,できないお父さんにしました。

‥でも,ピピンには,比較的素直に?愛情を見せるんですね。

アラゴルンが死者と一緒に海賊船を乗っ取る話,おそらく時系列的に正しい位置に持って来ましたが,リアルタイムではなく,レゴラスとギムリの語りという形なんですね。(笑)

ミナス・モルグルに到着したフロド,サム,ゴラムの一行。前回は肉体的な疲れを見せていたフロドが,この辺りから精神も蝕まれて行く様子をイアン・ホルムが熱演。アングマールの魔王の部隊は,皆黒の装いです。で,魔王は鳥でなくて馬に乗ってます。馬に乗った魔王,何故か好きなんですよ。(何故だ?) いつか映像でじっくり見てみたいなあ。(いつかって,生きているうちに実現するだろか。。)

シェロブの棲家に入ったフロドとサム,smellとかfoul stenchとか,stinkとか,「臭い」を意味する言葉ばっかりよく聞こえます。私はstenchという単語,トールキンから教わりましたよ。(笑) ちなみにこの臭いについてはHoMEに少し説明があります。こちらで。

ねばねばシェロブ(爆) ねばねば感がいいなあ~♪

サム,っていうか,ビル・ナイ,歌うまいです。原作ではとても感動したシーンです。フロドが全裸,というのはとても衝撃的だったのですが,映画のあの腰巻は。。。。それにサムは涙で前がよく見えなかったというような事が書いてあったと思うのですが,映画も,BBC版も,その辺りがいまいちかも。。(汗)

‥しかし,フロドは,サムに指輪を取られたと思って,激怒。なかなかショッキングな場面で,このディスク終りです。。

HoME9 I:The Story of Frodo and Sam in Mordor (2)

2007-02-08 23:44:07 | Tolkien・HoME
クリストファーさんによると,HoME7巻のThe Treason of Isengardの出版後に,「The Story Forseen From Lorien」に関連した下書きのアウトライン(I)~(V)が見つかった,という事で,この章では,それを読んでいく事にします。ひょっとしてそれって,正式な下書き?(笑)より,よっぽど面白いかもしれませんね。

ただ,例によって(笑),(I)~(V)は話の順に進んでいるものではないので,物事を1つ1つ順番に進めないと気がすまないタチの方は,ご注意下さい!

<Outline>
(I)
サムは転んで足を痛め(ゴラムにつまづいた)フロドは1人で行かざるを得ない事に。(ゴラムはフロドが行ってしまうとサムに飛びかかる)

(‥ここからしばらく,前回の最後の<Outline>とほとんど一緒ですので,その部分は割愛します。)

‥その鳥は,ナズグルだった! 彼は部屋の入口でかがみ込む。何かが山道を登ってくる足音が聞こえる。

同時に,フロドは突然,「目」の力と指輪の魔力を感じる。部屋に入って指輪を棄てるのが嫌になってくる。彼はよからぬ「説得」を耳にし,あるいは感じる。長生き,平和,名誉,富,褒美,支配力,偉大な力の共有。。。。もし留まり,指輪の幽鬼と一緒にバラド=ドゥアへ行くならば。でもそれは彼を恐怖に陥れる。彼は動かず,抵抗と誘惑の狭間で苦しむ。それはとても長い時間に感じる。すると突然,今度は外からでなく,内から,指輪を自分の物にしてしまえという誘いが。。フロドはホビットの王となり,ホビットが世界を治めるのだ。(もちろん友達はコケにしない) 素晴らしい詩と歌を作るのだ。全ての世界は花で満ち,彼の祝宴に運ばれるのだ。彼は指輪をはめる! しかしナズグルが叫び,目は光線のように突き刺さり,彼は指輪を取って倒れてしまう。

またナズグルが近くに飛んでくる。仕方なく彼は部屋へ入る。煮えたぎる滅びの罅裂を確認し,なすすべもなくひざまづく。
その時ゴラムが来る。フロドと指輪を掴む。彼らは戦い,崖っぷちまで追い詰められる。ゴラムはフロドの指を折り,指輪を取る。フロドは卒倒してしまう。サムが這い上がってきて,踊っているゴラムを突き落とす。

モルドールの終焉。
(続く)
</Outline>

花で満たされる王国,のビジョンは正式版ではサムに譲りましたが,ひょっとしてフロドも実はこんな事を考えていたのかな?と思うと,ちょっと楽しいですね。1人ごとに異なるビジョンがあるなら,ボロミアとファラミアはそれぞれ何を見たのか,知りたいなあ。

HoME9 I:The Story of Frodo and Sam in Mordor (1)

2007-02-07 00:08:46 | Tolkien・HoME
いよいよ今日から9巻です!

最初に,モルドールのシーンが一体どれだけ続くのか(汗)と心配になりましたが,44ページでコルマルレンに到着なので,それほど引き摺らない,という事で,ちょっとほっとしました。

この章は,ファン垂涎?,LOTRで最も大事なシーンの,組み立て変遷史のようです。なんと,ビンゴ・ボルジャー=バギンス時代まで遡りますよ。

それが最初に書かれた(残っている)のは,1939年の事でした。

<Outline>
最後。
ビンゴがFiery Mountainにたどり着いた時,彼は自分で指輪を投げ捨てる事ができない。彼は,褒美をくれるという死人占い師の声を聞く。もしそれを持ち続けるなら,力を共有しよう,と。

その瞬間ゴラムが,―改心したと見え,モルドールの秘密の道を案内してきた― が,現れ,裏切って指輪を取ろうとする。彼らは組み合い,ゴラムが指輪を取り上げ,裂け目に落ちる。

山は轟き始める。
</Outline>

2年後,The Story Foreseen from Moria(HoME7巻)で,またそのスケッチが出て参ります。しかしトールキンさんはまだ何が起きるかはっきりとは決めかねているようでした。

<Outline>
オロドルイン(滅びの山)は北,西,南(西,南,東に書き換え)にそれぞれ大きな3つの裂け目を持っている。皆想像を超える深い穴だ。いつも火が吹き出している。フロドの上に山が覆いかかっている。彼は炎で満ちた裂け目に来る。―サウロンの火の井戸だ。禿鷹が来る。彼は指輪を投げ入れる事ができない。禿鷹が来る。目の前が真っ暗になり,膝を付く。その時ゴラムが来て,取っ組み合いの末指輪を取る。フロドは倒れる。

そこへ多分(何故多分?(笑))サムが来て,禿鷹をやっつけ,ゴラムを突き落とす?
</Outline>

またその後の下書き
<Outline>
ミナス・モルグルからの脱出。しかしゴラムが付いて来る。
サムがゴラムと組み合い,裂け目に投げ落とす。
</Outline>

その後,今度は,The Story Forseen From Lorienで,サムはどこかで離脱,フロドは1人で山に登る事になり,

<Outline>
サムは離脱。つまづいて骨折。ゴラムのせい? フロドは1人で行く。
フロドは苦労して山を登る。地面は揺れ,熱い。狭い道がくねくね続く。3つの裂け目。頂上近くにサウロンの火の井戸。山の脇から,床が裂けた部屋のような場所へ入る。フロドは北西を見る。戦いの煙。かすかな角笛。それはエレンディルの角笛だった。

鳥が周りながら飛ぶ。
</Outline>

HoME8巻の感想

2007-02-02 01:05:37 | Tolkien・HoME
最後の章(The Black Gate Opens)を書こうと思ったのですが,あまり情報がないので(汗)ここでHoME8巻は終りにしたいと思います。

HoME8巻は,大きく分けてTTTの後半部分とROTKの前半に当ります。

まずTTT後半の下書きについて。FOTRに比べたら,既に話の筋書きもあらかた決まっているので,そんなにめちゃくちゃ驚くような事はありませんでした。しかし,時代はもろに第2次大戦。ヨーロッパ全土を覆った戦争の影ばかりでなく,D-day(ノルマンディ上陸)というような,一気に情勢を変える歴史的な事件も何気に時代のバックグラウンドとして登場します。トールキンさん自身の戦争体験(第1次大戦)が指輪物語に影響を与えたという話は有名でしたが,さらにこの話を執筆中の時代背景が,この話に大きな影を落としたんだなあと,リアルに感じる事ができました。

ファラミアというキャラクタを生み出したのが,ずばり,時代の影響だったという所が面白いですね~。息子さんがその戦争に参加するかもしれないという不安が,フロドとサムをモルドールへ送り出すシーンに反映され,あの名台詞
"When you return to the lands of the living, and we re-tell our tales, sitting by a wall in the sun, laughing at old grief, you shall tell me then. "
は,息子さんを案じるお父さんの気持ちだったというのが,私にとっては,前半で1番の衝撃でした。

ファラミアは,大将でありながら,どこか戦争から1歩引いた所に身を置いていたように感じていたのですが,何故そうなのか,これですご~くわかったような気がします。

原作のTTTからROTKにかけての構成,TTTの最後にフロドとサムをキリス・ウンゴルで止めておいて,ROTKに移ってガンダルフ達の活躍を見せる,というのはとても不思議に感じましたが,実はトールキンさんが物語を作った順番通りだったというのも,新発見ですね。

ROTK前半は,久しぶりに,仰天変更(笑)がいろいろありましたね。
7巻から何となくわかってはいたのですが,まずエオウィンは,堂々とセオデンに同行してミナス・ティリスに向かい,当たり前のようにオープンに戦うのですね。そして彼女がナズグルの王を倒す事は最初から決まっていた計画ですが,可哀相に(汗),死んでしまうんですね。アラゴルンとの,これも当たり前のようだったロマンスの線は次第に薄れて参ります。でもそれにつれて,彼女は助かる事になっていくのですよね。

アラゴルンは,アイゼンガルド陥落後,最初はお話上もずっとローハンと一緒に行動していますが,少しずつ,少しずつ,別行動を取るようになり,やがて山を越えて南へ突き抜けてしまうんですね。アラゴルンの行動やエオウィンの役割の変化に伴い,最初は彼らに付き添いのように行動していたエオメルが,自然にローハンのリーダーとしての役割が大きくなって参りますね。

執政家親子の運命も,最初は正式版とちょっと違いましたね。デネソール侯は,下書きの最初から亡くなる事は決まっていたとは思いますが,最初の計画ではアラゴルンと一応顔を合わせる事になっていたのですね。初期の案では,ファラミアがモルドール攻撃までずっと元気なのも面白いですね~。

レゴラスとギムリの語る死者の道の顛末も,いろいろ変化があって面白かったです。どちらがどの位語るというのもいろいろ変わったようですが,実はエレヒにパランティアがあったというのが,結構衝撃的な違いでした。また,下書き当時はエルロンドの2人の息子達の役割ももう少し大きく,何故アルウェン(当時まだフィンドゥイラス)があの旗を作ったのか,わかってきました。

最後のびっくりは,メリーとピピン,2人とも最後に黒門に行けない所でした。メリーを楽にする為にピピンも残るというものでしたね。

という事で,来週から9巻を読み始めようと思います。
ふ~~む,HoMEもそろそろ,終りに近付いてきていますね。何か一抹の寂しさが。。。

HoME8 3-XII:The Last Debate (9)

2007-01-31 23:05:38 | Tolkien・HoME
<下書き>
アラゴルンは,何とメリーとピピン,両方とも置いて行ってしまったんですね。メリーはまだこういう旅には出られないから,ピピンは彼の気持ちを軽くする為に留まってくれ,もう十分名誉は得ている,我々が負ければ,君たちにも最後に敵に立ち向かう名誉も与えられる。。。とか何とか言っちゃって。。。

と,いう事で,壊れた門の前に,がっかりのメリー,ピピンと,ベアギルの姿がありました。ベアギルの父は,イムラヒルの軍の1つを率いていました。彼は塔の護衛としての誓いを破ったので,判断が出るまでの間,その職を解かれているのです。

トランペットと共に,アラゴルン,ガンダルフ,エルロンドの息子達,ドル・アムロスの騎士達,エオメルと彼の騎士達,が,ミナス・ティリスを出発。
</下書き>

しかしここでトールキンさん,ピピンをこの隊列に加える事を決意。
という事で,筋書きもこうなります。

ギムリとレゴラス,イムラヒルに会い,療病院へ。
最後の議論。
療病院の庭で,ギムリとレゴラスの話。
モランノンへの行進と,交渉

ギムリとレゴラスの話は以下のように締めくくられます。
<下書き>
‥そしてレゴラスとギムリの,アラゴルンと死者の道の話は終わり。この話はその後長くゴンドールで歌として語り続けられ,山の影の人達は二度と生きた人間の前に現れなかったそうです。そしてDumharrowからの道は誰でも通れるようになりました。ただ,恐怖の記憶からそれでも通る人は稀で,バルドールのドアを開けた者はいませんでした。そこに彼の為の墓が作られ,ドアまで誰も行けなくなりました。
</下書き>

下線部はすぐ,以下のように差し替えられたそうです。
<下書き>
‥しかしエレヒの石は独り建ち続け,鳥も獣も姿を現しませんでした。恐怖の記憶はずっと馬鍬砦に残り,通る者は稀で,誰もバルドールのドアを開けようとしませんでした。
</下書き>

この後は,前の話の繰り返しになるので,ずず~っと抜かして。。。8巻最後の章へ参りましょう。

HoME8 3-XII:The Last Debate (8)

2007-01-25 23:07:34 | Tolkien・HoME
<下書き>
G「(続き)我々は大勢の軍の存在を感じていた。まるで洞穴の奥深くからのエコーのように角笛の返礼が来た。しかしアラゴルンは旗の傍に立ち『ついに時が来た。誓いを果たすのだ。私はペラルギアへ行く。付いて来るのた。この国が全て清められれば帰ってきて安らかに眠るがよい。私はエレスサール,ゴンドールのイシルドゥアの後継者だ。』その後,静かになり何も物音がしなかった。我々は城壁内に留まり,睡眠を取った。怖かったが。」

(この後はバージョンアップ版)

G「そこから,最も疲れる旅が始まった。ローハンでオークを徒歩で追った時より疲れた。3日3晩,殆ど休みなしだ。ドゥネダインのレンジャーでなければ,人間は耐えられないだろう。彼らはドワーフと同じ位タフだ。私はエルフのように睡眠なしか,寝るのと起きているのを同時にできたらなあと思った。レゴラスはできるようだがね。

行った事のない場所で,あまり説明できないな。しかしLemedon,リンヒア,レベンニンを通り,ペラルギアに着いた。
翌日は夜明けがなかった。我々の後には影が付いてきた。ある者は馬に乗り,ある者は歩いていた。ベルファラスでは皆我々を見ると逃げてしまい,レベンニンは誰にも攻撃されずに越える事ができた。

次の日,アラゴルンはミナス・ティリスへの到着が遅れる事を恐れていた。出きる限りのスピードで,一晩中走り続けた。そしてようやくアンドゥインにたどり着いた。潮の香りがしたから,海の近くとわかった。たくさんの鳥がいた。

馬鍬砦から4日目,そこで我々はウンバールを見た。ついに戦う時が来た。敵の多くは恐れをなして逃げていったが,モルドールから送られた大将達や,オークのリーダー達はそう簡単に狼狽させられなかった。ハラドも簡単には降参しなかった。しかし,彼らの抵抗もそう長くは続かなかった。彼らに取って,我々は救いに見えたのだ。船上では奴隷達が反抗し始めた。5日目の終わりまでには,船を占領した。
</下書き>

ここで一旦トールキンさんはペンを置き,こんなメモ。
「戦いはなし。影たちが船に飛び込み,敵は船から飛び降り,残されたのは鎖に繋がれた捕虜達た。しかしレンジャー達は捕虜の鎖を解いて自由にした。」

そしてその後,書き換えバージョン。潮の香りや海に焦がれる話と,それ以降の物語は,レゴラスに譲られます。(笑)

その後,死者達と別れて,話はアラゴルンの方に変って「テントで一体どんな話をしているんだろうね」という事に。ギムリが「はなれ山の代表として加わりたいものだな。」レゴラスも「私も森の代表として加わりたいものだが。」と,話しています。

すると,
<下書き>
彼らの望みは叶えられました。2日後,西軍の部隊がペレンノールへ出発。
</下書き>

これは次の章の始まりとなるわけですが,ここで,正式版と違う話登場。この巻最後のびっくりエピソードかな? でも時間がなくなったので,また来週。

Run!Run!Run!