2016年12月18日(日)、久しぶりに岩手県立花きセンター(胆沢郡金ケ崎町六原頭無2-1)に行きました。本館(管理棟)1階の展示室に展示されているシクラメンなどから見て回ったのですが、午後から見て回った「花の館」温室の「南緯40度温室」の’多肉植物コーナー’にサボテンが植栽されていました。管理棟1階の「展示室」にも展示されていました。
サボテンとは(多肉植物との違い):サボテンとは「サボテン科」に属する植物をいいます。シャボテンという呼び方もありますが、これはたとえばサケ(鮭)のことをシャケというのと同じく、音便的ないい方です。一般の慣用として、サボテン科以外の多肉植物を含めて「サボテン」と呼ぶことも多いのです。これは各科にわたる多肉植物の多くが、栽培管理の面からみてサボテン科植物に共通するところを持ち、形態的にもよく似た種類が多いためです。わが国だけでなく、世界各国でサボテン園芸は多肉植物を加えて成り立っていて、そのすべてをサボテンが代表するわけです。
多肉植物とは幹、葉。または一部の種類にみられるように根部が肥大して、多汁質となる多年性植物の総称で、ベンケイソウ科、ユリ科、トウダイグサ科など、およそ50科にわたっています。サボテン科植物も幹や根部が肥厚して多肉化していますから、多肉植物の1群ということができます。しかし、種類が極めて多いこともあって、園芸的にはサボテン科のものだけは別扱いにされ、「サボテンと多肉植物」という呼び方をされています。外国でも同じで、たとえば英語ではカクタス・アンド・サッキュレント(Cactus & Succulent)と称するのが普通です。
サボテン科以外の多肉植物の中には、サボテンのある種と酷似した外観のものがあり、間違われることも多いものです。たとえばトウダイグサ科の「花キリン」は、サボテンの原始形態を示すものとして有名な「木の葉サボテン」(杢キリンなど)によく似ています。葉をつけて樹木状になるので、花キリンもサボテンの一種と思っている人が少なくありません。しかし、杢キリンは葉のつけ根にトゲがあり、そこから毛を生じ、これを刺座(アレオーレ)といいますが、刺座のあることがサボテン科植物の決め手となります。花キリンは刺座をもたず、肉刺と呼べるトゲをつけています。花も全く違って、双方の花を見れば異科の植物であることは明らかです。(以下省略)[NHK出版発行「NHK趣味の園芸:作業12か月⑤サボテン(平尾博・著)」より]