京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間「京の6月6日お風呂時間」

2019-06-06 09:47:15 | 時計修理

6月6日木曜日。芒種。
あす7日が旧暦端午の節句。京都の気候に合わない西暦が紛らわしい。
明日は正式な「しょうぶ湯」の日。
京都の銭湯は東京と違いぬるめ。あの熱湯で拷問のようなお湯にはなじまない。
東京でびっくりしたのが銭湯のお湯の温度。京都では水をガンガン入れる。
せっかくお金を払ってさっさと出てしまうせっかちな関東の人には唖然とします。

もったいないのでのんびりゆっくり入るのが「けちけち文化」の京都です。従って入浴時間も長い。
お味噌汁も薄味でぬるい、お風呂もぬるいのだ。
お風呂に入る前に体を洗ってから入る。暖まった後に柔らかくなったところでひげをそる。そのあとにまた入る。
風呂上がりに脱衣所で相撲の雲竜型のしこを踏んでいるオヤジを評価しながらコーヒー牛乳を飲む。
入浴料だけでは経営が苦しいので大人たちは何かにつけ飲み物を買う。
京都の上京区、北区は御所の関係や防火のため家風呂が少なく銭湯文化が発達しました。
内風呂も持つ商家が多い下京区とは銭湯文化が違います。

西陣で一番リッチな糸屋さんから貧しい機織り職人まで一緒に入る。宿坊の宿泊客もいる。皆さん話し上手だ。
また体つきで職業がわかるという。
坊主頭が多い西陣の銭湯ですがお坊さんたちの丈夫な足腰で見分けがつきます。
夕方開店時間の16時程にはちょっと早めに来るのが伝統工芸の職人たちで三々五々が集まってくる。
昭和中期まで休日は月二回だけなのでお風呂時間はちょっとした贅沢なのだ。

令和になっても貧乏時計師は月二回もお休みがない。トホホ~。
「高いお風呂代やね~賀茂川に飛び込んだら只やのに!」
嫁さんの嫌味一つ食らって500円玉をもらってにこにこと銭湯に行く。
明日は旧暦五月の五日。最高の銭湯日和なのだ。

写真はショパール。初級者は無理なワンピースケースでリューズがカンヌキ形式です。
このカンヌキが固いので有名。なかなか抜けないし最後に入らない。
自信と経験のない時計師はあきらめることです。
私たち時計師がリスクが高いのになぜメーカー、代理店へ依頼するのを嫌がるのか?
メーカーの修理担当者は当然年下になる。部品がすぐに調達できるだけで経験は当然未熟だ。
まして現在契約社員、派遣さんだけの職場になってしまった修理部門の週3~4日の就業状態では危なくて任せられないのです。

メーカーの修理受付カレンダーを見るとびっくりする。
毎日のように作業を続けて技術を維持することでお客さんの時計を安心して預かれます。
メーカーではユニット交換だけで針の取り付け程度の作業になっているのでしょうか?
先日メーカー修理後お渡しした時計が剣ずれクレームで来た。
時針分針の針が12時に微妙にずれている。おまけに秒針までがインデックスからずれる。
12時ジャストには三本全部がてっぺんに集まって一本に見えるように取り付けるのが日本の時計師なのだ。
(写真のショパールなどヨーロッパの時計はずれていてもOK!異常ではない。)
針を再取り付けして機械についていた指紋をロデコで消して出来上がり。
悲しくなってしまう。

自宅が下京区に引越ししたので銭湯には通えなくなてしまった。
せっかく旧暦端午の節句なのにお風呂上りにアユの塩焼きとエビスビールの楽しみは消えた。
おまけに最近難しい時計ばっかり来る。
せめてこれだけは~!とエビスビールはまとめ買いしてしまいました。
今日も6時半受け付け7時まで営業します。



コメント
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