京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間「京の物理時間」

2019-06-01 09:35:06 | 時計修理

6月1日土曜日。
地下鉄北大路駅から賀茂川辺りを北上して20分、工房に入るいつもの風景。
山紫水明の京都を歩く贅沢な通勤環境は全国トップでしょうね~。

それにしても花や鳥の名前を知らないで生きてきた私は悲しい。なんもわからんボンクラおやじだ!
解るの鳥は鴨、スズメ、鳩くらいか?これは食べ物として知っているだけ、道に咲いている花はほとんど知らない。
ただの雑草として認識しています。
時計師と言って偉そうにしているが内情はこんなものです。
ただの物理屋だ。花や鳥の知識は小学生で止まっていました。

残念なことに自慢の物理の知識も今では役に立たない時代になりました。
仕事の時計もいつの間にか物理から化学屋サンたちの世界になっていました。
若い時計師は年金と時計の仕事は当てにできないね~。
いつまで続くかわからないし当てにならないことはわかっている。

21世紀に入ったころ高級時計GUCCIの分解掃除でショックを受けたことを思い出します。
電池液漏れでは酸が樹脂を溶かす。
なんとクオーツ・ローターの芯が樹脂製のものに代わっていました。
これでは洗浄もできないし芯の調整も不可能だ。
従来の薬品トルクレンなどの洗浄剤を使うと溶けてしまうのだから使えない。洗浄剤を洗う洗浄剤がいる。

秒針が乗る4番車は金属製、ローターが樹脂では歯は簡単に削れるので一定期間が過ぎると止まる仕組みだ。
普及品で使われるセイコー社のY121、シチズン・ミヨタなどの300円程度のムーブメントなら使い捨て構造はわかる。
とうとうこの高級時計の世界まで化学屋さんの世界に変わった。

要するに機械で組み立てたものをそっくり交換するだけ「ズボ替え」は修理とは言わない。
時計業界から物理屋は消える運命のようです。
ガリレオのフリコの等速度運動から始まって原子時計までの歴史、文化は消える。
高校野球の最後のバッターのように粘るだけ人生の時計師だ。所詮阪神タイガースのように負けは決まっている。

そんなに悲観することでもなく物理屋はガンダムクロスのようなロボットの開発が残っている。
故郷の長崎市内では都市人口の減少率が国内トップクラスという。
そこで歩行アシストロボットを開発。長いオランダ坂を5キロのお米をもって市電より早く走れるくらいになると人口の減少は止まる。
長崎港・大波止の福砂屋カステラを買いにガンダムクロスを使って行くのが楽しみになるでしょう。
長崎のお墓参りのたびにガンダムクロスが欲しくなります。

元々、私が時計屋の仕事を選んだのも世の中に役立つアイテムだったから。
時計と靴と政治屋は今では使い捨てアイテム。尊敬、尊重されない時代がくるのはなんと寂しいものでしょう。
今日も失敗時計師はノスタルジーのお役たちで頑張るのだ。

今では時計言語の「分解掃除」は「機械交換」の意味なのでメーカー修理を嫌がる時計師。
6時30分まで受け付け7時閉店。
6時半まで来なかったらとっとと恵比寿ビールを買いに行きますのでお早めにお越しくだされ~。












コメント
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